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感染者の街  作者: cozy
3/7

感染者3

正気


感染者という存在が確認された翌日、いつものように仕事に出ていた悟は客であった中年の女性に後ろから腕に噛みつかれていた。


「ツウッ!何してんだよっ!」


何事かと少しだけ慌てる悟ではあったが、強引に女性を引き剥がし工場の外に一応の手加減しながら女性を放り出す。


「ったく、何なんだいったい。ヒステリックなおばちゃんだな。」


ツナギを捲りあげていた袖から見える太い腕にはしっかりと噛み痕が残っており血が滲んでいるが、大した傷には見えず悟は水で洗い流しただけで気にせず仕事に戻る。

普段からテレビもつけず、片田舎で自動車整備の仕事を父親と二人でしている悟は外で起きている騒動に未だ気付いてはいなかった。


「そういやお代も貰ってねえな、車渡してもねえから当たり前か。それにしたってせめて噛まれるなら若い姉ちゃんに噛まれたいもんだよ。」


ブツブツ言いながらもオイルで手を汚しつつ待っている次の車の作業に取り掛かる。慣れた手付きでジャッキアップした車から古いオイルを抜き、タイヤを外していく。


「針金出ちゃってるじゃねえか、よくここまでもったな。それにしたって親父は何してんだ?まだ来ねえなんて、たいして珍しくもねえか。」


あまり細かい事を気にしない性格の悟は一人で作業を進め、一人で昼飯を食べ、一人で事務仕事をこなす。


そしてはっきりとした記憶があるのはここまでであった。


次の記憶は自我の存在がはっきりとしない中、夢うつつのような状況で人を掴まえ噛んでいる。


(・・・そうだよな。増やさないと。)


フラフラと歩きながら街路樹の落ちた葉を食べ、小さな小石を噛み砕く。


(これは食べれる。・・・これもいける、これは・・・、いけるな。)


小さな子供を連れた長い事満足に風呂にも入れていないであろう母子を、人を見つけた時にだけ機敏に動く身体を使って本能に従い追い掛け、建物の隅にまで追い込んでいく。

小さな女の子を守るように抱える母親の服を強引に掴み引き寄せようとするが、抱かれていた子供が汚れた悟の指に噛み付いていた。


思わず手を離し指につく噛み傷を見つめている悟の横を、母子は必死に走り去る。


そこで一度悟の記憶は途切れる。バタンと倒れた悟は苦しみながら胸を掻き毟り、様々な物を口から吐き戻す。

一晩中苦しみ次に意識を取り戻した時、夢から覚めるように悟は感染者から人へと戻っているのであった。





とりあえずここまでが設定のお話しです。

そこまで長くならない予定の話ですが、話の終わりしか考えてませんので、ここからどうなる事やら。

ご意見、感想等お待ちしております。

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