感染者1
新しいお話です。
ゾンビ的な話のようで、それとは少し違う物語を拙い文章ですが時間があればお読みください。
調和
息を潜めながら少しダブついた薄汚れた藍色のツナギを着た男は建物の影に隠れつつ、目的地へ進んでいた。吐く息は白く、手に嵌めている軍手越しの寒さが身体に染み渡る。
伸びた髪を太めのヘアバンドで押さえながら、疲れた表情を隠さずに先の道の安全を確認していく。
(いないか?それにしたって綺麗なもんだ。街の清掃が行き届いてる、食欲旺盛ってやつか。)
男の名は真白 悟、一年程前まで整備士をしていた、覚えている日付が確かであれば三十路に突入したばかりの目つきの鋭くガタイのいい男であった。
今は疲れと無精髭のため元々本当の年齢より上に見られていた見た目が、更に老けて見える。
背負っている年季の入ったカーキ色のボストンバッグから常温の炭酸飲料を取り出し一口飲むと、少しだけホッとした表情を浮かべていた。
(あと少しだったはず、・・・行くか。)
重い足取りで悟は人気のない道を歩き出し、目的地へと向かっていく。
身を隠しながらの時間のかかる移動を続け、目的地である近辺では最大級の公園へと辿り着いていた。葉の無くなり地面にも一切葉っぱの落ちていない手頃な木を見つけると悟はスルスルと登っていき、ボストンバッグから双眼鏡を取り出して公園内を眺める。
(・・・やっぱり記憶通りか。実際に見るまでは信じられなかったな。)
そこには感染者と呼ばれる人類を半数以上にまで減らした天敵が、調和を持って平和に社会生活を営んでいるのであった。
とりあえず最後まで書き切りたい。
ゴールは考えていますので、そこまでどのくらいの文章量になるかは分かりませんが、お付き合いいただければ嬉しいです。