第104話 水面(みなも)の上1
山田川の支流の茶田川は昔から暴れ川として住民に知られ、鎮めが淵は大昔、洪水を沈めるために生贄を淵の主にささげていたという。
現在、鎮めが淵はアウトドアブームの影響もあり、休日には河原にレジャー客が詰めかけている。
しかし川の中央付近から急に深くなっており、毎年、溺れたり、流されたりする人がおり、溺死する者もいる。
そして、幽霊の目撃例が出てくる、水面の上に着物の女性が立っているというのである。
オカルト番組のディレクターが、その情報を仕入れてくる。
沙也加の探偵事務所にテレビ支局の局長から電話がある
「古馬先生お体の調子はどうですか。」
「はい、元通り元気になりました。」
沙也加は廃病院の件ではないかと警戒する
「今度、鎮めが淵の幽霊を取材することになりまして、先生に調査をお願いしたいのですが。」
「どのような幽霊でしょうか。」
「鎮めが淵の水面の上に着物の女性が立っているという情報があるのです。」
「今度は水の上ですか。」
沙也加は岩の上の怨霊を思い出す
「誤解なさらないでください、目撃だけで何かが起こったというものではないのです。」
「なら、調査は必要ないのではないですか。」
「それが前々回、前回と死者を出しているので慎重を期したいのです。」
「分かりました、危険があるのか調べればいいのですね。」
「はい、お願いします。」
沙也加は依頼を受けることになる。
沙也加とたすくは、沙也加の愛車アルファロメオスパイダーで鎮めが淵へ向かう。
鎮めが淵の近くの食堂で昼食をとることにする。
2人が注文して待っていると店員が話しかけてくる
「どこまで行きますか。」
「鎮めが淵に行く予定です。」
たすくが答える
「あそこはやめた方がいい。」
「どうしてですか。」
「昔、生贄を淵の主にささげていたところだ。」
「昔のことでしょ。」
「近づくと淵に引きずり込まれるから、地元の人は近づかないよ。」
「そうなんですか。」
店主が料理を持ってやってくる
「ばあちゃん、余計なこと言わなくていい。」
「本当のことだろ。」
「よその人には関係ないことだ。」
「あのう、着物を着た女幽霊を見た人はいますか。」
たすくが質問すると2人は黙り込む
「どうしたんですか。」
「早く食べんと冷めるぞ。」
話をそらされる。
店を出ると沙也加が言う
「きな臭くなってきたわね。」
「あの反応は何でしょう。」
たすくが応じる。
2人は付近で聞き込みをすることにする。




