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龍爪


 面倒だ。こういうときは術者を先につぶすのが定石。

 さっさとタローをぶちのめして水龍を開放してやろう。

【身体強化・最大】

 俺は勢いをつけて跳び、水龍の頭に乗っかっているタローめがけて思い切り殴りかかった。


「おっと、てめえのそのイカレた攻撃力は受けねえ! 俺を守れ、水龍!」


 水龍がタローの指示によって、鋭い爪を俺に向けた。その引っ掻きは巨体にもかかわらずあり得ないほどの速さを持っていた。

 避けることは不可能だな。

 そう判断した俺は、自身の魔力を全身に行きわたらせて、土魔法の全身硬化を発動させた。

【ブロックアーマー】

 俺の身体は高密度の土によって型どられていく。俺は防御魔法は苦手だが、即効性のあるものではこれが一番適しているはずだ。

 そして水龍の爪が俺に直撃した。途轍もなく強い衝撃。高密度の土が壊されていくのを感じた。


「ぐあっ!」


 俺はそのまま地面に叩きつけられる。地面がへこみ、俺はまるで水中に入ったかのように、地面の底へと沈んでいった。

 勢いが止まって、俺はそこから這い上がった。俺を包んでいた魔法は完全に壊されている。それどころか俺の胸には切り傷が刻まれていた。出血している。

 なんて破壊力だ。


「流石のてめえでも龍の爪ならダメージをくらうみたいだなあ?」

「随分固いんだな。龍の爪はよ」

「当たり前だ! 龍の爪は聖剣にもなるミスリル、オリハルコン級の素材だ。それに龍の身体能力まで加わるんだから、ただで済むわけがない。普通なら跡形もなく細切れになるところなんだが……やはりてめえはチート野郎だ」


 タローは俺を見て眉をしかめた。

 意味はわからんが、俺のことを嫌ってることはよくわかる。

 それにしてもどうするか。身体強化が最大で、土魔法まで使っても駄目となると、やつの間合いに近づけない。こうなったら遠距離魔法で攻めてみるか。

 俺は右手をタローに向けてかざした。

【ジガフレイム】

 すると俺の右手からは巨大な炎が出現する。龍の顔はすっぽりと収まるくらいの大きさはあるだろう。


「なんだそのでかさ!? おい水龍迎え撃て!!」


 タローの言葉によって、水龍は口を開き巨大な炎を吐き出した。水の龍なのに炎使えんのかよ。

 俺の炎と龍の炎はぶつかり合いその場に大きな衝撃を生んだ。


「「きゃあっ」」


 リリアとルナフレアも衝撃に巻き込まれる。俺は咄嗟に彼女たちに土魔法を使って、衝撃から守った。

 勢いは止まらず、近くに生えていた木々が衝撃によって倒れた。

 衝撃がやむと俺と龍を中心として円状に大地が焼けていた。


「おいおい、龍の火炎は世界を焼くと言われている地獄の業火だぞ。てめえは本当なんなんだよ……」

「さあ。でも俺も舐めてたよ。龍がこんなに強いなんてな」


 さてどうするか。対抗出来てはいるが、決定打にはなりそうにない。

 後俺が使えるものと言ったら、じっちゃん剣術くらいだけど……剣の代わりになりそうなのがこの木の棒くらいしかないんだよな。まあやるだけやってみるか。

 俺は腰に差していた木の棒を構える。

【武器強化・最大】【火属性・付与】

 木の棒に赤い魔力が漂う。さあいくぜ。

 俺は一気に踏みこんだ。


「馬鹿が。またその木の棒か。以前のようなまぐれは無いぞ! 切り裂け水龍!」


 水龍の爪が再び俺を襲った。

 俺は木の棒を腰に構えて居合の姿勢をとった。


「じっちゃん流剣術、一陣の舞!」


 俺の放った居合切りは正確に水龍の爪をとらえ、やつの攻撃を止めた。


「ば、馬鹿な……何故龍爪を止められる」

「どうやら止めただけじゃないみたいだぜ」

「何……?」


 龍の爪がぺきぺきと音を鳴らしたと思えば、そのまま砕けた。


「あぁ!!?」


 タローが情けない声を出した。

 俺は奴が唖然としている間に地面を蹴り、タローの元へと跳んだ。そしてそのまま持っている棒でタローの頭を思い切りぶん殴る。


「がぁっ!」


 火属性を付与していた俺の武器は、奴の頭で見事に燃えた。タローはそのまま地面にめり込むようにして叩きつけられた。


「さて、終わりだ。迷惑かけたな水龍、悪い」


 俺は地面からタローを引きずり出して、水龍に向かってそう言った。


 


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