プロローグ2-1
~翌日~
厚助:「ここが、名手探偵社か...」
家から自転車で30分ほどかけてたどり着いた場所は、3階建ての建物だった。
だが、全然探偵社っぽくは見えない。
だって、1階も3階もテナント募集の張り紙がされており、あたりを見回してもどこにも探偵社の文字は見つからなかった。
住所はあってるからたぶん2階にあるのだろうが、外側だけを見てみると2階も何もないんじゃと思えるような見た目だった。
あの有名な毛利さん家みたいに、窓に大きく書いたらいいのに...
厚助:「とりあえず、登ってみるか...」
階段を登っていくと扉が見えた。
"名手探偵社"
と小さな看板が扉に出ていた。
本当にあったのか...
っていうか、探偵社なら分かるように廊下でもいいからなんか出しとけよ!
それになんだよこの小ささ! 老眼どころか視力1.0ぐらいの人だって見えないくらい文字が小さいぞ!
本気で心配になってきた。
大丈夫なんだろうか?この探偵社は...
流石にここまで来てそのまま帰るっていうのもなぁ...
はぁ...まあ、これは面接練習だ!そう!落とされようが何も問題はない!
コンコン
と扉をノックした。
シ~~ン
あれ?聞こえなかっただろうか?
とりあえず強めにもう一度...
コンコン
シ~~ン
全然返答が来ない...
え!?昨日の今日で面接があることすら忘れられてる!?
ドアに手をかけると...
ガチャ
空いてしまった!
えぇ!不用心過ぎない!?
...ドラマとかじゃ、こういう返事がない時にドアが空くってやばい状態じゃないだろうか!
ここは探偵社、こういった状態に遭遇したときの最悪の状態は!?
いや...普通は鍵をかけ忘れたとか...そういった凡ミスがちょうど今日だったのかもしれない!
落ち着け!落ち着け!こういう時は円周率を数えるんだ!
3.14......あと知らねぇ!
それに、こういう時は普通素数だろうが!
はぁ、とりあえず覚悟を決めるか...
厚助:「すみません。誰かいませんか...?」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。