↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第一章 『女神の再来』だと精霊に告げられましたが、それより推しに認知されたい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/166

26 ルカの勉強3


「あれから、モニカの環境が随分と変わったようだ。良かったな」


 今までのモニカなら、困った時に友達に頼ることができなかった。カリストはそのことを言っているようだ。


 思えばルカのことで頭がいっぱいで、ろくにカリストへあの時の説明もしていなかった。それに気がついたモニカは、顔が赤くなる。


「あの……先生が刺繍を教えてくれたおかげで、ルカ様と今までよりも仲良くなれましたし、お友達もできました。ありがとうございました」

「ほう。あのハンカチにそれほどの効果があったとはな。モニカが必死だったのはそのせいか?」

「はい……。ルカ様は家門の紋章がお好きなので」

「それにしても驚きの変化だ。あのハンカチには魔法でもかけられていたのか?」

「ま……まさか……」


 魔法ではないが、好感度を上げる効果は付与されている。そんなことをこの世界の人に話したところで、理解してもらえないが。


 この話題をそらしたいモニカは、ふと気になっていたことをカリストに尋ねてみる。


「ところで……先生から見た私は、何か変わりましたか?」


 モブからルカの幼馴染に昇格したので、カリストの感じ方に変化があるのか気になっていたのだ。


「いや? 特に変わりはないが……。先ほどから微かに、火属性の精霊の気配を感じるのが気になっていた」

「精霊さんですか? 昨日、ルカ様が火属性の精霊さんを召喚して触らせてくれたので、その影響でしょうか?」

「……そうかもしれないな」


 カリストはそう曖昧に答えたが、精霊の気配を感じる理由は推測できた。

 授業では教えていないが、契約したい人間がいると精霊は、その人間がほかの精霊に取られぬようマーキングのようなことする。


 今のモニカはその状態に似ているが、彼女は属性無しだ。精霊と契約はできない。

 なぜこのような事態になっているのか。これもまた、彼女が特別だからだろうか。

 カリストがそう考えていると、まるで精霊が逃げるかのように、彼女から精霊の気配が消えた。






 カリストに変化がないと言われて、安心したような、少し残念なような。

 ルカの幼馴染といっても、ゲームには出てこないキャラ。所詮、モブに毛が生えたようなものなのかもしれない。

 そう考えながら廊下の曲がり角を曲がったモニカは、誰かとぶつかりそうになった。


「きゃっ……」


 今までのモニカならば、こんな時は体当たりされていたが、ルカの幼馴染として昇格したおかげで、相手はモニカに気がついてくれたようだ。この差だけでも、モブでいた頃より大きな進歩だ。


「おっと。ごめんね」

「こちらこそ、申し訳ございません」


 謝ってからモニカが顔を上げると、相手の男性は一瞬にして冷ややかな視線へと変わる。モニカとぶつかりそうになったのは、ブラウリオだった。


(うっ……。よりによって殿下と鉢合わせするなんて……)


 推し活を邪魔されたばかりなので、きまずすぎる。

 さっさと退散しようとしたが、モニカの進路を遮るようにブラウリオが立ちはだかった。


「この先には、先生方の部屋しかない。何をしていたんだい?」

「あの……。ビエント先生にお礼をしに行っておりました」

「お礼? 君とカリスト先生が会ったのは、今日が初めてではないの?」

「実は先生には、教室で勉強する前からお世話になっておりまして……」

「君はクラスに慣れるまで、時間がかかるタイプだそうだね。それで先生が勉強を?」

「勉強は自分でしていたのですが、刺繍を教えていただきました……」


(なんで私、尋問されているのかしら……)


 敵の情報から弱点でも得ようとしているのだろうか。びくびくしながら質問に答えていると、ブラウリオは腕を組みながら拳を口元に当てて考え出した。


「もしかして……。先生の部屋に飾ってあるケルベロスの刺繍は、モニカ嬢が作ったの?」


(ひぃ……あれを見られていたなんて……!)


 モニカは恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤に火照る。しかもブラウリオが見ても、あれはケルベロスのようだ。

 本当はネコだなんて言えない。本当のことを話したら、絶対に付け入られてしまう。


「ひっ……秘密です」


 明後日の方角を向きながら拒否すると、ブラウリオは突然に笑い出す。どうして笑うのだろう。モニカはぽかんと彼を見つめる。


「君って嘘が下手みたいだね。リアナの友達には最適だよ」

「えっ。それって……」


(リアナちゃんと友達でいることを、認めてくれるってこと?)


「これからも、リアナと仲良くしてあげてね」

「はっはいっ。ありがとうございます」

「引き留めて悪かったね。俺はもう行くよ。暗くなってきたから気をつけて帰ってね」

「はい……お気遣い感謝します…………」


 急に態度が変わったブラウリオについていけず、モニカは呆然としたまま彼を見送る。


(ケルベロスが気に入った……とか?)


 いや。そんなはずないことは、モニカでもわかる。あれを気に入る変わり者は、カリストくらいなものだ。


(あっ。そういえば、殿下の尊敬する人って先生だったような)


 ブラウリオに興味がなさすぎてあまり覚えていないが、確かプロフィールにそう書いてあった気がする。

 つまり彼は、カリストと親しいモニカを『同士』と認定したのだろうか。


(もしそうなら、先生にはまた助けられたわね)


 とにかく、ブラウリオとは和解できたような気がする。モニカは軽い足取りで玄関へと向かった。

 




「先生、失礼します」

「ブラウリオか」


 教室ではあまり見られない、にこにこと無垢な笑みを浮かべて研究室へと入ってきたブラウリオは、慣れた様子でソファーへと腰かけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

◆作者ページ◆

~短編~

愛のない結婚を繰り返そうとする夫に、賛同します

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


商業作品(商業ページに飛びます)

【書籍】悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

【アンソロコミカライズ】愛のない結婚を繰り返そうとする夫に、賛同します

【電子書籍】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います

【縦読みコミカライズ】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。