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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ベリーベリーミックスベリーけいき

作者: 夕暮れしゆ

私の名前は時崎あまめ、何処にでも居るケーキ好きの13歳。

家族はお母さん、お父さん、お兄ちゃんがいてきっと1週間前からプレゼントやら準備をしてくれているだろう。

明日は私の誕生日。

ケーキは食べようと思ったらいつだって食べることが出来るけれどその日しか食べれない美味しさがここに詰まっている。

それが誕生日に食べるケーキそのもの。

それに家族それぞれから貰えるプレゼントも楽しみで仕方がない。

この日を毎日楽しみに今日も課題をする。

課題をするのは当たり前だけど、この日の課題は他の日と何か違う愉快さを感じ取った。

課題を学校のリュックに収納すると、少し喉が渇いたから私は部屋を出てリビングへと向かった。

戸を開けたぐらいの時にリビングからお母さんとお父さんが怒って言い合っている声が聞こえた気がしたが、リビングへと向かうとそこにはお母さんだけがいた。お母さんはラズベリーをお皿に乗せてテーブルクロスの上に置いて椅子に座って待っていてくれた。

「課題できたのね、なら食べていいわよ。」

お母さんは優しい笑顔で私に向かって言う。

お母さんはいつだって私に優しく接してくれる。

ラズベリーは甘酸っぱくシャリシャリと果汁が口全体に広がっていった。

ラズベリーを食べたあとは夕方だったのもあって少しだけ公園で遊んだ。

いつもは昼過ぎから遊んでいるので結構遊べるが、夕方だったので30分ほどで遊びを止めて家に帰った。

「ただいまー。」とと同時に戸を開け家に入っていった。「おかえり。」と戸の近くにいたお父さんが真っ先に言ってくれた。

家に帰ると遊んだ友達の話を2人にした。

「今日えみちゃんと鬼ごっこで遊んだ。」

そう言い始め、そこから十分ほどその事について話していた。そのあとは夕食をたらふく食べ、笑い楽しみながらテレビやゲームをして寝る準備を完了させ、睡眠に入っていった。

寝る少し手前、リビングの方で電話の音が廊下に鳴り響いていたが、20秒ほど鳴ったあと音が終止したのですぐに眠りにつき始めた。

きっと親が夜な夜なの電話に出てくれたんだとそう思っていた。

待ち望んでいた誕生日がいつもと変わらない日々のようにひっそりサプライズみたいにやって来た。

部屋の時計を見ると4時辺りを指していたが早めに食べる準備をし暇を作っておこうとした。

誕生日が来ると何故だか懐かしみが脳を塗りつぶす。パジャマから着替え1度暇を潰すためにリビングに向かうことにした。が、なぜか戸が開かないどんな時でも開いてくれた戸が引いても押しても開かない。建付けが悪くなってしまったのだろうか、だとしたら昨日あんなにスルスル動いてた戸が嘘みたいになる。不思議だなと思い戸の前に立っていたら、急に周囲から外にかけて暗明に点滅し始める。

急にこんな奇奇怪怪なことが起こるものだから焦って電気スイッチを連打をすると点滅信号のような光は不思議止まった。

ほっとして足をすくめ少しの間目と足を休めていたら、戸の向こうから戸を強めに叩く音が鳴り響きながら「ねぇねぇねぇねぇねぇ…ケーキ食べないの?」とお母さんの声らしき声が聴こえてきた。

お母さんの声なのに靄がかかったかのように二重に別の声が聴こえ私は

「…お母さん?」

と聞き返してしまった。

「あの、への、あれ、食べないの?大好きでしょ?」「ケーキ。」

そうお母さんがカタコトな日本語でこちらに話してくるので

「えっ…ケーキは大好きだよ、私はお母さんの作ったケーキが好きなの。」

そう言った。

正直怖かったけど、毎年お母さんは私のために徹夜でケーキを作成していてくれている事実を私は知っていたので、寝てい無さすぎてなったと自己解釈し落ち着くことが出来た。

「良かった、大好きなんだね。」

そうお母さんがドア越しにも分かる明るく落ち着いた声で言った。

その後にドタドタと音がしたので寝室に寝に行ったみたいだ。

相当疲れておかしな事をしていたみたい。

さっき開かなかった戸を念の為押すとさっきとは違いすんなり開いた。

「あれ…」

私は少し不思議がって言った。

部屋から出るとそのままリビングへと直行し、ジュースを飲んだ。

朝早くに飲むジュースは一段と美味しく感じた。

私はやることも何も無かったため部屋に戻ることにした。

すると、物音が寝室の方から聞こえてきた。

気にする程でもないんだろうけど好奇心に負け私は戸を少し開けて見ることにした。

そこには、関節ごとに折れ曲がった残酷な姿をしたお父さんがいた。

「え…。」

私は思わず言ってしまう。

昨日まで元気だったお父さんが無惨な姿で残骸のように跳ね除けられてるから。

気持ち悪い。

どこからか快楽殺人鬼でも入ってきたのだろうと私は思い、無かったことにするために目を逸らし部屋に戻ろうとした。

「ねぇ見えてるの?」

そんな無邪気な声が後ろから聞こえてきた。

振り返るとそこにはお母さんがいた。

「お母さん驚かせないでよ。」

「あの、お母さん実はお父さんが快楽殺人鬼に殺されたみたいになってて気持ち悪い、早く救急車呼ぼもしかしたらまだ助かるかも。」

と私は戸を開けながら言った。

「ごめんなさい、私がしてしまったのそれ。」

お母さんは申し訳なさそうに言う。

「そんなことより、見えてるの?」

お母さんはまた無邪気な子供のように言った。

「そんなことってお母さん今日なんだか変だよ。」

「それに見えてるって何?お父さん変な形になってるのに。」

私はお母さんに言う。

「そのままの意味だよ、私はその人を殺したの。」

「その人はもう助からないよ。」

とお母さんは頭を変形しながら言った。

変形した頭は脳が出ていて顔は赤黒く顔の裏面の皮膚に変貌した見た目でタコの吸盤が張り付いたような顔をしている。

それはもうお母さんでは無い得体の知れない何かであった。

「ばっか くつしやかるおい、てはげと鹿間馬人。」

とその得体の知れないものは首を5度ずつ傾けて言った。その不気味な歪んだ声とその風貌が怖くなり私は家の外まで走り逃げようとした。が、

「ねぇ、なんでなんでかなんでえ?」

「逃げるの?」

と得体の知らないものは言い腕を強く握ってきた。

「痛い。」

そう私が言うと

「大丈夫、大丈夫だから。」

そうお母さんの声で言ってきた。

私は何故か落ち着いてきて逃げる気も失せてしまった。まるで腕から体力を吸われてるみたい。

私はその後座り込んでしまい、立てないほどに力がなくなっていた。

その得体の知れないものの様子はまるで信天翁のようだ。

知能から行動まで鳥が獲物を取るかのよう。

私は少し空いた戸から見える寝室にいる父を見ることしか出来なかった。

その父をよく見ると関節ごとに折れ曲がっているのではなく骨が見えるまで細く痩せこけ骨も虫に蝕まれた枝のように細くなっていた。

その光景に私は声にならない声で泣いてしまう。

「どうしたんだよ。」

後ろからお兄ちゃんの声が聞こえてきた。

「お兄ちゃん、助けて。」

そう言い後ろをむくのと同時ぐらいに

得体の知れないものが首を曲げお兄ちゃんの首が360度以上回り始め首が外れ死んでしまった。

その姿はまるでペットボトルの蓋を回しすぎたみたいだった。

私は絶望のあまり顔を手で塞いでしまう。

「なんでこんなことするの…。」

私はぼそくさ言う。

その時

「そう言う時は幸せ幸せって連呼しようね。」

と私の脳内に急に語りかけるよう聞こえてきたから

「しあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせしあわせ。」

何かを訴えるようにこれが嘘であって欲しくて、しあわせと連呼した。

逃げたかったから。

「えへへ、ねぇ顔を上げて。」

得体の知れないものがそう言う。

私は恐る恐る手をどけ下がってきていた顔を上げた。

「指を見て。」

そう得体の知れないものが言ってくるので

指をじっくり見ていると、指の第三関節がうにょうにょ動き始めた。

「え、なんなのこれなんなの。」

私は指を指し気味がりながら言った。

「これは、あなたも持ってる指よ。」

と優しいいつもの母の声で言った。

「で、でもなんか変だよ?」

私は母だったものに言う。

そんなことを言っているとその第三関節がめきめき膨れ上がってきて動きも気持ち激しくなっていた。

「え?君も持ってるのに。」

そうその得体の知れないものが首を傾げ不思議そうにブツブツ小さい声で言ってきた。

そのうちに第三関節はもっともっと膨れ上がっていき切れ目が浮き出てきた。

「気持ち悪いよ…お母さん…。」

私は一段と顔を悪くして言った。

寒気も顔が悪くなるスピードも止まらない。

「なんなの、今日は誕生日なのになんでこんなことが起こっちゃうの?」と私は思ってしまった。

だって気味が悪くて最悪。

こんなもの見てたらトラウマになって誕生日どころじゃない。

それに吐き気も止まらなくって酷い気分。

そうしていると、その切れ目からなにかの体が見えてきた。その後それは蛾だとわかった。小さな蛾がそれぞれの指から出てくる。

蛾は青々しい空に羽ばたいていく数羽は手に乗り得体の知れないものを好いているみたいだった。

その姿に私は思わず少しだけ吐いてしまった。

吐いてるなんて思われたら終わると思い、私は口に出てきた吐瀉物を咄嗟に呑み込んだ。

不味い不味い不味い、口から喉にかけて酸味の効いた酸っぱい味が首を絞めるかのように襲ってくる。

呑み込んだのにまた吐きそうになって口を抑える。

張り付いた味は余計に気分をそこ萎え気分も頭も悪くなるものだった。

「あまめ、生命が産まれたって言うのになんて顔してるの?」

狂ったぐらいに穏やかな声で得体の知れないものが言った。

私は生命への思いを伝えるため微笑む。

そうしたら、得体の知れないものも笑顔を見せてくれた。

その笑顔は明るくも暗くもない淡い笑顔だった。

笑顔がぷっつり切れた得体の知れないものは、私に指を指し

「ねぇ、あは、やっぱそうだ。」

そう自身の腕をネジって明るい声で言ってきた。

「ねぇ、やっぱりって何?」

私は得体の知れないものに問いかける。

それは好奇心だったから。

もしかしたら殺されるかもしれないのに好奇心に負け私は聞いてしまった。

「それはね……。」

そう得体の知れないものは少しばかり下を向き微笑み言いかけた時

グニョグニョうにょうにょと既視感のある音がどこからともなくなってきた。

それは得体の知れないものからでは無い。

手がこちらに見えていてうにょうにょどころか片腕が捻れたまま血を吹き出してもう片腕は何も動いてない。

じゃあどこからこの嫌な音はなっているのよ。

咄嗟に私の方からなってることに気づく。

「え。」

指に目線をやると、第三関節がうにょうにょ動いていた。それもあの得体の知れないものよりも速いスピードで。

それはどんどん速くなっていき、さっき見たように第三関節が徐々に大きく膨れ上がってくる。

「ねぇねぇ、助けてよどうしたらいいの?」

私は母だったものに追求する。

「それは、どうしようもないの。」

「命っていうものはね、産まれたら戻れないの。」

「それはもう産まれてしまった命なの。」

「そんな命を踏み躙るなんてそんなの幸せを屈してるだけよ。」

そう底気味わるい二重の音吐で言う。

まるでまだ何かを信じてしてなにかになれると、夢を掲げているそんなどこにでもいる孤独な人間の風貌だった。

私はそんな得体の知れないものという何にもなれなかったものを追い詰めることも脅えるのもなぜだかできなかった。

それは元々母だったものだから。

泥々反吐みたいな裏に和温が存在していたから。

もしかしたら、まだ母の人格が残っているのかもしれない。

それかこれは夢なのかもしれない。

こんなこと信じられない。

どんなことがあろうとこの家族を信じてたのに。

如何してこんな事に幸せだったのに。

こんな風になりたくない。

「嫌だ。」

「なんで私がこんな目に合わなきゃなの。」

「だって誕生日なのに!」

私は叫んだ。

そうこうしている間に第三関節から蛾がでてきた。

私は得体の知れないものと違い血が溢れ出た。

ぶしゃぶしゃ吹き出て止まれらない血と痛みで

私は情緒を狂わせ泣いた。

「痛い痛い痛い痛い痛い!」

軋めく音が脳を揺るがす。

切れ目がどんどん拡がってく

「あ、あ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

信じていたものがどんどんすり潰されていく。

信心をここに委ねてたのに。

目からの涙が止まらない。

目の前が視えなくなってく。

所詮所信なんてこんなものだったのね。

そう呆れ痛みに耐え

「何してるの?やめてそんなこと。」

得体の知れないものが私の血を容器に奇麗に入れ始めた。

「よいしょ、よーし!」

全てを集めそいつは私が食べるはずだったケーキに血をかけ始めた。

潔白のケーキが少しづつ赤に染まっていく

こうなったのは私の家族への想いが浅信だったから。なんでこんな悲惨的残虐なことが起るの。

吐きそう。

憂鬱になる回る巡る愛が残極な気分を脳に降り注ぐ。

血が赤々しく滴り注がれていく。

急にそいつは口をゆっくり開け

「ごめんなさい、あまめは信偽を知らない。」

「だからごめんなさい。」

そう言い首を曲げ、私の首が宙に舞った。

ひらひら花びらのように上から自然落下した。

その後私は奇麗に余すことなくケーキにもり飾られ

食べれてしまった。

お粗末にならないよう得体の知れないものが奇麗に食べてくれた。

私がしたかった事を現世で達成される事がなく食べられていく。

夢や希望、信頼を持ったことすら無かったかのように食べられた。

あー信仰なんてしなきゃよかった。


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