54A列車 ゴムタイヤ地下鉄
札幌駅で降りるときに「スーパー北斗15号」の切符に乗車記念のはんこを押して貰った。これで今日自分のものになった特急券は「のぞみ106号」、「はやぶさ13号」、「スーパー北斗15号」の3枚だ。
「さて、早いところホテルに行こうか。」
「うん。さすがに疲れた。おしり痛いよ。」
(だから、おしりって・・・。)
「とりあえず、すすきのに行かないと行けないから、地下鉄に乗らないとね。」
僕らは天井につるされている案内を見ながら、札幌市営地下鉄の駅を目指した。札幌駅は多くの人が歩いている。今は金曜日の18時台。多くの人が仕事を終えて、家路に就いているのだ。
もっているICOCAで入場し、南北線のホームへと行った。
札幌市営地下鉄の特徴というのはなんと言っても普通の地下鉄じゃないと言うことだ。皆さんの思う地下鉄というのはレールの上に乗っていて、ビル群の下に掘られたトンネルを走る鉄道だろう。しかし、札幌市営地下鉄はビル群の下を通る点は同じであるが、レールの上には乗っていない。いや、そもそも下に鉄が使われている場所はどこにもないのだ。
札幌の地下鉄は何で走っているのかというと、なんとゴムタイヤで走っている。車輪ではない。タイヤで走っている。ここはとても大事な特徴だ。そのため、ホームドアで仕切られた気動を眺めても鉄のレールはどこにもない。豪雪地帯にある都市に地下鉄を通すための苦心の結果でもあろう。
「まもなく真駒内行きが到着します。」
アナウンスが流れ、その地下鉄がやってきた。ゴムタイヤで走っていることもあって、ガタンゴトンとは当然言わない。モーターの音がトンネルの中に響く。列車に乗るとすぐにドアが閉まる。そして、鉄道ではあり得ないような加速を見せつけてさっぽろ駅から離れていく。そして、あっという間に隣の大通駅に到着。次のすすきの駅にもすぐに到着した。
ホテルに着くと僕らは7階の部屋に通された。そういえば・・・ホテルの和室ってどんなだろう・・・。そう思いながら、扉を開けてみた。
「あっ、広い。」
萌がそう声を上げる。
「うわっ、ホントだ。広い。」
これが広いと思えるなんてよほど狭い部屋になれたのかな・・・。布団は二つもう敷いてある。
「ナガシィ。」
「なぁに。」
「見る・・・。私の裸・・・。」
そう言い、萌はセーターの襟をちょっと下に引っ張る。と言っても厚着のせいでほとんど引っ張れてないけど。
「いやっ・・・そりゃ、見・・・見れたら嬉しいけどさ・・・。明日も早いからそういうのは無し。」
「・・・それもそうね。ナガシィ、見たいならつきあうからね。」
「だから、そういう話も無し。」