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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
2章 新たなる隣人達 魔女とスーパーマーケット
9/53

1話



あの異常な世界から元の世界に戻れて1週間が過ぎようとしていた。


休暇を取り知人の別荘にやって来た所。州都からずっと東の田舎の方で

別荘がちょっとした森の中に立ち並ぶような場所。


別荘について軽く掃除をした後は直ぐに散歩に出た。

ぼうっと自然の中を歩いていると多少気持ちが落ち着いた。

散歩や森林浴はやはり心身にとっていいのだろう。

立ち止まって木に触れると癒されていくような気がした。

身体の細胞が喜んでいるような感じだ。 

誰も見ていないのを確認してから木に抱きついてみる。


誰かに見られたら、と頭によぎる。

少々気恥ずかしくなったので

散歩を再開。歩いていると

茂みに何か潜んでいないか目が確認するように動いていることに気づいた。


結局の所どうしてもあの日のことに

意識が向いてしまうのだ。


突然の惨劇に見舞われた日。

たまたま近所に買い物に出かけた日だった。

死体だらけのショッピングモールが脳裏に浮かぶ……


大変な目にあった。有り得ないことが次々と起きた。

謎の力にも目覚めた日、私が魔女になった日。

ショッピングモールでの出来事。気づいた時には死体だらけだった。

あれは一体何だったのだろうか。犬のような四足歩行のエイリアン。

それに猿のような人間のような腹の突き出た怪物。

インプとは少し違うか。それに巨大化け物蜘蛛。

あまりにも色々あり過ぎた。


元の世界へ戻っても

私の身体能力は、常人の域をはるかに超えていた。

あのショッピングモールで

何とか巨大な蜘蛛の化け物から逃げおおせたけれど……


あそこで出会ったあの男の人は大丈夫かな…

何故か全裸だったけど。私みたいに戻れているのだろうか心配だ。


知人の別荘に戻り、掃除の続きをしてから近くのスーパーまで車で買い出しに行く。

結構大きい四駆の車。

陸のクルーザーみたいな名前のやつ。


見た目は好きだが私には少々大きすぎる。

同じ見た目で一回り小さいのがあればな。わがまますぎるか。

森に近い山道のロータリー脇にあるスーパーマーケットに入る。

必要なものだけ買って帰るはずが、防災グッズに自然と目が行ってしまう。

電池やら少し買って行こうか。

あの世界を体験した影響だろう。


買い出しを済ませて帰ろうとした時、駐車場で人が騒いでいた。


子供が誘拐されたかも知れないとか。

誰かが連れ去ったんじゃないかとか。

そんな声が聞こえてきた。

近づいていくと、若い夫婦が必死に誰か子供を見てないかと聞いて回ってる。

5歳の男の子。


脳裏にイメージが浮かんだ。


幻視===

スーパーマーケット 裏  裏山。

獣道 子供が乱暴に手を引かれてる映像

===


! 頭に痛みが走った。目の奥にも。


どうする? 一瞬思案したものの答えは直ぐに出た。

……いってみよう。唇を知らず知らずのうちに結んでいた。

スーパー裏に速足で向かい

人から見えなくなった辺りで一気に駆け出す。

ぐんぐんと常人とは思えないスピードで山を駆け上っていく。

昔鉱山だったような雰囲気のある山だ。

何とかサンダーマウンテンみたいな。


幻視===

左 獣道 洞穴 入口 洞窟 背の低い毛のない人間?

===


映像がまた見えた! 目の奥が一瞬チカチカした。


いや、人間ではまずないか。

見つけた。

洞穴がある、入っていくと想像以上に広い空間。

そのまま進むと、すぐにモンスターを発見。小鬼、

ゴブリンと形容するのがしっくり来た。


少年は……

もう途中まで食べられていた。

身を隠す、ゴブリンは5体いる。

出来ればこいつらは生かしておきたくない。

でも5体相手じゃ、自信がない。


しばらく様子を見て待ち続ける。


1体がこちら側にきてそのまま通り過ぎて入口の近くにある窪んだ場所に入った。

用を足している。モンスターも用を足すか。そりゃそうだよね。

ゆっくりと呼吸を始める。より自分らしく。


魔女の呼吸…

マナを操作。

「念力」


対象へ向けて腕を動かす、

背後から片手で相手の首を絞めるように。

ゴブリンまで距離は3m以上。

見えない手がゴブリンの首を背後から絞める。


用を足している小鬼の首周りから頭部にかけてマナが消失し始める。

まるで炭酸の泡が一気に抜けていくように。

射程距離は数m。

直接触ったほうがやりやすいけど…

どちらのリスクを取るか、今回は間接的にやる。

何だかダー〇ベイダーになったかのような気分。


ゴブリンは首を自らひっかき始めたがすぐにその場に崩れ落ちる。

今回はじっくり8秒以上かけてやったけど。

急いでも3秒はかかるだろう。


しかもこれ疲れる。脳が少し酸欠のようになった。

足がふらつく。

まだ完全に死んでないゴブリンの額に指を近づけ、首を絞め続けた。

マナの大部分が抜ける少し前に小鬼の抵抗も無くなった。

膝から床に崩れ落ちた小鬼の死体からマナを吸収。


その後も1匹ずつ確実に仕留めていく。

5体のマナを吸収したところで成長の感覚。



魔女 LV2

魔女の呼吸 


―技取得可能

・呪術

・ウィッチクラフト

・炎魔法

----

迷った。

でもウイッチクラフト。

これにする。


取得した感覚。技の使い方が何故か理解できる。

頭の中には入っていないのに。迷いなく。

早速ウイッチクラフトを使用。

素材はこの場で見つけた鉱石とゴブリンの死骸。


一体の小鬼の死骸の腹を開き、中に他の小鬼の部位と鉱石を詰め込む。

魔女のマナでこれらを包んでいく。マナで作った見えない手で

鍋をかき混ぜるように錬成していく。


幻視===

・毒爆弾

・小鬼の疑似餌

・毒の疑似餌

・毒の水晶球と狂いの水晶球

・小鬼の杖

===


作れそうなものが漠然と浮かんできた。結構多い。

何がいいんだろう。本当に作れるのだろうか。

毒の水晶球と狂いの水晶球にしてみよう。ついでに小鬼の杖も作成。

初めてのクラフトできたところで、洞窟の奥から気配を感じた。


弓矢をもった小鬼に棍棒を持った小鬼。

ぞろぞろと何体も出てきた。


一体何匹いるの? 

そのうちの1体がこちらを視認できる角度まで歩いてきてしまう。

見つかったらまずい! 感情とは裏腹に体は硬直。

小鬼がこちらに気づく。と躊躇せず矢を放ってきた。顔色に変化無し。

(やばい!)

咄嗟に杖に魔力を纏わせ発散。衝撃波の盾を作る。

何とか矢を前方に落とせた。


毒の水晶球と狂いの水晶球は手元に2個。

狂水晶を念じて飛ばすとゴブリンの前で砕け散った。

砕けた水晶の破片が小鬼に突き刺さる。


狂水晶を受けたゴブリンの眼球運動がおかしくなる。

一瞬白目になるのを繰り返したあと突如近くにいた

小鬼の頭部に棍棒を叩きつけた。

崩れ落ちた仲間への攻撃をやめない。


此方にまだ気づいていなかった4体ほどの小鬼が

暴走状態の小鬼を攻撃して同士討ちが始まった。

岩影から見えない手で一匹をどさくさに紛れて絞め殺す。


このアイテム凄い!

そう思ったのも束の間だった。

洞窟の奥からさらに20体以上のゴブリン。


これ以上戦闘しないほうがいい……

逃げるべき。

洞窟外側から入口に向かって杖の先から衝撃波を放つ。

入口が崩落する、が中途半端。殆ど意味がない程度。

もう一度。

だめだ、現実は狙い通りにはいかない……


これ以上この入口は崩落しない。

切り替えて逃げる。

異変を察知したゴブリンたちが奥から追って来る。


山を下り始めてスーパーの裏が見えてきた。

そうだ、スーパーの人たち!


スーパーの人たちを逃がさないと!


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