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真・恋姫†無双 ―恋影無想―  作者: 月神
外史帰還編
5/13

5話 真実に触れる者・悲しき運命

5話です。今回からしばらくNTR要素、胸糞悪い要素含みます。






翌朝起きると色々と異変に気付き鏡を手に取る。瞳は深めの蒼に、髪の毛は腰の辺りまで伸びており色は焦げ茶だった。そのすぐ後に澪が起きてきて〝お似合いですよ〟と言われた。自分で言うのもなんだがカッコイイ…アニメのクール系のキャラみたいで。まぁ、それはさておき容姿が変わったことで晴れて街に繰り出せるわけだが…



「なぁ、澪。」




「どうしました?」




「これからさ、一緒に街に行かないか?」




「ん~、まぁ、いいですよ。今日は非番ですし。」


澪は腕を組み首をひねり少し考えてから答えを出した。




「? なんか不都合があるのか?」




「いえ、確か今日の魏の警邏当番は夏侯惇さんと李典さんだったと記憶しているので大丈夫かなぁと。」



なるほど。俺の事を思ってくれての事なのか?と言うか春蘭と真桜かぁ。明らかに騒ぎを起こす側の人間だよな。誰がどう人選をしたのか知らないが明らかな人選ミスだ。




「ありがとう。澪。でも大丈夫だよ。俺は今自分で決めてココにいる。覚悟を決めたんだ。だから大丈夫。心配しないでくれ。」




「は、はい。わかりました…」





コンコン 〝すまない。誰かおられるか?〟



来客のようだ。俺が出るのもマズいので澪に対応を任せる。その間俺は屋根裏部屋に隠れていた。理由?何処かで聞いたことのある声だったから、かな。



〝はい。あら?趙雲様いかがなさいました?〟



〝おぉ、小喬殿。雹香はおるか?〟



〝姉さんですか?朝から街に出てますよ?〟



〝何処へ行ったかわかるか?割と急ぐのだが。〟



〝わかりました。心当たりを回ってきますので少々中でお待ち下さい。〟



〝すまない。頼む。〟





そう言うと澪は急いで外へと出ていき趙雲さんが中に入ってきた。趙雲さんとは1度会っているし中々鋭そうな人だ。髪の色や瞳の色は変わってるけど基本的な輪郭とかは変わってないから見る人が見ればわかると思うんだよなぁ…ヒュッ! ん?ヒュッ?げ、




「ーーーーーーっ!」





気がつくと槍の先端と思われるものが天井に刺さっていた。俺の気配を察して投げたのか?マジでビックリした…




「おや、これは失礼。手が滑りました。どうやら曲者の類ではなさそうですな。 ハッハッハッ」



ハッハッハッじゃないよ……




「良ければそんな所に隠れていないでソレを抜いてこちらに渡してくれると助かるのだが?それとも私に顔を見せれぬ理由がおわりかな?」




慎重に言葉を選ばないと負ける。この人は多分言葉でからかって遊ぶのが好きなタイプだ。澪が帰ってくるまで黙って待っていた方がいいよな。




「はい。そう思ってもらってかまいません。俺はこのまま澪…小喬が帰ってくるまでここに居させてもらいます。」



「そうそう、今日は雹香は帰ってきませんぞ。」




「? それってどういう?」




「実を言うと先日友と街をぶらついていた所、見知らぬ男と雹香が周りを警戒しながら早歩きで家に入る所を見かけましてな。」



はっ!まさかこの人




「そちらの方が面白そうだと友を放置し後をつけ気配を消して聞き耳を立てていた所、話からして恋仲ではなかったようだが、どうやらあなたには他に〝本当の真名〟があるご様子。私にもその名とあなたの声に酷く心当たりがありましてな?」



これは、ひょっとしなくてもバレてるよね。来て早々にやらかしちゃったよ…面白そうだからって理由でつけられたのか…これだからこの手の人種は……しかも気配なんて毛ほども感じなかったし、声だけは変わってないし顔立ちも色違いなだけで基本は一緒だしなぁ。どうするかなぁ。よりにもよって蜀の重鎮にバレるとは……





「直接話がしたいと思い、今朝早く雹香を街に行こうと呼び出して焔耶もとい魏延と共に〝命令で〟山に猪狩に行かせました。探しに行った小喬殿も今頃私の仲間に絡まれていることでしょう。」


やっぱり最初から計画性を持ってたのね。って、仲間!?仲間もいるのか。





「良ければそのお仲間とやらの名前を教えては頂けませんか?」




「おや?顔も見せぬ者に仲間の身元を明かせと?」





確かにその通りだ。そうなんだけどさ……にしても仲間か。澪の上司で魏の人間。なおかつ趙雲さんと仲のいい人……




「あ、」




まさか風と稟か!?軍師だから当然文官とも繋がりあるし昔から趙雲さんと旅をしてたんだから仲間って言うには充分すぎる。まずいな…どうするか、





「もしもあなたが私の知人なら今考えている2人ではありませんぞ。さらに言うなら魏の人間ではありませぬ。その手は確実ではあるが面白みに欠けるし卑怯と言うものだ」


ハッハッハッと趙雲さんは笑う。面白みに欠ける。か。



コンコン 〝星~?いるんでしょ?〟




「仲間が到着したようだ。中に入れてもよろしいかな?」



「どうぞ。」



「はぁ~い。こんにちは。天の御使いクン。」





ん?誰だ?聞き覚えのない声。言い方として趙雲さんと同じタイプの人間なんだろうけど。ただ、入ってきただけでかなりの威圧感を発してる。只者じゃない。


「あれ?星、天の御使いクンは?」




「アソコです。まだ顔も見せてくれなんだ」




「へぇー、まぁ、私が来たからには嫌でも出てきてもらうわよ。出てきてくれないかしら?それと澪なら夕方まで帰ってこないわよ。〝命令で〟仕事に向かわせたわ。」





また〝命令〟…多分この人達の事だから普段この手の命令をしないだろうから効き目あるだろうなぁ。澪も雹香もココじゃ身分は一般兵以上将未満と文官以上軍師未満の感じだから命令されれば断れないだろうし


「私の自己紹介がまだだったわね。私の名前は孫策。さぁ、降りてきなさい。魏にいたのなら常識くらいはわかる筈。」




やられた。元呉王が出てくるとは…




これは一種の脅しだ。元とはいえ王が、呉でもここ頼でも最高クラスの重鎮が自ら平民に自己紹介している。ならば最低でも目を合わせて自己紹介するのが普通。これをしなければ無礼を理由にこの家を破壊する事も澪や雹香、勿論俺を斬首にすることもできる。



「わかりました。降りましょう。」




「良かったわ。話が通じて。」



俺は屋根裏部屋から降りた。そこには確かに趙雲さんと孫策さんの姿があった。趙雲さんと孫策さんは姿が変わっている事に少し驚いた様子だった。





「ん、んんっ、では改めて私は元呉王の孫策伯符。こっちは蜀の五虎大将軍の1人、趙雲子龍よ。あなたの名を名乗りなさい。」





「私の名は柑奈月と申します。」




「偽名は聞いてないわ。本当の名を名乗りなさい。」




「いえ、申し訳ありませんが〝この名〟も両親から貰った大切な名です。決して偽名ではありません。」



「それはごめんなさい。あなたの名を侮辱した事、謝罪するわ。」



「いえ、分かってもらえたなら結構です」


やっぱりこの世界の人達は名に対する思いが強い分、礼儀正しいよなぁ。真名は勿論通常の名前も神聖な物としてちゃんと扱われてる。それを一時的にでも汚せば元王でも頭を下げる。





「ありがとう。では、話してもらえるかしら?」




「ならば、これから話す事は誰にも口外しないと約束していただけますか?特に魏に漏れるような真似はしないと。それならば全ては無理でも一部をお話します。」




「わかったわ。呉の名にかけて約束するわ。口外は絶対にしない。それから私の真名は雪蓮よ。証明として真名を預けるわ。」




「私も同じく自分の地位に誓い約束いたそう。私の真名は星だ。それと口調を砕いて下され。初めて会ったときのように。」




「そうね。」




2人は俺に信頼の証明として真名を預けてくれた。



「わかりま……わかった。俺の真名は優。天での名前は北郷 一刀。2人の言う通り3年前まで魏に天の御使いとして所属してた。雪蓮さんと星さんは何が聞きたいんですか?」



「3年前なぜあなたは消えたの?」




「詳細は言えません。でも俺が消えたのは〝作為的なものだった 〟とだけは言えます。」




「なら、次ね。なぜあなたは戻ってきたの?」




「こちらも詳細は言えません。ですが今回ココに俺が帰ってきたのは〝運命〟と言ってもいいと思います。」




「そう…なら私と星が1番気になっていることを聞くわ。戻ってきたのならなぜ華琳達の元へと帰らないの?」



「…………それは 」



「優殿。生半可な答えならば私はこの場であなたをこの槍で貫きます。あなたは私の親友である稟と風を哀しませた。消えたのが作為的なものだったのならいたしかたないのかも知れない。しかし帰ってきたのになぜ彼女達の元へとは帰らぬのです。」



星さんは目に涙を溜めながら俺を睨みつけていた。向けられるのは哀しい殺気。当然の事…だとは思う。でも俺はこちらでの真実を知ってしまったから。



「理由はいくつかあります。第1に俺はこちらに戻る条件として曹操さんや程昱さん、郭嘉さんなど魏の面々に会ってはいけないという条件を飲みました。」




「なっ、あなた華琳達の真名を……」




「もはや俺には彼女達を真名で呼ぶ事はできないんです。今の俺は〝柑-奈-月〟であり〝優〟ですから。」




「たとえ名が変わったとしても優殿は優殿でしょう。それに許されているというのに呼ばないのは無礼にあたるのも承知の上で呼ばぬのか?」




「はい。呼びません。それに今の彼女達に俺はもう必要ないんですから。」




「お主…それでも風が愛した男か!」




「星落ち着きなさい。どういう事なの?」




「俺が元々就いていた警邏隊の隊長としての任は解かれ楽進さんに引き継がれ天和達の補佐も公孫賛さんが就いてくれてる。魏でやっていた俺の仕事はもう無い。」




「でもあなたには彼女達の心を支える役目がある。役職なんて後からどうにでもなるじゃない。なのに…」




「俺の友になんでも知ってる仙人のような友がいるんです。そいつから聞いたんですよ。」




〝 待っててください!今行きますよ!左慈! 〟



〝行ったか。左慈大丈夫かな〟



〝言い忘れていた事がありました。〟



〝うわぁ!ビックリしたぁ。どうしたんだよ〟



〝今魏の重鎮の中に曹紀という人物がいます。〟



〝それで?〟



〝曹紀はあなたに似た性格をしています。その性格から魏の面々からは慕われており今では心の支えになっているようです。〟



〝……そっか。ならよかった…ちなみ性別は?〟



〝……男ですね。曹操の閨にも数度招かれたようです。荀彧や夏侯姉妹とも仲がいいようですし。この手の話はするべきか悩みましたが先に伝えておいた方がいいだろうと思い伝えました。〟



〝~~~~~~っ、そっか。なら良かったよ。〝華琳〟達みたいな優秀な遺伝子を後世に残せないのは先の世界にとって大きな損失だから。どちらにしろこれで俺は魏と関係を絶って守りに徹する事ができる。ちゃんと伝えてくれてありがとう。于吉。〟



〝いえ。今の話は外のネズミには聞こえないようにしましたので。それでは何か聞きたい事等あれば私の渡した本の第5章に通信、連絡の仕方が書いてあるので。ではまた。〟




「とう言うことです。今の彼女達には〝天の御使い〟としての俺も〝警邏隊隊長〟としての俺も〝魏の種馬〟としての俺も〝心の支え〟としての俺も必要ないんですよ。」




「!御使いクン……」




「っ!優殿、泣いておられるのか?」



その時自分で言っていて同時に涙が溢れていた

正直華琳達に新しく男ができたのがショックだった。

〝今〟華琳達の心の支えになってやることのできる曹紀と言う人物が羨ましい。



自分の愛したどこまでも覇王な彼女がいつまでもココにいない者の為に席を開けてくれているとは思ってはいなかった。でも本当にそうなっていた時、実際に席はもう無いと知らされた時、本当に哀しかった。


帰ってきて秋蘭と会った時、知り合いに似ていると言われた時自分の中の何かが生まれ悲鳴を上げた。


苦しかった。于吉から新しい男がいると聞いた時、既に閨までをも共にしていると聞いた時悲鳴を上げ続けていた何かは自分の中から消えてしまった。


それの後に残ったのは黒い一つの大きな目。それと目が合った瞬間、自分の心が冷めきったのがわかった。








「俺、以前この世界から消える時に〝華琳〟に対してこう言ったんです。」




「?」





















「〝さよなら。愛していたよ〟って。過去形で言ったんです。その事を天の国に帰ってからずっと後悔してました。なんであんな言い方をしたんだって。でも今なら言えます。もうあの言葉に後悔はありません。」











「俺は華琳達を魏の皆を〝愛していました〟。」













そう。俺が彼女達を愛する事は無い。影から彼女達の幸せを守れるのなら、





もう、







それでいいから……









5話でした。しばらくは報われない一刀が続きます。お気をつけください。

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