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灰翡翠
「灰翡翠」
満開の桜につつまれて
しずやかに
灰翡翠がねむっていました
ころんとして
ひんやりすべすべ
てのなかにじっとおさまっていてくれる
ぎゅっとしてもだいじょうぶ
桜のはなが届けてくれた
ねむっていた灰翡翠は
はなやくきやはっぱが好きなので
はやくあたえてやらなくては
きっといろどられてはなやぐだろう
冬なのに、灰翡翠
冬なのに、桜
へんてこりんで、とてもうれしい
へんてこりんがとてもうれしい
おまえのような翡翠がいるなんてしらなかった
翡翠なのに、春のにおいがするよ




