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【三章】モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第三章 モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!
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124 モニカの守護者17


(先生、ルカ様のこと敵視しすぎよ)


 今にして思うとカリストは初めから、ルカに対して対抗意識を燃やしていた。あの頃はモニカをからかうのが目的に見えたが。今ではすっかりライバルと見なされている。

 すでにモニカを諦めているルカが巻き込まれてしまい、申し訳ない。


「おし?」


 首をかしげるルカは無視して、カリストはモニカへと向き直る。


「それに、これくらいの試練を乗り越えるくらいでなければ、女神様の伴侶のエピソードとしてはつまらないだろう?」

「先生といると、良い意味で気が抜けます」


 おかげで、すこし気が楽になる。

 カリストはモニカよりもずっと勇者に詳しい。その彼が、恨むことなくそばにいることを望んでいる事実が、何よりも心強い。


 相変わらず呪いの煙のせいでカリストの目は見えないが、いつもの雰囲気で微笑むので、モニカも安心しながらうなずき返した。


 そして辺りをもう一度、見回してみる。皆もこの場に集まったので、準備は整った。

 未だに女神オーラもMAXの状態で、法廷全体がモニカたちに注目している。今こそ打ち明けるチャンスだ。


 最後に到着したブラウリオがリアナを伴い、モニカの前へと恭しくひざまずいた。

 これは事前に打ち合わせしていた段取りだ。王太子と聖女が丁重に扱う相手なら、皆も興味を持つだろうと。


 けれどそこまでの演出は必要なかったかもしれない。この状況に驚く者は、もはやこの場にはいない。誰もがモニカに特別な何かを感じているからだ。

 けれど、その特別ななにかに危機感を抱いた国王だけが、信じられない様子で立ち上がった。


「王太子。なにを……。今すぐ立ちなさい。聖女様に失礼だろう……」

「国王陛下。まだお気づきになりませんか? 目の前におられる方がどなたか。――皆にも改めてご紹介しましょう。こちらにおわすモニカ・レナセール嬢は、かつてこの地を救った女神様の生まれ変わりです」


 皆が納得した様子の中、国王だけが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 国王自身も、モニカが尊い存在であることはひしひしと感じている。しかしそれを認めてしまえばブラウリオとリアナはどうなるのか。

 指輪によってカリストの本来の姿を見せてしまったので、王族だと知られるのも時間の問題。

 そのような状況でカリストとモニカが結婚すれば、どちらが王位に相応しいかなど論ずる必要すらなくなるだろう。

 そうなれば、妻の心が完全に壊れてしまう。


「しっ……証拠はあるのか。神聖力が聖女より強いからというだけでは、証拠にならん。その呪いが操っているだけかもしれないだろう!」


 この言葉の直後に、法廷に響き渡るほどの笑い声が聞こえてきた。声の主はカリストの頭上にいる魔獣王だ。


「勇者の子孫ともあろう者がこのようでは、女神の死も浮かばれんな」


(私の死……?)


 モニカはどきりとしながら魔獣王を見た。

 女神だったモニカが転生を繰り返して、今世はモブとして生まれた。そうなるためには女神としての人生を終えなければいけなかったが、それも勇者と関係があるのだろうか。

 その辺りの記憶は思い出せない。魔獣王によって制限されている気がして、モヤモヤする。


「勇者ってなんだ?」

「女神様はお亡くなりになられたのか?」

「それじゃ、私たちが今までお祈りしてきた女神様はなんなのよ!」

「いもしない女神を崇拝してきたのか?」


 魔獣王のせいで法廷は三度、混乱に陥る。魔獣王としての力は失っても、人を惑わす才能だけは失っていないようだ。

 早く皆を守護者にして、呪いを完全に消し去らなければ。さらなる混乱を招きそうだ。


 その時。ルカの父親であるフエゴ公爵が、大きな音を立てながら槍の柄を床に叩きつけたせいで、法廷は静まりかえる。

 そしてロベルトの父親である宰相が立ち上がり、横にいる国王を見下ろした。


「国王陛下。どうやら国民には伏せられた歴史がおありのようですね。国民を代表して、隠蔽された歴史の開示を要求します」

「宰相……公爵……。国を裏切るつもりか……!」

「国も大切ですが、息子の未来も大切ですからね」


 にやりと笑みを浮かべる宰相に賛同するように、フエゴ公爵もうなずく。

 そのやり取りを目にしたモニカは、首をかしげる。


(お二人が、私たちの味方をしてくださっているの?)


 宰相と騎士団長は国を運営する側だ。当然のように国王をかばい、モニカたちを問い詰めると思っていたが。

 ルカとロベルトへと視線を向けると、ルカが「悪いモニカ」と謝る。


「騎士団にこの場を掌握させるには、親父の協力が必要だったからさ。先に話しておいたんだよ」

「陛下に対して毅然とした態度で迫れるのは、うちの父くらいですから。僕も必要性を感じたので事前に打ち明けさせていただきました」

「お二人とも、信じてくださったのですか……?」


 証拠を見せていない状況で、息子からそのような打ち明け話をされても、判断に困っただろうに。


「当たり前だろ? モニカがいなけりゃ俺は荒れ放題だったんだから、うちでは前から、モニカを女神様扱いしてたぜ?」

「当家でも同じです。父は、息子と息子嫁を幸せにしてくれるモニカ嬢を、女神様のように思っておりました」


 モニカは思わず笑い出す。

 それは完全なる比喩表現であり、それだけで本当の女神だと信じてくれるはずがない。二人は気づいていないようだがそれは、息子に対して絶対的な信頼があるからだ。

 二人とも父親との関係が悪かったのに、いつの間にかそこまでの信頼関係を築けた。そのことがとても嬉しい。


 そのような信頼関係を、カリストと国王の間に築かれる日は来るのだろうか。せめて、このエピソードが終わった頃には、国王の考えが少しでも変わっていたら良いが。

 モニカはそう願いながら、国王を見た。


「国王陛下。私が女神の生まれ変わりである証拠が必要とおっしゃいましたね。今から皆様に、証拠をお見せいたしますわ。こちらに集まっている友人たちには、私の守護者になっていただきます」


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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