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シャボン玉未満
「シャボン玉未満」
透明になりたいと
のぞんだことはない
冷たさで打つのなら
いっそ見ないでとのぞんだ
不透明でありたいと
のぞみもしないのに
まるで透明のようにあつかわれる
いやあつかわれない
呼びかけられない
触れられない
ほしいときにもらえなかった心が
いまも時々しくしくしくしく
かわいそうにね
それでも生きなきゃね
だってまだあなた
シャボン玉でもないから
「秋の海辺」
静かな海辺にいきたい
だれもいない波の音
足跡は残っても残らなくてもいい
人目はうるさくて一目も重い
重い、
軽くなりたい
軽くなりたいの、もう
ひとりで
いえ
ひとりですらなくていいの
空を舞う鳥のように
知恵なんていらないよ
羽と交換しようよ
きついよ?縛らないで
ソクバクスルモノスベテニクイ
業火に、 投じてしまえ
秋の海辺はさみしいだろう
風はつめたく日はおちる
それでも静かな海辺にいきたい
いきたい
迷惑はかけないから
泣いたっていいでしょう
風や海しか
見るものもなし
見るものもなし