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姉は貧乳ですがせっかく異世界来たので装備は女性用でお願いします  作者: 笑門一二三
異世界生活始めましたinレリア
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大討伐作戦-猛攻-

ドゴゴゴゴ...

遠くの方から爆音が迫ってきている。

舞い上がっている砂ぼこりと微かに肌に感じる風圧に

その速度と大きさをあらわにする。

「あれがマンドラドラゴンか、ふざけ倒した名前の割には随分と普通に強そうなんだけど」

「あんなの討伐できるの...?」

あまりの大きさに息を呑む。

何本もの触手が背中から生えているが原型はドラゴンなのだとはっきり分かる。

大きな両翼を広げ低空飛行でこちらに向かってくる。

「キャアアアアアアアアアアア!!!!!!」

絶望を感じさせるようなとてつもない騒音にその場にいた全員が耳を塞ぐ。

耳を塞いだにも関わらず気を失い、地面に倒れていく冒険者もいる。

「な、なんだ!?」

「あれがマンドラドラゴンの特徴です!マンドラゴラを引き抜いた時のような悪魔の鳴き声を持っています!周りを見てわかると思いますが、耐性の弱い人は気を失ってしまいます」

夢さんも気をつけてくださいと言ってメルカも倒れる。

「メルカああああ!!!!」

メルカを含め、こちらの戦力はかなり減ってしまっているようだ、

事前に遠距離攻撃は無いと聞いてたためすっかり油断していたが

まさか鳴き声そのものが攻撃手段になるとは...

「要手当ての者たちを後ろへ!!ナイト、ガーディアンは最前列に移動、その他近接職業はその後ろにつけ!!魔法使い系は後方から詠唱開始、プリースト及びエンチャンター職業はやれるだけの準備をしろおお!!ガッハッハッハッハ!!!!」

その声のデカさもさることながら、戦術や統率力はさすが巨人族、たよりになる。

「効くかどうか分からないけど...マジックリフレクト!!!!!」

別のパーティのウィザードが魔法反射魔法を唱えた。なかなかの高等魔法だから、

あのウィザードはA級からS級ほどだろう。なかなかに心強い。全員とはいかないものも、

広範囲にわたって青白い光が漂っている、

始めてみるが、何だろうやっぱり魔法ってかっこいい

「キャアアアアアアアア!!!!」

相変わらず耳を塞いでしまうほどの騒音ではあるが、さっきよりは幾分かマシになっている。

「メリーが反射呪文を唱えてくれた!!攻めるなら今だ!いくぞおめえらああああ!!!ガッハッハッハッハ!!!!」

トールの言葉に続き、前衛職の冒険者達がマンドラドラゴンに一斉に攻め込む。

メリーと呼ばれたウィザードは照れながらも冒険者達と掛け声を合わせる。

「お、おおおおおお!」

「夢様、私も行ってきますね!後ろからの援護、頼みますよ?」

リリアさんはこのパーティ唯一の前衛職、ナイトだ。

鞘から剣を抜いて他のナイトやガーディアンたちと合流する

「わかった、頑張ってきて!くれぐれも気をつけて」

俺はアーチャーだから、みんなの援護に集中せんとするが触手の猛攻が襲う、

腰の矢筒から何本もの矢を束ね持ち、叫んだ。

「ッアローレインッ!!!」

放たれた複数の矢は、白い光を纏いながら空高くまで上がり、一気に急降下する。

俺の一つしかない攻撃スキルだ。その1本1本が冒険者達に迫っていた触手を穿つ。

「助かったぜ色男!!ガッハッハッハ!!!」

いくつかのクエストを受けてきて、まだB級ではあるもののレベルは上がり、色んな技が使えるとばかり思っていたが、使えるのは遠くの方がよく見えるようになるのとこれだけ、

不遇な扱いを受けているらしいこの世界のアーチャーは

「っいてて...あ、もう戦闘が始まってる感じですか!ご迷惑おかけしました...」

姉さんと他のパーティのガーディアンに守られていたメルカが申し訳なさそうな顔をする。

「大丈夫?もう少し休んでても平気だよ」

姉さんの言葉が、メルカの不安を和らげるための強がりだとすぐにわかり、そんなことはしていられないと声を張る。

「大丈夫です!かけたご迷惑の分は働いて返します!」

そう言うとすぐに立ち上がり、杖をマンドラドラゴンに向ける。

「っはあああ!燃えて灰になっちゃってください!!『ハイヴォルフフレア』!!!!!!!」

今までに聞いたことのないほどのメルカの叫びとともに、メルカの周りに黒と蒼の炎が流れ始め、赤色の耳や尻尾がなびく。そしてメルカの瞳が焦げ茶から炎のように真っ赤な赤に変わっていく。

あまりのオーラに、メルカの前で防戦していた姉さんとガーディアンが目を見開く。

ドオオオオオオオオオン!!!!

激しい音と同時に巨大な火球がマンドラドラゴンの顔面に弾ける。

その威力はS級ウィザードと同等かそれ以上のものだ。

「私達ハーフウルフのウィザードが使える奥義の一つです、魔力の消費が激しいですが...奥の手見せちゃいました、」

それはハーフウルフのウィザードのみが習得できる極大魔法で、

他の種族のウィザードがどんなにレベルを上げても使えないのだという。

羨ましい。

なんだ、あれか種族変えられないの?この世界

人間やめたい、

「だ、大丈夫か!?しっかりしろ!」

ふらつくメルカをガーディアンが支え、姉さんがマナポーションを飲ませる。

「やっぱり不味いです...」

相当マナポーションが不味いのか女の子とは思えない顔をするメルカ。

「これで普通の魔法は使えるはずよ、もうひと頑張りだね!メルカちゃん」

メルカの極大魔法により、マンドラドラゴンの体力はかなり減っていそうだが、同時に...

「キャアアアアアアアアアアアア!!!!!」

「っく...マンドラドラゴンが怒ったぞおおお!気をつけろおおおお!!!絶対に捕まるなよお前らあ!」

前衛で戦っていたソードマンの一言に全員が身を引き締める。

「ああ!もう!きりがねえなああ!!!ガッハッハッハ!!!!!」

巨大な棍棒を振り回しながらトールが叫ぶ。

キレているのか笑っているのか分からない。

「リリアさん危ない!!」

「え?夢様!?」

死角から回り込んできていた触手がリリアさんを捕らえる。

「さすがだな、マンドラドラゴン...ちゃんと需要を理解してる!」

「な、なに!?私はされる方じゃなくて夢様達がされてるところを見たいの!でも、今の私を見て夢様が興奮しているならそれはそれで...」

「もういっそこのまま食べられれば良いのに。まぁ、しょうがないか...後で謝ってもらうからね!」

このクエストにはリリアさんのトラウマを克服する目的もあるのに、また捕食されては元も子もない。だが、リリアさんを捕らえている触手を狙おうにも動きが早くて狙えない。

「『スローラー』!!!」

姉さんの呪いの効果でマンドラドラゴンの動きが一時的に遅くなった。

くそ!魔法使い系ばかり優遇しやがって、

まあアーチャーは魔力消費無いですし?いいですけどね、悔しくなんか無いですけどね!?

「でも助かったよ姉さん」

「もちろんよ!夢の考えていることは全部手に取るようにわかるもの!でもなんで半泣きなのかはわかんない!」

「『アローレイン』!『アローレイン』!『アローr』あ、矢切れた」

放たれた矢は放射状に飛び、触手は粉砕する。と同時に顔を赤くしてハアハア言っているリリアさんも空に投げ出された。

もう何もできないけど

「助かりました、夢様!この恩はこの身で返します!いや、むしろ返させてください!ハアハア...」

「変な事言わないでって言ってるよね?」

後ろの姉さんの目が怖い。

「ナイスな連携だったぜ夢ええ!!ガッハッハ!!!ヒュージ!酒をくれ、久しぶりに本気で暴れたくなってきたあああああああ!!!ガッハッハッハッハ!!!」

投げられた酒を受け取り棍棒で蓋を割ると、一気に酒を飲み干した。みるみるうちに体中が赤くなり筋肉が盛り上がる。血管は太くなりただでさえ大きく迫力のある巨体は、もはや魔族のようにも見える。

「うおおおおお!!!お前ら突っ込むぞ!この俺に続けええええええ!!!ガッハッハッハッハ!!!」

酒の力で強化されたトールの激しい一撃に棍棒は耐えられず粉々に砕け散った。その重い攻撃がこたえたのかマンドラドラゴンもよろめいた。

「やったか?」

冒険者のひとりが口走った

「あ、フラグ建てた」

姉さんが呟いたとき、背後から触手が伸びその冒険者とついでに姉さんが触手に捕まる

「きゃあああああああ!!気持ち悪い!ぬめぬめとぅるとぅるしてる!やだあああああああああ!!」

冒険者はともかく姉さんも捕まっただけで同人誌的な展開はなくただ捕食されそうに...捕食?って駄目じゃん!!

「姉さん今助けるから!」

スカッ...

スカッ...

あ、矢無いんだった

「ごめん姉さん何もできない!」

「用意せずにあんなに矢を打つからです。今度からはもっと矢を持ってきておきましょう」

姉さんはそのままマンドラドラゴンの口の中へ入ろうとした瞬間

「うらあ!!」

ハイテンションのトールが拳で触手を粉砕した

「大丈夫か姫!!!ガッハッハッハッハ!!!よし!あと少しだ押し切れえええ!!」

トールの鼓舞に味方全体の士気が上がり、激昂したマンドラドラゴンに猛攻が集中する。


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