55A列車 稚内行き特別急行
3月11日。この日はよいよ最北端稚内を目指す。
今回の3月4日ダイヤ改正で稚内行きの特急列車と網走行きの特急列車の運行形態は大きく改訂された。朝方と深夜に札幌駅まで乗り入れてくる稚内行き「宗谷」と網走行き「オホーツク」以外はすべて旭川駅で折り返し、稚内行きは「サロベツ」、網走行きには「大雪」の名が与えられた。そして、札幌~旭川間では特急「ライラック」が愛称復活し、「ライラック」が「サロベツ」・「大雪」の接続する。しかし、これはJR北海道の経営の厳しさを体現したようなダイヤ改正でもあった。数少ないディーゼルカーを効率よく運用するため仕方が無いのだが・・・。
今回は「宗谷」で稚内を目指し、「宗谷」で札幌まで帰ってくる。7時30分に札幌を出発し、稚内到着は12時40分。復路は17時46分に稚内を出発し、札幌には22時57分に戻ってくるのだ。
僕らは6時少し前にホテルを出て、札幌駅まで歩いて行った。すすきのから札幌までは地下道でつながっているため、わざわざ寒い外を歩く必要は無い。札幌に着いたら、大きい荷物をコインロッカーに預けた。こうせざるを得ないのはホテルを連泊で取ることが出来なかったからである。ホテルは取れたからいいのだが、連泊で取ることが出来なかったのは残念だった。まぁ、コインロッカー分の代金が多くかかるだけだけど・・・。
「さて、行こうか。」
稚内行き「宗谷」は8番線から出発する。
「まもなく、8番線に稚内行き、特別急行「宗谷」が到着します。列車は4両編成です。指定席は1号車、2号車、3号車。自由席は4号車です。グリーン車は1号車の一部です。」
そのアナウンスの後に現れたのはキハ261系。高い位置にある運転台。ヘッドマークと同じ高さに横向きで着いたヘッドライト。青色の先頭部とステンレスの車体。先頭部横に書かれたTilt261のロゴ。違いは大きいがイメージは昨日乗ったキハ281系とあまり変わらない。ヘッドマークには宗谷地方が描かれているが、そのどこにも列車愛称の表記は見られない。
「愛称すら書いてないね。」
「うん・・・。何か寂しいヘッドマークだね・・・。」
「まさか、「スーパー宗谷」が愛称消滅するとは思わなかったもんね。」
「うん、「スーパー宗谷」に愛称統一するものだと思ってたからなぁ・・・。」
列車に乗り込み、出発を待った。
出発時間7時30分。
「フィ、フュー.」
甲高いブレーキ解除の音が車内にまで届く。
「ブルルン、ズズズズズズズズズズ。ギュイィィィィィィィィン。」
エンジンが大きくうなりを上げ、ディーゼルカーではほとんど見受けられない加速力を見せつけて札幌駅を離れる。札幌近辺は雪が降っている。そういえば、傘をコインロッカーに預けた荷物の中に入ったままになっていることに今気づいた。稚内は雪が降っていないといいなぁ・・・。
岩見沢、美唄、砂川、滝川、深川ととまり、旭川まで行く。旭川まで行くと多くの人がおり、そして大きな荷物を持った人が多く乗ってきた。
ここから先は北に向かう唯一の鉄路。宗谷本線へと入る。