2024年2月20日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#124 ルームシェア
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第71回目の今回は………
2024年2月20日放送。
妄想【愛の劇場】#124 ルームシェア
春に大学を卒業した私は地元の企業に就職をした。
二年目の冬を迎えようとしていた頃に大学時代の友人櫻乃の誘いで、学生時代とても仲良くしていた絢子と3人で久し振りに会う事になった。
絢子は千葉の企業に就職、櫻乃は実家の仕事を継ぐ事になっていたが、私と同じ地元企業に就職していた。
櫻乃が決めてくれた喫茶店で待ち合わせをする。私がその店に着く頃には、絢子も喫茶店に現れていて、櫻乃とふたりでテーブルを囲んでいるのが窓ガラスから見えた。
久し振りに見る絢子の表情は、とても元気そうだ。
「瑞希も元気で安心した!」
絢子は私の顔を見るなりにっこりと笑い、すかさず私にハグをする。
「絢子も櫻乃も、元気そうだね!」
久し振りの再会に3人で過ごすお茶会は、あっという間に時間が過ぎてしまった。
夕飯を食べようと、中華料理店へ3人で流れた。
美味しい中華料理と止まらない学生時代の話や仕事の愚痴をお酒のつまみにしながら、3人で過ごす時間は本当にあっという間に過ぎていく。
不意に櫻乃が言った。
「私達でルームシェアしない?」
「ルームシェア?」絢子が言った。
「あたし、上京しようと思ってるの。これから部屋も探すし、上京するとしても来年の春になるけどね。もし、ふたりも興味があればって話だけど?」
「上京?櫻乃仕事は?」
「今年いっぱいで辞めるのよ」
絢子の疑問に櫻乃はあっけらかんと答えた。
「あんなにやりたい事があるって言って、実家を継ぐ事もしないで就職したんじゃない」
私はびっくりして櫻乃の言葉に食いついた。
「そうだったんだけど、別にやりたい事ができたのよね」
絢子は櫻乃のやりたい事の話を聞いて、目を輝かせている。
絢子は櫻乃にハグをして「応援するよ!一緒に頑張ろう!」と、櫻乃に笑顔で言った。
「待って?!絢子もルームシェアするって事?」
「うん。仕事も辞める」
「え?千葉でしょう。辞めなくても……」
「決めたの。辞めるわ」
「簡単に辞めるなんて言うけど、会社を辞めて次はどうするの?」
「瑞希、わたしもやりたい事があるの。大学時代から考えていたけど、就職した方がいいかな?って思って就職したけど、やっぱり何か違ったわ」
私は言葉を失った。
櫻乃も絢子も色々な事を考えて過ごしていたのだ。
ふたりがルームシェアをした時の事を楽しそうに話す様子を横目に、私は自身の心のモヤモヤの答えが分からず、ひとりで少し苛ついていた。
絢子と櫻乃、そして私が上京してルームシェアを始めてから、5年目の春になろうとしていた。
上京をしようと言い出した櫻乃は、やりたい事をしっかりと仕事にしてとても輝いている。
絢子も学生時代から憧れていたやりたい事を現実のものとして、フリーランスで仕事をしている。
私は今も地元の企業に勤めている。上京を決めた時に、色々と相談にのってくれた上司のおかげで、地元企業の支店に異動する事ができた。
「「「カンパーイ!!!」」」
「瑞希ー!結婚おめでとう!」
異動先で出会った人と私は結婚が決まった。
「瑞希は出ていっちゃうのか。淋しいね」
絢子は私にハグをしながら、泣いていた。
「泣かないでよ、絢子。私も淋しいのよ。でもね、私、ふたりについて来て良かったわ」
「ダンナさんに会えたから?」
櫻乃は少しからかう様に言った。
「それもあるけど」
「否定しなさいよ!」
私の言葉に櫻乃が突っ込みをいれる。むくれる櫻乃の表情にケラケラ笑いながら、私は続けた。
「色々楽しかったもの、寮生活みたいで。同じ部屋で3人でご飯食べたり、お茶したり。週末には3人でちょっと豪華なご飯したり、本当に楽しかったのよ」
「本当、楽しかったわね……」
「櫻乃しみじみしてるけど、わたし達ふたりはまだ一緒なのよ」
「3人はそろそろ終わりでしょう?淋しいじゃない」
「ね!」と櫻乃は私に同意を求める様に、笑いながら言った。
3人で楽しく過ごした時間はもう終わってしまう。
3人でこれからもまた同じ時間を過ごせたら、どんなに楽しい事だろうか。
私はふたりの様子を見ながら、住む場所は変わっても3人で寄り添える事を願っていた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#125「アフター5(アフター ファイブ)」