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【三章】モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第一章 『女神の再来』だと精霊に告げられましたが、それより推しに認知されたい
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14 アイテム作成2


(ヒロインは鉄板ルートを進んでいるかと思っていたけれど、風属性は先生以外のキャラを攻略しているのかしら?)


「あの……。先生なら、守護者として頼りになりそうだと思いまして」

「聖女も年頃の娘だ。好き好んで盲目のオヤジは選ばないんじゃないか?」


 そんなことか、とカリストはどうでもいいことのように、モニカの作品を壁に飾りながら答えた。


 そんなはずがない。

 モニカは彼のストーリーを知っている。カリストが守護者に選ばれたら、最終的に聖女の力によって、精霊に頼らずとも目が見えるようになる。

 そのシーンは、彼を推してはいなかったモニカでも感動するものだった。


 そんなカリストが、守護者についてどうでもいいと思っているはずがない。


「そんなっ! 先生は素敵な男性ですよ!」


 ゲームでのキャラとは少し雰囲気が異なる部分もあるが、根底にある彼の良さはそのままだ。


「私のこんなお願いにも付き合ってくれるくらい優しいですし、授業もわかりやすいと学生に人気ですっ。それにそれに――」


 いくらヒロインの動向が気になるとはいえ、なぜこんな無神経な質問をしてしまったのだろう。


 カリストは初心者向けのキャラなので初めは選ばれやすいが、保護者的な存在であるために恋愛要素が乏しく、ガイドが不要な者は選ばない傾向にある。

 このゲームを知っている者の間では常識であり、それが普通だった。


 けれどこの世界のカリストは、都合のよい便利なキャラではない。

 一度だけの人生でカリストが守護者に選ばれなければ彼は一生、自分の目で世界を見ることが叶わない。

 そんな重大なことに関わる話を、気軽に聞くべきではなかった。


「わかったから。落ち着け」


 罪悪感でパニック気味になっているモニカを、カリストはなだめるように彼女の両肩を掴んだ。 


「でも……!」

「モニカの気持ちは嬉しいが……」


 カリストは真剣な表情で、モニカを見つめる。その、何も映していないようで、全てを見透かしているようなグレーの瞳が綺麗で、モニカはどきりとして我に返った。


「二股は良くないぞ」


(ん?)


 そして、冷静さを取り戻したモニカは首をかしげる。


(あら……? 私、先生のことが好きみたいに思われてる?)


「ちっ違いますっ!」

「違うのか。残念」


 残念とは思っていないような笑みを浮かべたカリストは、モニカの頭を楽しそうになでまわした。

 またも、からかわれてしまったが、大人のカリストに上手くはぐらかされた。そんな気分にさせられたモニカだった。





「お帰りなさいませ、坊ちゃま。近頃、ご気分がよろしいようですね」


 帰宅したカリストを迎えたのは、彼の乳母。ここは乳母夫婦であるビエント男爵家の邸宅で、カリストは未成年のころからこの家で世話になっている。表向きは、ビエント家の養子だ。


「そう見えるか? 楽しい新入生が入ってきたんだ」

「まあ! もしかして、聖女様のことですか?」

「聖女と個人的な交流を図るつもりはない」

「ですが、坊ちゃまの目を浄化(・・)できるのは、聖女様しか……」

「それについては何度も話したはずだ。聖女に負担をかけるつもりはない」

「そうでしたね……」


 カリストの事情を誰よりも知っている乳母は、落胆した様子で彼のコートを受け取り、この場を去って行った。

 その様子を見ながらカリストは、先ほどのモニカを思い出す。


 彼女はまるで、カリストの事情を知っているかのように必死な様子だった。

 カリストの目は単に、機能が失われているわけではない。先祖代々受け継がれている『呪い』だ。

 この事実は、家門に関わるごく一部の者しか知らないはず。それなのに彼女の動揺ぶりは、度を越していた。

 まるで、カリストの目が一生をかけても見えないことに悲観している乳母のように。


「お前と話ができたらな……」


 カリストは自身の目に手を当てながら、ぼそりと呟いた。カリストの精霊は彼に宿って以来、感覚でものを伝えてくるが、一度も会話ができていない。

 モニカが特別であることは感覚で理解できたが、実際になにが特別なのかまではわからなかった。

 モニカともっと交流を深めれば、『特別』の意味を理解できるのだろうか。





 そして一か月の特訓の末。ついに『刺繍したハンカチ(フエゴ公爵家)』は完成した。

 最速で材料が揃ったにも関わらず、結局はゲームでかかっていた期間とさほど変わらなかったのは、気にしてはならない。完成したという事実が重要だ。


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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