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57A列車 最北端稚内

 「宗谷(そうや)」は佐久(さく)駅を35分遅れで出発した。隣の天塩中川(てしおなかがわ)にやってくると反対方向に雄信内(おのっぷない)駅で立ち往生したラッセル車が止まっていた。オレンジ色をしたV字形のブレードが着いたラッセルヘッドを付けるDE15形ディーゼル機関車だ。駅に止まっているため、今はすべてのブレードをたたんでいる。だが、天塩中川(てしおなかがわ)駅を出発すれば、ブレードを展開し、雪を豪快にかいていく光景を見ることが出来るだろう。

「雪は付いてないね。」

萌が言う。確かに、ラッセルには雪は着いてない。車掌の言っていたとおりこの先に雪も深くはないみたいだ。

 わずかな停車時間を利用したラッセル車の撮影会は終了。「宗谷(そうや)」は天塩中川(てしおなかがわ)を出発し、一路稚内(わっかない)を目指して走って行く。

 左に利尻富士を見ながら、峠を越えていく。そういえば、前車で来たときは利尻富士なんて見なかったなぁ・・・ってそれは当然かぁ。そもそも利尻富士が見えるところを車で通っていない門な。豊富(とよとみ)バイパスとか内陸部の道路を通って羽幌方面に抜けていったもんなぁ。

 ちらっと上を見るとカメラをもった人がこちらに手を振っている。鉄道ファンだな・・・。僕らも手を振り替えした。団体で乗っているお客さんも彼らに対して手を振り替えしている。

(見えたかなぁ・・・。)

「まもなく南稚内(みなみわっかない)南稚内(みなみわっかない)です。停車時間はわずかです。お降りの際は早めに支度の上デッキでお待ちください。出口は・・・。」

男声の自動放送が流れ、南稚内(みなみわっかない)のホームへと入る。ついにここまで来たのだ。最北端の駅は後1つだ。遅れは相変わらず35分程度のまま推移している。札幌(さっぽろ)稚内(わっかない)間の最速タイムで走る列車である上に、線形などが悪いところではうまく回復運転が出来ないのだろう。

「えー、皆さん聞いてください。まもなく稚内(わっかない)に到着します。皆さんは稚内(わっかない)駅に到着しましたら、この列車で旭川の方に戻ります。「サロベツ4号」という列車です。」

ツアーコンダクターの声を聞いていたが、本当に稚内(わっかない)に行って帰るだけみたいだ。「宗谷(そうや)」から「サロベツ4号」になるちょっとの清掃時間が、稚内(わっかない)での滞在時間となると言うことだ。

「あの人たち本当に来ただけだねぇ・・・。」

降りる準備をしながら、ツアーの人たちのことを聞いていた。

 南稚内(みなみわっかない)を出発すると、すぐに稚内(わっかない)でのアナウンスが流れた。

「まもなく執着稚内(わっかない)稚内(わっかない)です。どなた様もお忘れ物の無いようお降りください。出口は右側です。お降りの際は足下に隙間がありますのでご注意ください。お子様連れのお客様は手を離さずにお降りください。今日もJR北海道をご利用くださいまして、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」

宗谷(そうや)」はスピードを下げ、稚内(わっかない)のホームへと入る。札幌(さっぽろ)から約400キロ離れた地へやってきた。

「ナガシィ。」

萌が僕を呼んだ。

「何。」

「お誕生日おめでとう。まだ言ってなかったでしょ。」

13時12分。僕らは最北端の駅に到着した。


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