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【三章】モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第一章 『女神の再来』だと精霊に告げられましたが、それより推しに認知されたい
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39 ハイキング1


 モニカも毎日、ルカと昼食を食べるために時計塔を登っているが、それだけでは体力は養われていなかったようだ。


「モニカちゃん大丈夫? 少し休む?」


 今度は小鳥を肩に乗せて連れてきたリアナが、こてりと首をかしげてモニカの顔を覗き込む。その姿も可愛いので、モニカの心だけはとても元気だ。


「だいじょう……ぶです。私のことは、お気に……なさらず」


 こんなところで時間を取っていては、リアナが攻略対象たちと楽しむ時間が減ってしまうではないか。


「モニカ、俺が背負ってやろうか?」


 続いてルカもモニカを気遣うように近づいてきた。けれどルカは、皆の分のお弁当や飲み物が入ったリュックを一人で背負ってくれている。これ以上の迷惑はかけられない。


「大丈夫……です。まだ歩け……ますよ」


 何とか笑みを浮かべようとした時、なぜか、ふわっと身体が軽くなった。軽やかに足が動き出す。


「おっ。元気が戻ってきたみたいだな。手を引いてやるから、もうちょい頑張れよ」

「は……はい」


(何かしら、この浮遊感……)


 歩いているというよりかは、まるで浮いているような気分だ。

 そして、身体にまとわりついている、心地良い風の気配。


(先生が、魔法を使ってくれているんだわ)


 リアナとルカがモニカに対して過保護なのはいつものことだが、そこにカリストが加わっている状況。

 なんだか可笑しく思えてきたモニカは、くすくすと笑い出した。


「どうしたモニカ?」

「どうしたのモニカちゃん?」


 ルカとリアナに同時に聞かれ、モニカは笑いながら首を横に振った。


「なんでもありませんわ。ハイキングが楽しくて」





 皆の助けで山道を登り切ると、開けた平地にたどり着いた。ここが山の中腹のようだ。

 視線の先には、日の光を浴びて輝く湖。その奥を大きく仰ぎ見ると、山の頂上付近の岩肌が見える。そこから出ている煙が麓よりもはっきりと見えた。


 大自然に感動したい場面ではあるが、それよりもインパクトのあるものが見えて、モニカとリアナは顔を見合わせた。


「わあ! なにこれ? ここってそういう場所なの?」

「雑誌には何も書いてありませんでしたわ。おそらく……」


 湖には、とても繊細なレリーフが刻まれたゴンドラ船。

 水際では、野生ではない鞍のついた馬が水を飲んでおり、その横には釣りをするための道具が用意されている。

 手前の広場には、狩猟大会で使いそうな大型のテントや、食事するためのテーブルセットには、デザートまでセッティングされていた。

 そして、中央にはキャンプファイヤー。

 

(これって……。ゲームのあれ(・・)よね……)


 攻略対象と一緒に小旅行へ行くと、目的地でサプライズを受けるが、それがまさにこの状況。

 本来なら攻略対象一人と行く場所だが、今回は攻略対象が四人もいる。サプライズが混み合っているようだ。


「湖で船に乗れたら素敵だと思ってね。俺が用意したんだ」


 リアナとのデートに余念がないブラウリオ。


「テントとテーブルセットは僕が用意しました。レディーを地面に座らせるわけにはいきませんから」


 的確に必要そうなものを用意するところが、ロベルトらしい。


「キャンプといったらキャンプファイヤーだろ。あとで釣りして魚、焼こうぜ!」

「今日はハイキングのはずですが」

「うっせー。テントを用意したやつに言われたかねーよ」


 ルカはこの場を思い切り楽しみたいようだ。


(それじゃあ、残りの馬は……?)


 モニカはカリストに視線を向けてみる。すると彼は、困ったような表情でモニカから視線をそらした。


「モニカは、乗馬もあまり経験がないと思ってな……」


(えっ。もしかして私のために?)


 刺繍を教えてほしいとお願いした際に、カリストはモニカが普通の貴族令嬢とは違うと気がついたのだろう。それで乗馬を経験させようと用意してくれたようだ。


 他の三人はヒロインのために用意したサプライズだが、カリストはモニカと二人きりだと思っていた。

 彼だけは確実に、モニカのためにサプライズを用意してくれたことになる。


「あの……ありがとうございます、先生。とても嬉しいですわ」


(きっと教師として、いろいろな経験をさせてやりたいと思ってくれたのね)


 カリストとは偶然に出会い、彼の精霊のおかげでゲームに影響されることなく交流することができた。

 このような人と出会えたことは、モニカにとっては大切な財産だ。彼に少しでもお礼をするためにも、やはり守護者を目指すようお手伝いしたい。


「みんなのおかげで、楽しくなりそう! モニカちゃん。私たちもお礼をしましょう!」

「はいっ」


 ルカが背負ってきたリュックから、お弁当を取り出したモニカとリアナは早速、テーブルに並べて昼食会が始まった。


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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