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噓つきの帰る場所

作者: るるめろ
掲載日:2026/10/02

私は普通の女子高生だったはずだった。でも、なぜ今私は死体の山を見上げているのだろう。ああそうだ、すべての始まりは...


白那(しろな)は今日もいつも通り学校へ行っていた。いつも通り授業を受けいつも通り放課後友人と談笑する。でも、今日は少しいつもと違っていた。いつもならば廊下で走り回っている人やそれに対して怒っている人、その他にも沢山の声がした。しかし、なぜだか今日はやけに静まり返っていた。白那はそれに対して少し疑問に感じていたものの、あまり気にはしていなかった。こんな日もあるだろう。そんな風に思っていた。しかし、次の瞬間その考えは覆ることとなる。


「手を挙げろ。動くな。」


一人の男が教室の中に入ってきていて、白那の友人の1人を掴み、銃をその頭に向けている。白那はその光景を見て息を吞む。しかし、白那は以外にも今の状況を恐怖と感じなかった。


この人はなにが目的なんだろう。白那はそんなことを考えていた。すると、もう一人男が教室に入ってくる。


「全教室制圧完了。」


「了解。」


そんな会話をしているのを眺めていると、人質の顔面を掴みながら、後から教室に入ってきた方の男は白那の方へやってきて、白那の顎を手で掴む。


「お前、いい目をしてる」


そう言いながら男は拳銃を白那に手渡した。


「自分を打て。お前が死んだら人質は解放してやる。」


その言葉を聞いて白那は何の躊躇もなく銃口を自分の頭に当てて撃った。

しばらく静寂が走る。銃はカチンと音を立て、弾丸は発射されなかった。白那は...生きていた。


「合格だ。弾は入れてなかった。」


「各班撤収。」


先程白那に自死を指示した男が無線のようなものを通し、ほかの仲間へ指示を出す。その男は自分が顔を掴んでいた人質を放り投げると、白那の方へすばやくやって来て、白那の鼻にハンカチを当てた。白那はハンカチを当てられた瞬間その場に崩れ落ちる。ボスのような人間は白那を回収すると、窓から颯爽と逃げて行った。


その日以来、白那はただの女子高生から一転、裏社会へと足を突っ込む事となった。幸い白那には嘘をつく才能があった。白那の嘘発見器でも発見できないその才能は白那の所属する組織の中ではすごく役立つものでもあった。殺しや詐欺、情報売買。白那はそのうち様々な悪へと手を染めていった。


しかし、そんなことをいつまでも続けていられるはずもなく、一年ほどたった春、白那は警察に捕まった。たまたま殺人現場で警察とはち合わせてしまったのだ。


白那は罪に問われることは無かった。一年前のあの事件は有名で、白那は誘拐犯に連れ去られた可哀そうな女子高生という事になっていた。白那はそれを利用し、裁判で自分が手を染めなければ自分の友人が命の危機にさらされる。そう涙ながらに語った。


白那は警察から解放され、今やあの事件がトラウマになってしまって学校には行けないものの、普通の生活を送っている。


世間にはそう伝えられた。


しかし、白那は警察から解放されて一週間経つともう表からは姿を消していた。


「ただいま。海璃(かいり)。」


「戻ってくると思ったよ。だって、君の目的はまだ達成していないからね。」


ゆったりと先ほどまでコーヒーを飲んでいた海璃はそう言いながら、白那に武器を手渡す。白那がかつて使っていた武器は無くなってしまったため、それは完全新品のものであった。


「私の目的ね...。」


白那はかつて、一年前の自分を思い出す。一年前、白那はこの海璃という虫も殺せなそうなほど可愛らしい顔面のこの男に誘拐された。普通ならばここから逃げ出したい。そう思うだろう。しかし白那はそんなことは思わなかった。ある条件を提示されたからだ。


その条件とは、白那の復讐に全面的に協力をする事。白那はかつて12歳のころ両親を殺された。白那の心はその時に正常な働きを停止した。両親を殺したその人間への復讐心に駆られたその心を隠すかのように白那は偽りの笑顔をその顔面に張り付けた。そんな状態が続いていたころ白那は誘拐された。本当はあの拳銃に弾が入っていたならばどんなに良かっただろうかとも思っていた。しかし、そんなことは海璃に提示された条件で全て飛んで行った。


「それにしても、やっぱり白那はすごいね。噓発見器に一度も引っかかった事がないんだもの。」


「そうだね、みんな私に騙される。」


「早く両親を殺した犯人、見つかるといいね。」


「うん、そうだね。」


「資料を取ってくる。」


海璃はそう言いながら部屋を出て行った。白那は一人になった部屋で白那はぽつりと呟く。


「もう犯人、見つけてるんだよ...。」


白那は今や嘘の才能を持つ1人の殺人鬼。すべての人に嘘をつき続けている。友人だった人や警察、検察、弁護士、裁判官、そして...。

白那は海璃が先程まで飲んでいたコーヒーの入っているコップを手に取り、そっと海璃が口をつけていたコップの縁にまるでキスをするかのように口をつけた。


「さて…。」


一息つくと白那は拳銃を服に隠し先程まで海璃のいた部屋を後にした。


まるで、海璃の後を追うかのように...

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