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つゆしずく
身を寄せ合い生まれいでようとする水
輝きが一点に凝縮し
ついには
ついには
輝きの重さでほろりと向かう
あなたのもとへ
煌めき落ちるつゆしずく
つゆしずくは無限に分散し
甘露となって世界を覆う
覆うころにはきりさめのごとく
細かく細かくなっているだろう
細かく細かくなっても
あなたの心に届き魂の滋養となる
毎日はそんなことの繰り返しだ
ただ
甘露を
つゆしずくを
きりさめを
確かに受けとめたと感じる人は少ない
乾きばかりに目は向かい
潤われたものを見過ごす
見過ごされぬようにせよ
そうしたなら
もとは輝きの凝縮であったものが
今はあなたの手にあると
心にあると
思い
魂が耕され
やがて豊穣となる
つゆしずくの音を聴け




