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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
7章 傀儡師と明けない夜の街
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4話


轟音


店前の信号機に車が衝突。滑るように横に回転し

信号機横のゴミ箱にぶつかって止まる。

車のライトが割れ、灯りが片方消えた。


突っ込んだ車の後方の闇から大きな人影。

異様な姿であった。黒い革のコートを着た

焼けただれた顔の異形の怪人。


それが車のほうへ歩いて行き

ドアガラスを拳で破りそのままの勢いで運転席の人間の頭部をつかんで車から

引っこ抜く。

血だらけの運転手が上半身が窓から引きずり出される。

持っていた鎌を振り下ろし化け物の頭部に突き刺した。

怪人は出血するが全く意に介さず、運転手の頭を握りつぶした。


グシャという鈍い音と共に血が飛び散った。

怪人はいらなくなった雑巾か何かのように

今しがた自分が殺した男を地面に捨てる。

此方を一瞥すると

もうここにいる理由は無いとばかりに闇の中に消えていった。


信号機の赤い光以外にオレンジ色の光がアスファルトに映りだす。

信号機横の車が炎上しだしていた。


ふとエレーニのほうを見ると

エレーニは特に反応していない。

彼女の横には昨日の首切り男の死体があった。


片付けたほうが良さそうだが、俺が片付けるべきか。

……まぁそうだよな。納得した時。

ふと、傀儡にしようと思った。

そのまま店内の奥のソファ席で場所を確保して

大男の傀儡を作り始める。


エレーニが店の掃除をし終わった頃

大男の傀儡ができた。


「エレーニ、この男の名前は?」

「覚えてるわけないでしょ? アンタさ、あたしがここに何しに来てると思うわけ?

男の人の名前を覚えるため? 違うでしょ? ファックノー! そんなわけない。

しみったれた小銭を稼ぐ為に来てるの。」


いつものようにぼんやりとしたような気怠い様な調子で

返される。


とりあえず新しい傀儡に意識を戻す。



緑の服の大男===

2m 

怪人型特殊傀儡 デュラハン系統

不死の怪人 再生 怪力 ヘッドハント(クリティカルダメージ補正 大)



エレーニとバリスタのアントニオに出てくるといって外に出る。

店から出て先ほどの炎上している車がある横断歩道を避けつつ

ガソリンスタンドを通り過ぎてあの老人のやっている仕立て屋に入る。


仕立て屋の老人がカウンターで生地を測ったりしていた。


「もう店じまいだよ、悪いね。」

「一瞬だけ、ごめんね。」

「アンタあそこのレストランの奴だろう? 自分の店にこんな客来たらどう思うの?」

「まぁ、そうなんだけど……この街は無茶苦茶すぎて麻痺しちゃって…」

「そりゃあ、仕方ないね。私だっていろいろ麻痺しちゃうもんな。でもねダメなものは駄目だよ。」

「確かに。じゃあお金払いますよ。」

「お金の話だっけ? 私はボケてきたのかな。店を閉める時間だからって話だったとおもうけど。」

「お金の話だったかもしれませんね。払う前にちょっと見て回らせてくださいよ。」

「そうだっけ? アナタさぁ友達いないでしょ? 控えめに言って狂ってるもん。」

「……」


そのまま店の中に入り傀儡達の服を見繕う。

シャドウ達により人間に近い体形に変化させられるように改造してみたから

服を着せてみたかった。

ゴーストを分離させてゴースト用の服も見繕う。

厚手過ぎない黒いコートを皆に着せていく。ハットも。

銀灰色の肌やのっぺらぼうの顔が少しだけでも隠せる。

動きやすそうな暗い色の服をインナーにして、緑の大男の服も老人にお願いする。


「俺の連れの男なんですが彼のサイズの服仕立ててもらえません?」

「うん、いいよ。君の連れはむっちゃデカいもんね。こういう時のための仕立て屋ですよ。じゃあ採寸するからこっちへ来なさい。」


傀儡を近くへやると老人が飛びかかりハサミで大男の傀儡の目を突き刺す。

首元へその勢いのまま噛みつこうとするが大男を操作して怪力で拘束する。


爺さんを締め上げるとやめてくれ! と懇願しだした。

鼓膜が破れるように耳を強めにはたく。

反対側の耳に向かって仕事をするか? 

と尋ねると今度こそ約束すると言ったので放すと、

ぶつぶつと文句を言いながら採寸をしだした。


緑の男の目はみるみるうちに回復していく。

この傀儡の再生能力はかなり高いようだった。


それにしても…

首切りゲームに勇気か、アーサー王伝説に出てくるんだよな。

緑の騎士の話。

騎士の名前は何だっけ。ベルシモックだっけ? それでいいか。

緑の男の傀儡の名前をベルシモックにする。


老人に目をやるとさっきより顔つきが変わり始めて舌を口から出して

奇妙な表情を作っている。

その状態で服を作り始めた。

服が出来るまでの間、どのくらいかかるのかもわからないけど。


傀儡達に黒いコートとインナーとハットだけ着せて

店を出て通りを歩いていく。

映画館がある。営業してるみたいだ。

映画館の中には小さな子供がいた。謎の余裕がある表情で映画館の入り口

ロビーのテーブルでくつろいでいる。そういえばこの街子供がすくないよな。

まぁ、夜に子供を見かけないのは普通な気もするが…

 

通り過ぎていくと小さめのスーパーマーケットがある。

その先は山道になっている。

車でもう少し遠くまでいってみようかと思案し始める。


何処かで車を入手したいな。

近くに駐車してある車のほうまで100Mほど歩きドアに手をかけると

「おいおい、何やってるんだ?」

スラックスにYシャツのいで立ちの東アジア人風の男。


50代程だろうか。

あまりよろしくないタイミングで話しかけられてしまう。

目を大きく見開きながら顔を近づけてくる…


「この車あなたのですか?」

「だとしたら何なの!? あとそう聞くってことはさ、あなたのじゃないってことだよね?

だとしたらさ! 知らない人の車をなんで開けようとしているの!?」

「車が欲しくて… あと色々麻痺しちゃってて。」

「へぇー、それなら仕方ないかなぁ。だいぶ頭がおかしいと思うけどね。うん!」

「それであなたの車なんですか?」


「あの私、察しがいい方なんだけどさ、うん。

もしかして私を殺してキーを盗ろうなんて考えてないよね? 」

「そういうわけではないんですけど…」

「もしそういうことなら監獄にいったら? そんな奴は街を歩いてたらダメでしょ? しかも私の車じゃないからキーも持ってないしね、うん。」

「あなたのじゃないんですか。」


「うん! 私が今さっき殺した奴の車に触ってるから話しかけたんだよ。

ついでに君もって思ってさ、うん!」


そういうと男の肌が波打ち始めてところどころ顔にするどいサボテンのとげのようなものができた。

顔や骨格もすこしだけ変形している。

突き破られたりさけた皮膚から出血をしている。


両目から血の涙を流しながらこちらに抱き着こうと飛びかかってくる。

横にいたシャドウが散弾で男の体を吹っ飛ばす。

分離していたゴーストが触手槍で突き刺して持ち上げ再度地面に叩きつける。


「夜が明けない街… とんでもない街だ。

正気じゃない奴らばかり。人間がいるのかすら怪しくなってきた。」


彼らは自分たちのことを人間として認識してそうでもあるからさらに混乱する。



もはや驚きもしなくなっているが、とりあえずいい情報を聞いたので近くの霊気を探っていく。

直ぐ近くの駐車場に死体があった。

おそらくこの男に殺された人間だろう。

殺された人の死体は人間みたいなのに、殺す側は化け物みたいになるのはなんだ?


この人たちはみんな普通の人間とは何か違うように見えるけど…

襲う時だけ化け物になるのか?

よくわからないことだらけだが…



死体のポケットを探るとやはりキーがあった。


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