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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
7章 傀儡師と明けない夜の街
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2話


曇り空。


森を探索していた。

陽が落ちる前には帰るつもりだ。

水辺を離れ森の中を進んでいくと霧が濃くなった。 

この霧の中には何か変なものが住んでいる。

出来る限り入りたくない。

ソレは大体ゆっくりと歩いていた。


ソレが俺に気づいているのか気づいていないのかは、俺にはよく分からなかった。


霧を避け、木々の間を縫うように進んでいると

向こう側、木々の隙間が明るい。何だろう、生き物や魔物の気配は無い。


警戒しつつ青白い光に近づいていく。

樹の幹が邪魔で、良く見えない。

もう一歩踏み込むと胸ほどの

高さに浮いて輝くものを見つけた。


プラズマ?

神秘的な光。青白いが蛍光灯のような人工的な印象は受けない。

どちらかと言えば優しい自然な色の光だった。

警戒心は何処かへと消え去り、いつの間にか発光体に手を伸ばしていた。

触れるとそれはギリギリ扉と言えるような形に変わった。


扉は少し開いていて

俺は何も考えずにドアを開けた。

ドアの向こう側は何も無い。無があるというわけではなくて

ただドアのように見える枠の中を通るだけだ。

そのまま足を踏み入れた。





黒い地面に赤い光が反射している…


気が付くとアスファルトの上に立っていた。

少し濡れている。

信号機だ… 赤信号…

夜…

殆ど車の通りは無い車道。

真夜中?


周りを見渡すと

ガソリンスタンド、交差点。

街だ、街の中に居る。


背後から車が来て、クラクションをけたたましく鳴らしてきた。

そこで今更ながら車道に自分が立っていることに気がつく。


車から中年のくたびれた男が出てきて。


「おい、危ないだろ? 車道にいてはならないことを分かってないのか?」


変な雰囲気の男だ。しゃべり方もおかしい。

傀儡と何かが似ているような印象をもった。


「聞いているのか? 聞こえてないのか? 車道にいては危ないだろ、Mr(ミスター)?」


俺の横にいるシャドウがまるで見えてないかのようにふるまう。


「はい、今歩道に行きます。」

「おう、初めからそうしたらいいんだ。」

「ところで俺の横にいるものが見えてますか?」

「うん。見えてるよ。何故だい?」

「こういう存在は普通ですか?」

「うーん、まぁ普通ではないだろうね。それは化け物だろうから、君からすればさ。」

「そうですか、では何故驚かないんですか?」


「俺も化け物だからじゃないか?」


男の顔がありえないような形に膨らむ。所々皮膚が裂け

顔が1・5倍ほど膨らみ首、手足も20センチ以上伸びた。

血走った目で俺を見てくる。


何か言おうとする前に手に持っていた斧で切りかかってきた。

ゴーストを操作。

背中から外骨格に覆われた触手槍が飛び出し男の頭部を突き壊した。

まだ絶命していないという体の微妙な動きを察知。

胴体と足もそのままの勢いで破壊。


男は倒れて動けなくなったあと…


「チッ、感がいいみたいだな。でもこの町では口の利き方と何を聞くかには気をつけろ?

まぁ、強いなら仕方ないし… 気にしなくてもいいがな…」

「ありがとう… 口の利き方は気を付けるよ、少しだけ。」


そのまま男は絶命した。

「……この街ではってことはコイツのようなのが他にもいるのか?

とりあえず、アドバイスをありがとう。」


最初の助言はもっともであったので車道から歩道へと移る。

が、途中で踵を返して死体の元へ。

斧はもらっていく。

何処から仕入れたものなのか、救助用とかの万能斧みたいな。

短く赤い斧。蝋をコーティングされたような質感の赤だった。


少し寒いな。

自分の格好を見てみると革のスニーキングスーツに素足。

左腕と左足の部分は破れている。それに半裸だ。

男の車にはジャケットがあったのでそれらを頂く。

 

その間にも車が何台か通っていった。

こちらには無関心のようだ。


ここから信号機を通り過ぎたところにある

ガソリンスタンドの先に仕立屋があった。

明かりが点いている。


そこにいって中に入ろうとすると爺さんが出てきて


「店じまいだよ、もう遅いからね。」

「今何時ですか?」

「知らないけど、まぁ12時は回ってるだろうね。」

「店は何時までだったんですか?」

「知らないけど、5分くらい前に閉めたんだ。」

「だからまだ明かりがついてたんですね。」

「うん、そういうことだね。惜しかったね。」


老人の横のカウンターには老婆の死体があった。

仕立て屋は血まみれのはさみを手に持ちながら今度にしてくれという。


「はい、わかりました」

とだけ言って店の中に進んで服を物色する。

男物の服を見繕い

革靴、ボクサーパンツに靴下。紺のパンツ。

黒いTシャツとリュックももらうか。


「おい、店じまいだといったのにもう…」


こちらに鋏を持って近づいて来る。

Gで霊糸をだして道を数本の糸で遮る。

老人は見えない糸にさえぎられて前に進めない。

「あれ? なんかこっちに進めないなぁ。まったく… なら仕方ないね。」


元居た老婆の死体のあるカウンターへ戻っていった。


黒いTシャツに紺のセーター。

襟のある革のジャケットも鏡の前で何着か着て見ながら選ぶ。

リュックに手袋や下着などもいれていく。


「贅沢だねー、あたしがそちらに行けないのをいいことに。」

「なぜ来れないんです?」

「何かが邪魔でいけないんだよ。」

はさみを持ちながら言う。

「その鋏で切ればいいのに。」

「おー! その手があったか。感謝する。」


駆け足で向かってきて鋏で霊糸を切ろうとするが上手くいかない。

「言ったとおりにならないじゃないか。」

それっ! といって血まみれの鋏を投げてきた。

首を傾けて避ける。


「知らないけど。霊糸は鋏じゃ切れないみたいですね。」



「いい加減にしてほしいなぁ、もう。」

また老人はカウンターへ向かってゴミ箱に老婆を入れ始めた。

店のなかに暖炉があったので火をつける。


「この町はどういう街なんですか?」

「知らないけど。ここはねぇ、どんな街かな。まぁ、いいところだよ。」

「ここにはどのくらい人間がいるんですか?」

「さぁ、知らないよね、そんなことは。」


「聞かないほうがいい質問とかって何がある?」

老人はこちらを振り返って

「知らないけど。この人は誰ですか? とかじゃないの。」

ゴミ箱のなかの死体を指さしながら言う。


「確かに、センシティブな質問かも。」

「そりゃそうだよ。こいつ私の女房でさ。死んだふりしながら人を襲うんだけど。私がやりすぎちゃってほんとに殺しちゃったのよ。」

「へぇ、あなたはどういう風に人を襲うの?」

「知らないけどね。嘘をついたりとかじゃない?」

「じゃあ、その死体が入っているゴミ箱を設置してそれが罠になってるとか? それでその人はホントはまだ死んでいないとか? 今あなたが言ったことが実は嘘で…」

「信じないわけ? あなたさー、憎たらしいねぇ。」


シャドウを操作しゴミ袋に大威力の散弾を撃ち込む。

死体の入っているゴミ袋に特に動きはなかった…


どうやらほんとに死んでるようだった。

「はぁ… あなたさぁ… 何がしたいの?」


……


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