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メソロジア~ブラック・ストーム~  作者: 夢科緋辻
第3章 オカルティック・サマーバケイション編
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89/151

あとがき

 一章ずつの方はお久しぶり、まとめ読みの方は初めまして。

 ゆめしなつじです。


 祝! 第三章完結!!


 毎度の事ですが、続編の投稿予約を全て終えた瞬間というのは途轍もない安堵感に包まれます。途中で書く事をやめるつもりは毛頭ないとは言え、創作なんて水物であり、調子を崩したりやる気が薄れたりすれば簡単に筆が進まなくなります。今回も何度筆が止まった事やら……


 ブラック・ストーム自体もまだ折り返し地点を迎えただけですし、本編『メソロジア』に至るまでにはまだまだ長い道のりが待ち構えています。ここ最近になって感想やレビューをいただけるようにもなってきて、それが執筆意欲を支えている事は疑いようがありません。「読んでますよー」くらいの一言でもいいので、私を助けると思って応援してくださいお願いします!


 さて、それでは第三章の解説を。


 今回のテーマは、『知ろうとする想いこそ、最も大切なんだ』という事です。片羽翔子に主人公として頑張ってもらいました。


 それにしても、第一章の頃と比べて随分と印象の変わりましたね。あの頃も頑固な所はありましたが、ここまで物語を引っ張れる存在になれるとは思ってもみませんでした。彼女が成長した……というよりも、私の中で片羽翔子という存在が明確になってきた事が変化の原因だと思います。


 特に印象に残っているシーンは、第22話の最後――「こんなにも、私の世界は広がったんだから!」と言って、水平線まで続く絶景の下で両手を広げる場面です。未開の地に踏み出す恐怖に打ち勝ち、知ろうと決意して進んだ結果、出会えた絶景に歓喜する。第二章と同じく、この台詞も私の経験に基づいた結論になります。


 皆さんは、世界が広がったと感じた瞬間に出会った事はありますか?


 私にとってその瞬間は、大学に進学した時でした。

 初めての一人暮らしに、知り合いが殆どいない状況。時間割も自分で決めて、サークルやバイトをするしないも個人の自由。高校の時までは何となく敷かれていたレールも一切なく、自分の足だけで荒野を歩いていけと言われた気分だったのを覚えています。


 その時に、怖じ気づいて、小さな一歩すら踏み出さなければ、きっと今の自分はいません。今回のような物語だって書けていないでしょうし、そもそも小説だって書き続けているのかも分かりません。あの頃の自分に拍手を送りたい気分ですね。


 でも、その一歩を踏み出すためには半端ない勇気が必要です。

 何度だって足踏みをしますし、頑張って進める距離もほんのわずか。実際に私も心が折れそうになったのを覚えています。その時の苦しみが、今回の遠江真輝に反映されているのかもしれません。


 実を言うと、プロットの段階では、遠江真輝が片羽翔子に相談するというシーンはありませんでした。(※第11話『炎に願いを』)ただ、ひたすら前だけを向き続ける片羽翔子を書いている内に、私の頭の中で遠江真輝が喋り始めたのです――どうして片羽翔子はそんなに強いんだと。


『自分』という明確な軸を持っているからこそ、遠江真輝の瞳には『自分の世界』の外側が非常に怖い場所に映った事でしょう。

 彼女は真っ直ぐな性格です。自分が正しいと判断したなら、絶対にそれをやり遂げます。物事の判断基準が他人や周囲の環境ではなく、自分の心の中にある。他の誰かに依存せずに、たった一人で戦ってきたという矜持。それを持っているが故に、自分の外の世界を信用できていなかったのです。


 最終的には一歩を踏み出して、自分自身を乗り越えてくれました。今回の物語で遠江真輝の成長を描くつもりはなかったのですが、これは嬉しい誤算です。もうすぐ書く予定にしている彼女がメインの物語の伏線もたくさん張る事ができました。前だけを向いて進み続ける片羽翔子の凄さも、遠江真輝との比較で上手く書けたかなと思っております。


 また、今回は『知らない事、分からない物』は当たり前のようにあると示す意味でも、都市伝説や界力の歴史にも少し触れてみました。作中では判明していないとなっていますが、ちゃんと私の頭の中には回答があります。本編『メソロジア』の軸となる要素なので、こうして早々に披露できて良かったです。


 あとはアネモネについて。

 ブラック・ストームを書き始めた時、絶対にシリーズのどこかでアネモネを使おうと決めていました。理由は単純です。アネモネは非常に『風』と関連深い花だからです。


 語源はギリシャ語で風を表す"anemo"という単語だと言われています。英語では"anemone(アネモネ)"の他に、"window flower"――風の花と呼ばれているそうです。


 お気付きの通り、ブラック・ストームでは『風』を軸にしています。

 タイトル名だったり、主人公である霧沢直也の界力術だったり。他にも色々と『風』に関連付けて物語を作っています。第22話の最後の演出を考えている時にアネモネを思い出したのは、我ながらナイスアイデアだと思っています。白いアネモネだった理由は、花言葉を確認してみてください。聖霊サナトアの少女による祝福を表現しています。


 プロット段階の裏話をしますと、夏休みだし、南の島だし、旅行だし、水着とかお風呂とかそう言う『お約束』シーンも書く予定がありました。ですがイラストがない段階でそれをしてもあんまり意味がないかなと思って断念。いつかイラストを描いていただけるような作家になった時は、水着やお風呂シーンを書いてみたいです。


 と言うか、見てみたい! 自分のキャラクターがそういう場所にいるイラストを!!! 物書きならこの気持ち分かってくれるはずです!! ね!!!


 裏話で言うと、今回は本作の主人公である霧沢直也にあまり活躍するシーンを与えませんでした。むしろ船酔いでダウンしてたり、天風島の事件に気付くのを遅らせたりと、色々と後手に回ってもらっています。

 これには片羽翔子や遠江真輝といった今作で中心になるキャラクターが霞まないようにするといった理由があります。霧沢直也が事件に絡めば、それは霧沢直也が超人的な力で解決する物語になりかねません。それではもったいない。せっかくこれだけキャラクターがいるんですから、全員に活躍の場を用意してあげないと。


 さて、では解説はこの辺にして。

 今後の展開を発表していきます。


 次回作のプロットはすでに完成していて、執筆に取り掛かっています。ですが、それは『ブラック・ストーム』ではありません。


 そう、新シリーズです!

 早く本編を書けと脳内の自分に責められていますが、こればっかりは仕方ないのです。唐突にとあるキャラクターが脳内に舞い降りて、彼女の物語を書きたいと強く思い、気付いた頃にはプロットが完成していたのですから。


 メソロジア~オーバー・スカイ~

 

 ブラック・ストームが第一校区の話ですが、オーバー・スカイは第二校区が舞台になります。また別の側面からメソロジアの世界を描いていくので、期待して待っていてください! 短編なのであまり時間を掛けずに皆様にお届けできると思います! 予定では8月までには何とか投稿を開始するつもりです!


 そして!

 ブラック・ストームの次回作も決定しています!


 ようやく遠江真輝の物語が書ける……! と思っていたのですが、今回活躍できなかった霧沢直也が可哀相に思えてきたので、一本だけ短編を書きます。夏休みに本土に帰った霧沢直也が騒動に巻き込まれる予定です。天城家の闇や、教育施設を滅ぼしたクーデターといった霧沢直也の過去にも触れるかも……? まだ何も決めていませんが、少し突っ込んだ話にするつもりです。次章予告はプロットが完成したら投稿します!


 それでは、最後に謝辞を。

 ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます!


 PVや星、ブックマークといった皆様からの反応ほど嬉しい物はありません。感想をくださった方も、レビューをくださった方も、誤字報告をくださった方も、あなた達がいなければどこかで心が折れていたかもしれません。ここまでメソロジアの世界を描けたのも皆様のおかげです。


 聖霊サナトア聖霊の力(セインズ)など、ようやく物語の根幹に近い概念も登場してきました。章が進むごとに世界観と設定はより深く、濃く、なっていきます。今作のコンセプトである『深い世界観と、凝った設定による面白さ』にも注目です!


 今後もメソロジアの世界を楽しんでください!


 そのでは、この辺りでページを閉じていただいて。

 次の物語も読んでいただける事を願いつつ。

 今回はこの辺りで筆を置かせていただきます。


 片羽翔子と上柳高澄の関係は理想形だと思います



 2019年6月4日

 夢科 緋辻

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