プロローグ2-2
カタカタカタカタ
あれ?何かの音がする?奥のドアの方からだ。
勝手に入るのもなんだかいけないことだとは思うが、一応こっちはアポイントをとってるんだ!
たぶん問題はないだろう...無いと思いたい...
奥のドアを開けると...
カタカタカタカタ
熱心にパソコンに向かって仕事?の様な事をしている女性を見つけた...
なるほど...イヤホンをしてたから気が付かなかったのか...
あ!こっちに気づいた!
探偵:「うん?君は誰だい?」
厚助:「あの~昨日連絡させていただいた助口というものですけど...」
探偵:「ん?」
厚助:「昨日、求人をみて連絡させていただいた助口厚助です。」
探偵:「なんだって?」
厚助:「だから!今日面接予定の助口です!」
探偵:「うん?」
なんだこの会話の繰り返しは!?永遠にこの会話が続くのか!?
...っていうか、会話をするならイヤホン外せよ!
そのせいで聞こえないんだろうが!
探偵:「...ああ、昨日連絡のあった面接予定者か!」
厚助:「あ、はい。そうです...」
よかった!忘れられたのかと思った..
探偵:「ちょっと待ってくれ、切りのいいところまで終わらせたら面接を始めるから、椅子にでも座っていてくれ。」
厚助:「はい、分かりました。」
ああ、仕事中だったのか...それは悪いことをしたな...
~5分後~
探偵:「やあ、待たせてすまなかったね。」
厚助:「いえ、全然大丈夫です。」
探偵:「それで、君は誰だい?」
また戻った!?
厚助:「昨日連絡させていただいた、助口厚助と申します。」
「こちらの探偵社の求人を見て、興味をひかれたので伺わせていただきました。」
探偵:「ああ...最近は誰も来なくなったから、てっきり捨てられたのかと思ってたんだがね。」
「そんなかしこまらなくて大丈夫だよ。」
「早速だけれど、面接を始めてもいいかな。」
厚助:「はい、よろしくお願いします。」
探偵:「まあ、私が君に聞こうと思っていることはもう決まっているんだ。」
「その質問に対し、君が思っている純粋な気持ちをこたえてほしい。」
まあ、よくある話だ。
就活のために、ひたすら履歴書の採点やら面接練習やらを受けるが、そういったものの"解答"というのは、ほとんどテンプレート通りになってしまう。
自分のことのはずなのに、実際の自分とは違った自分がそこには居るのだ。
企業は受験者の偽りのない解答を期待するのに、受験者は偽りの解答があたかも自分であるかのように言う...
それが就活というものなんだろうなぁ...
厚助:「はい、分かりました。」
探偵:「それでは、最後の質問だ。」
あれ!?時間が飛んだ?
まさか...キング・クリム〇ン!
僕が気づかない間に面接が終わっていただなんて!?
...って、そんなことあるか!
厚助:「あの!すみません!最後の質問ってどういうことでしょうか!」
探偵:「ああ、私の面接で聞くのはただ1つだけだからだよ」
質問が1つ...ってどういうことだよ!
本当にこの探偵社は採用する気がなさそうだな!
まあ、それよりも質問の内容だ...
探偵:「私からの質問は、君は"探偵"であるかどうかだ」
厚助:「探偵...である...?」
探偵:「ああそうだ。ここは探偵社...君がここに入社するのであれば必然的にそうなるだろう?」
「だから、私が君に問いたいのは、"君がこれから探偵として活躍することができるのか"ということだよ。」
「この質問に対し、君の純粋な解答が聞きたい。」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。