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花守唄
春咲く花の子守唄
桜の花は人の墓標
青白く透き通った花びらが証
眠れる花に子守唄
薄く走る静脈は
花びらに走る筋に似て
まるで女の肌のよう
金銀錦の衣より
桜の花が一等いい
朧な月明かりが照らす
妖艶な夜の花妖怪
きっと魂を喰らうんだろう
多くの血潮を吸ったから
お前はそんなに美しい
異国の異形に似ているね
ああ目が眩む
花が 花が 花が 押し寄せる
春は人が狂うから
花が人を誘うから
だからこんなに美しい
だからこんなに悩ましい
春咲く花の子守唄
ぶつ切れで途切れる意識
ふと気づけば花の虜
眠れる花の子守唄




