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モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第三章 モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!

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96 モニカの婚約者7


 後日の休日。計画どおりモニカはイサークを誘い、カリストと共に会うことになった。

 会う場所は、イサークが手紙で場所を指定してきたレストラン。


(ここって……!)


 カリストにエスコートされて馬車から降りたモニカは、レストランの外観を見て瞳を輝かせた。

 白い神殿を思わせるような外観のそこは、ゲームでは攻略対象とのデート場所に選べる場所のひとつ。この世界でも、デートスポットとして有名な高級レストランだ。


「モニカはこういった場所が好きなのか?」


 そう問いかけられてカリストを見ると、彼はなんだか不機嫌そうだ。カリストと一緒に出掛ける際に利用するレストランとは、雰囲気が違うせいだろうか。高級志向だと思われても困る。


「あのっ、違うんです。こちらはその、ゲームに登場する場所でして」


 こそっと耳打ちすると、カリストはさらに表情が曇る。


「ルカ・フエゴと何度も、逢引きしていた場所だな」

「せっ先生……!」


(今日に限ってなぜこんなに不機嫌なのかしら……)


 イサークが関わると、なぜかカリストの様子がとげとげしくなる。いつもはモニカの推し活に対して、寛容であり、本の感想でも聞いてるかのようようなのに。


(これだとまるで先生が、イサークに嫉妬しているみたいよね)


 そう思ったモニカは、まさかと思いながら改めてカリストを見た。


(先生、本当に嫉妬しているの……?)


 もしそうなら嬉しい。モニカはにこりと微笑んだ。


「先生と一緒に聖地巡礼できて嬉しいです」

「それなら、イサーク・リアマに感謝しなければな」


 少し機嫌が直った様子のカリストは、モニカに手を差し出す。二人は店の者に案内されて店へと足を踏み入れた。



 このレストランは楽園がテーマとなっており、室内にも関わらず小川が流れていたり、植物がふんだんに植えられている。

 席はすべて個室となっており、込み入った話をするにはちょうどよい場所だ。


「ここはモニカに相応しい場所だな」


 カリストは天界でも想像したのだろうか。辺りに目をやりながらそう呟いた。


「私が相応しいなら、先生も相応しいですね。先生は――」


 モニカの守護者になる予定なのだから。

 案内人がいる手前、全ては言わなかったがカリストには伝わったようだ。


「そうだな。楽園を維持するために侵入者を排除するのも、俺の役目だ」


 カリストは案内された個室をじっと見つめてから、室内へと足を踏み入れた。




「お二人とも、ようこそおいでくださいました」


 個室へ入ると、イサークが爽やかに微笑みながら二人を迎え入れた。

 今回のデートにカリストも誘いたいと手紙で伝えてはいたが、特に気分を害している様子はなさそう。

 彼はもともとマイペースで、嫌味も通じない人。これくらいは気にするほどのことではないのかもしれない。


「素敵なレストランへご招待くださり、ありがとうございます」

「気に入っていただけましたか?」

「はい。リアマ卿がお選びになる場所としては、意外でしたが」


 これまで彼は、デートらしい場所へモニカを連れてきたことがなかった。これが二人きりのデートだったら困っていたかもしれない。


「たまにはモニカ嬢の乙女心を、くすぐってみようかと思いまして」


 無垢な笑みを浮かべられて、モニカは思わず顔をしかめた。前回はモニカを脅しておいて、よくもこんな態度が取れるものだ。

 怒り、よりは呆れが強い。なぜ彼はいつも、人を困らせておきながら、楽しそうにできるのか。


「モニカ。あいつの策略にハマりすぎじゃないか」


 カリストに耳打ちされて、モニカは顔が赤くなる。


「ちがっ……!」


 違うのだ。うっかり、ここへ来られたことに喜んでしまったが、それは決して乙女心ではない。聖地巡礼が嬉しい、推し活心。

 万が一にも、イサークが素敵な場所へ招待してくれたことへの、ドキドキではない。


 そんな言い訳を、カリストにこそこそ耳打ちしている姿を、イサークがぽかんとした顔で見ているとは、モニカは気づきもしなかった。



「モニカ嬢は……。先生の前では、そのような表情もなさるのですね……」

「え?」


 問われた意味がわからず、モニカはイサークへと視線を向けた。彼はなぜか寂しそうな笑みを浮かべている。 


「いいえ。――さあ、お二人ともおかけください。まずは食事にいたしましょう」





 今日が楽しい食事会が目的ではないことは、イサークも理解しているだろうに。彼はモニカたちを手厚くもてなした。

 カリストを敵視することもなく。アカデミー時代の思い出話などもしながら、表向きは楽しい食事会。

 と言うよりも、この楽しい空間を壊したくない。イサークはそんな雰囲気を漂わせながら、話題を振り続ける。


 モニカはふと、イサークとの関係を終わらせようとした際のことを思い出した。

 彼は「返事は急ぎません」と、モニカを繫ぎとめようとした。それは彼の目的が、崩れそうになったからなのだろう。

 けれど、今の彼を見ていると、それだけではなかったのではと思えてくる。

 いつまでも友達と遊んでいたい子どものような。家に帰れば寂しい生活が待っている人のようだ。


(リアマ卿って実は、人恋しいのかも……)


 モブ体質のせいで、人に認知されにくく寂しい思いをしてきたモニカとしては、寂しい思いをしている人間はつい気になってしまう。


「そうだ。よければ、来週も三人でどこかへ遊びに行きませんか? モニカ嬢もそのほうが気が楽でしょう?」


 デザートを食べ終えるころになって、イサークはそんな提案をしてきた。


 今日はイサークの弱みを握るためにここへ来た身としては、彼の純粋な提案に心が痛む。

 困りながらカリストを見ると、彼は何の迷いもない様子でモニカへと軽くうなずいた。

 どうやら作戦を始めるようだ。


「悪いが、それはできない。俺は今日、イサーク・リアマに話があってここへ来たんだ」


 イサークに本題を切り出すカリストを合図に、モニカも与えられた役割を実行することに。

 さりげなくルカにもらったピアスに触れながら、心の中でルーに呼びかけた。


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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