第16話 退魔紀行2
たすくにとっては修学旅行のコースなど面白味は無いが、沙也加と2人なら話は別である。
この怪しげなバイトを続けているのも沙也加が美人であるところが大きい。
まず西日本へ新幹線で行き、まずタクシーで焼き物の町へ行く。
町の中を沙也加とたすくは散策するが何も無いようである。
そして、タクシーで観光ホテルへ行く、受付で
「ご予約の古馬たすくさんと沙也加さんですね。」
「はい」
沙也加は返事をして部屋のキーを受け取る。
たすくは聞く
「何で同じ姓なんですか。」
「違うといろいろ勘繰られるでしょ。夫婦ということにしましょ。」
と言うと一緒に風呂入って、寝て・・・
「変なこと考えていると給料下げるわよ。」
たすくの考えは筒抜けのようである。
部屋に入り、たすくがお茶を入れていると沙也加に手が触れてしまう。
たすくは謝ろうと
「すみま・・・」
声が止まる、血染めの女が部屋の隅に立っているのが見えた気がしたのである。
部屋の隅を見直すが何もない。
沙也加が聞く
「見えたの」
「気のせいでした、一瞬、血染めの女の人が見えた気がしたのですが」
今度は、沙也加がたすくの手を掴む。
するとたすくには、部屋の隅に血染めの女が立っているのが見える。
「うあぁ」
たすくは思わず声を上げる。
「たすく、見えるのね。」
沙也加は聞く
「沙也加さんも見えているんですか?」
「そうよ、これが私がいつも見ているものよ。」
たすくは落ち着かない、見えなくても部屋の隅に血染めの女が立っているのを知ってしまったからだ。
沙也加は言う
「あなたが依頼をすれば何とかするけど。」
「結構です、我慢します。」
沙也加は続ける
「これは視覚の共有かしら、旅行のうちにどのくらい見えるか試してみましょう。」
「あのようなものを見せられるんですか、できれば見たくないんですが。」
「見えたほうのが仕事に役立つわ、それとも私と手をつなぐの嫌?」
「つなぎます。」
たすくは恐怖より欲望を優先してしまう。