プロローグ
-外では虐殺が行われていた-
夜なのに外がチカチカと明るいのが、タンスの隙間から見てわかる。
村が燃えている。
私の家は村でも外れの方にあるにもかかわらず、さっきの爆発で村は一気に火の海と化した。爆発は村の中心で起きたみたいだか、ここまで来るというのはものすごい勢いだったと思う。
私はすぐさま家のタンスに逃げ込み、止まらない震えと外から聞こえてくる断末魔のような叫びとで頭がおかしくなりそうになりながらも必死に声を殺して隠れていた。
すると突然勢い良く扉が開き、知らない男が中に入ってきた。その男がタンスに近づいてこようとしたその時、その男の足が止まった。
何者かがその男を引き止めたようだった。
しかしその瞬間に部屋全体に血が飛び散り、その血の色は私がよく知っているプレデター特有の〝黒〟だった。
その男は倒れている男の子らしき何者かを肩に背負い、その部屋を後にした。
出ていく直前に見た背負われている男の子の顔は最後の力を振り絞ったと言わんばかりの笑顔でこちらを向いて笑っていた。
私はその時、全てを理解した。
涙が止まらなくなり、連れて行かれる兄の名前を叫ぼうと
する口を必死に手で抑えた。
「 ..............。」