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モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第二章 女神の力をこっそり使いつつ乙女ゲームを支えるつもりが、ヒロインがバッドエンドまっしぐらなのですが

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58 ルカの成長4


 お昼休み。

 モニカは、いつもどおりに時計塔へと向かった。もうここへは来ないと宣言したばかりなのに、完全にルカには敗北した気分だ。


「モニカ、会いたかった」


 時計塔のルカはいつもと同じ挨拶をする。けれど、その表情は完全に勝者のものだ。


「ルカ様……」

「どうだ。大人な解決法だっただろう?」


 正面からぶつかるタイプのルカが、幼馴染との時間を確保するため精一杯に考えた方法が、婚約してミランダの公認を得ること。

 この方法が正解だったのかはさておき、公爵家の将来を考えつつも、自らの願いも叶える見事な妙案だった。


「……大切なプロポーズを、私の言葉で済まさないでくださいよ」


 幼馴染を大切にしてくれる気持ちは嬉しいが、婚約者を蔑ろにするような人にはなってほしくない。

 そんなモニカの言葉に対してルカは、少し寂しそうな顔を浮かべる。


「俺もモニカに言われて嬉しかったから、あいつも喜ぶかと思ったんだよ。……叶わない気持ちは同じだしな」


「叶わない……ですか?」

「大人にはいろいろとあんだよ。モニカも婚約者を決められたらわかるさ」


(政略結婚への、いきどおりみたいなものかしら……?)


 婚約者を好きに選べないのは、モニカも同じだ。

 いずれは家門のために、父親が決めた相手と結婚させられる。

 良い相手ならば儲けもの。そうでなければ粛々と夫人の役目を全うするだけだ。


(その前に私は、お相手との関係を維持したまま、結婚までいけるかが問題だけれど……)


 それに完全モブ期間の影響で、モニカの父親は婚約者探しを忘れているはず。今から思い出して探したとして、一体いつになるだろうか。


「それより、今度はミランダ嬢もこちらに誘いましょうね」


 そんな遠い未来よりも、今はルカやリアナの推し活のほうが重要だ。


「あいつはこんな所で食わねーよ」

「それなら、私たちが食堂へ行きましょう」

「おう……。いつかな……」

「約束ですよ、ルカ様」


 こうしてルカがゲームの設定に戻り、大人な考えも持つようになったということは、リアナの攻略は進んでいる証拠。

 モニカが感じた、皆がばらばらだという違和感は、気のせいだったのかもしれない。






 その頃。王家専用の休憩室では、リアナとブラウリオが二人きりで食事をしていた。


「ねえ、リアナ。ルカが今日、おかしなことを言っていたんだよ」


 二人きりの時は、他人の話をしたがらないブラウリオにしては、珍しい話題だ。リアナは嬉しく思いながら返した。


「どんな?」

「モニカ嬢との幼馴染関係が、愛や結婚よりも上のような口ぶりでね」

「ふふ。ルカは、モニカちゃんが大好きだものね」

「その友情は素晴らしいけれど、俺なら好きな子は絶対に離さないよ」


 ブラウリオに手を握られたリアナは、頬を赤く染めながらも、困ったように顔をうつむかせる。


「あのっ……。でも、ブラウリオには婚約者が……」


 平民だったリアナは知らなかったが、ブラウリオには隣国の王女という婚約者がいる。

 それを知ったのは、すっかりブラウリオの虜になった後だった。

 身を引こうと思ったこともあったが、ブラウリオが許してくれずにずるずると関係が深まっている。


 復帰したモニカに相談したかったが、その機会すらブラウリオに阻止されてきた。


「心配しないで。父上も、俺とリアナの結婚には乗り気でね。今、王女との婚約破棄に向けて調整中なんだ」

「本当に私、ブラウリオと結婚できるの……?」

「もちろん。今、言っただろう? 好きな子は絶対に離さないって」

「うん……」


 聖女となり、不安や心細さを感じているリアナに、いつも寄り添ってきたのはブラウリオだ。

 時には神殿との揉め事にも関与し、必ずリアナを助けてくれる。リアナにとっては、貴族社会でもっとも頼りになる人だ。

 そんな彼が自分を求めてくれるなら、期待に応えたい。


「だからリアナも、約束してほしいんだ。俺以外の男に惑わされたりしないって」

「絶対に惑わされたりしないわ」

「嬉しいな。それじゃ約束して。守護者は俺だけ(・・)にすると」


 これは一年生の終わり頃に、ブラウリオがリアナの正式な守護者となってから、たびたびお願いされてきたことだ。


「でも……。神殿が許してくれるかしら……?」


 神殿からは、四属性の守護者をそれぞれ得るように教えられた。

 先代聖女にも四人の守護者がいる。きっと必要なことなのだろう。それを、個人の一存で決めてもよいのだろうか。

 お願いされるだひにリアナは困ってきた。


「リアナが他の男と一緒にいると、胸が張り裂けそうなほど悲しくなるんた。必ず俺が四人分の役目を果たすから……」


 ブラウリオは、今にも泣き出してしまいそうなほど、辛そうに顔を歪めながらリアナを見つめる。

 彼はその言葉を実行するために毎日、夜遅くまで精霊魔法の訓練をしているという。


 リアナと結婚するため、リアナの守護者としての力を強化するため、ブラウリオはずっと努力し続けている。

 そんな彼に対して、自分はなにも報いていないのではないか。ブラウリオの辛そうな顔をを見ながら、リアナは気付かされた。

 

「ブラウリオを信じるわ。だから悲しまないで……」

「本当に? これからもずっと俺だけのリアナでいてくれる?」

「ブラウリオが望むならそうするわ。守護者はずっとあなた一人だけ(・・・・)よ」






 その夜。モニカは、厨房で作ったミニチュアサイズのお菓子を、せっせとテーブルの上に並べていた。

 並べているそのテーブルもミニチュア。お菓子を乗せるお皿もミニチュアだ。


「わあ! これぜんぶ、おいらが食べていいの?」

「おかわりもあるからたくさん食べてね」

「ありがとうモニカ! おいら感激!」


 ミニチュアな椅子に座り、ミニチュアフォークを握りしめているルーは、嬉しそうにモニカのお手製お菓子を頬張り始めた。


(ふふ。いつ見ても可愛い)


 このような遊びは何度もしているが、ルーは毎度のように初めて食べるかのごとく感動して喜んでくれる。そんなルーが可愛くて、モニカはついミニチュアお茶会セットまで用意してしまった。


 ちなみにこのお茶会セットを購入した際は、まだモニカが完全モブだった頃。

 そのため、お店でお会計ができないモニカのために、カリストが出動することになったが。

 「娘さんへのプレゼントですか?」と店員に間違えられ、困った様子でラッピングを頼むカリストの姿は、今思い出しても可愛かった。


 そんなエピソードつきお茶会セットでルーをもてなしながら、モニカはミランダと話した際に、彼女が教えてくれた情報を思い出していた。


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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