18/44
コトノハの消える日
絶望があまりに駆け足なので
希望が追いつけぬのだ
爛熟汚辱 流血泥濘
遠巻きの聴衆にお代も徴収できぬ
旭が堕ち
地にのたうちまわっている
遠巻きの観客の仮面の美麗極まりなし
何を言祝ぐ?
美しさを紡げば落石
描けば蛇
笑いながら礫を投げよ
礫に書いた呪詛の悲しさ
至極まろやかに言い放てる呪詛に
光速の彼方の胸は痛まぬ
彼方の顔さえ見えぬ世ぞ
彼方の顔さえ見えぬ世ぞ
いつ 気づくだろう
踏みにじったコトノハの残骸に
哀れスミレともタンポポとも見分けがつかぬ
いつ 気づくだろう
踏みにじったコトノハの残骸に
それはきっと世界の黄昏
神も魔も死に絶え
誰かの手が招いた
コトノハの消える日




