表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

「さっさと行きなさい!」


金切り声をあげるシスターに、本当はイヤだと伝えたかった。ううん、地面にへばりついて抵抗の意を示している。もうそれぐらいしか出来ない位、わたしはフラフラだった。


ここはとあるダンジョンの入り口だ。初めて訪れたわたしにそれはわかりようがなかったけれど、夜中に人目を忍んで連れてこられた事で、ああ、捨てられるんだな。その事だけは、腑に落ちた。


うちの孤児院に食べ物がない。中のモンスターから食べれるものを取ってきな。それがシスターの命令だったけれど、武器もなければ防具もない。薄手のワンピースを着たわたしは、薄汚れた浮浪者といったところだ。


それがうちの孤児院では普通だったから特筆するべきことではないかもしれないが、わたしに名前はなかった。


うずくまっているところをガンガンと蹴られ、仕方なく立ち上がり、ふらつきながら歩き出す。


ダンジョンの入り口をくぐり、歩けるだけ歩こう、と足を動かす。しばらくして限界が来た。パタリと倒れたわたしが見たのは、青白く大きく丸いスライムだった──


そこでわたしは命を落とした。


そこまでは、はっきり覚えている。


それと同時に、私は前世の記憶を思い出した。


走馬灯ってやつかしら?


前世の私は社畜だった。恋愛そっちのけでSEとしてバリバリ働いていた。たまにゆっくり自炊するのが癒やしだったわ。


でも働きすぎて早死にしちゃったんだもの、今生では長生きをって、僅か7才で死んじゃってるじゃない。名前がないこともそうだし、今生の私って酷い環境だったわ。最期、静かに逝けたことだけはよかったわね。


過ぎたことはしょうがないわね、来世に期待しましょ……って、何でまだダンジョンにいるのかしら?


【それはあなたがまだ死んでないからです】


「ええと、誰っ?」


【私は元ダンジョンマスターです。このダンジョンの主はあなたになりました。頑張って下さい。では】


「待って待って。ダンジョンマスターって何?私……ああもうフローシャでいいわ。フローシャがダンジョンマスターだっていうの?」


【ステータスに載っています。ステータスと唱えてみて下さい】


「ステータス!」



フローシャ LVMAX


スキル ダンジョンマスター


HP 45/9999


MP 30/9999


想像魔法 LVMAX

鑑定魔法 LVMAX

火魔法 LV10

風魔法 LV10

土魔法 LV10

水魔法 LV10

光魔法 LV10

闇魔法 LV10

格闘術 LV10

棒術 LV10

剣術 LV10

杖術 LV10

……。


加護:元ダンジョンマスターのチュートリアル(初級)





「本当だ。ダンジョンマスターだったのね。でも生前スキル名は文字化けして読めなかったわ」


【アンデッドとして生まれ変わって一人前なのです。生きた人間はダンジョンマスターになれません】


「うっそぉ? 人間じゃないなんて……、ま、いっか。それでダンジョンマスターって何をやればいいの? ステータスの数字がえらいことになってて、あと死にそう……かも」


【現HPが低いのは、弱い身体だった弊害です。自然回復しますが、モンスターなので倒されると死にます。注意して下さい。ダンジョンマスターの仕事はダンジョンの管理。ぶっちゃけて言えば、このコアルームを守っていればそれだけでいいです】


ビーッビーッ


コアルームに赤い光が差し込み、騒々しい音が鳴る。なんだろう、そう思っていると。


グゥゥゥゥゥ。


フローシャのお腹の音がそれにも負けずに響き渡った。


8畳位の土に囲まれた部屋に沈黙が落ちる。


【ご飯を食べないと死なないけど死ぬほど弱ります。早く何か食べてください】


「何かって……、そうか、想像魔法! 私はフローシャと違って元アラフォーだもの。美味しい料理を出しちゃうわよーっ」


えい、とどこかで食べた事のある豚の煮込みを想像して手を振ってみた。


しーん。


「あれ、駄目じゃない。失敗?」


【異世界の魂よ。我らはダンジョンマスター。モンスターからドロップさせねばなりません。そして料理は出て来ません】


「なんですって、しょうがない。料理じゃなくて食べれるもの、この世界のものっていっても、フローシャはほんの少ししか食べ物を知らないのに……っ」


【はじめはスライムが良いでしょう】


「スライムかもーんっ、果物をだしてね」


ぽんっ、青白いスライムが現れた!


【叩いて、倒すとドロップアイテムが貰えます】


ぽかっ、素手で殴る。ぽんっと弾けてドロップアイテムが土の上に落ちた。


【スライムは9999のダメージを受けた】

【山ぶどう×1 魔石×1を手に入れた】


「やったわ。山ぶどうをゲット。うーんおいしい。やっぱり食べた事あるわ。孤児院の裏の山で取ってきたものとおんなじ味ね」


必要かわからないけど水分もチャージ出来たし、おなかもちょっと落ち着いた。

ステータスにチュートリアルって出てたし、先に進みましょう。


【これで外のスライムも山ぶどうを落とすようになりました。よろしいですね?】


「へぇー。連動しているのね。といっても、ダンジョンに何がいるか知らないけど」


【ダンジョン1Fにスライム、2Fにゴブリン、3Fにオークがいます】


「私、全然ダンジョンのことわからないわよ。全部スライムに変えちゃってもいいの?」


【主は貴方なので構いません。しかし、敵がやってくる確率が増えます。強いモンスターの配置をお勧めします】


「何が強いかわからないんだけど……」


【では、右手下におちている板を手に取ってください。ダンジョンを作るにあたって必要なものを表示してくれる言い伝えがあります】


「あなたは使っていなかったの? これ……タブレット? 随分古いけれど、やっぱり起動したわ! んん? クッ〇パッドしか表示されないんだけど、何で?」


【貴方のダンジョンに必要だからでしょう。これでチュートリアルは終了です】


「ちょっと待って、どうしてもわかんなかったら呼ぶからそのへんにいて。いいわね? やってみるから」


こうして元社畜のアラフォーは7歳児に転生し、アンデッドのダンジョンマスターとしての生をスタートさせたのでした。

お読みいただき、ありがとうございました。


もし面白い! 応援してるよ! と思ったら、


↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ