前へ目次 次へ 23/44 春雨 雨さらさらと天地をつなぎ 湿った膜でわたしたちを包む 傷を起こさないように 頭痛を呼ばないように 流血を誘わないように ひそやかにしめやかに 花影のほとりに心をよこす そこは土がかぐわしくて 生きている気配が濃くて 産まれるということにも近い気がして なぜかほっとする ことにこんな春の雨は 天地をつなぎ命を明日につなぎ わたしたちを永らえさせようとしていると思えて 優しげではないかと感じるのだ……… 薄暗い翳りに次を育む予兆を感じるのだ………