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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
6章 異界衝突 傀儡師と魔女と巨人の軍団
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4話 ANKH・Withery同盟 巨人討伐





ルネーに聞いて集まってきた情報。


ネフィリム軍の残るゾンビ兵たちは全軍合わせても1万以下。



そして敵のボスであるネフィリムの戦闘力について——



ルネーが言うにはネフィリム自体はゾンビとは比べ物にならないほど強いものの、あのヘラジカ魔獣、モーゼスと名付けた。や陸竜ゾンビと隔絶した戦闘力があるわけでも無いらしい。


あの陸竜のゾンビが戦闘力9として。今は俺の傀儡となったモーゼスが12とすると感覚的にはネフィリムという巨人は15、6くらいじゃないかと言っていた。


戦闘方法は突進が多い、脳筋だがヒト型エイリアンのように口から何か吐くらしいが、それだけ気をつけていれば問題なさそうに思えた。


ゾンビ兵について——


ゾンビは時間と共に劣化していってるらしいのだが今は冬。奴らのゾンビ兵増員ペースを考慮すると、さすがに夏までは待ってられない。


ただし、増員ペース自体も素材となる人間やエイリアンが多く生き残っている地域自体が稀少であり正直このままこの地域に数か月も足止めすればゾンビ軍は詰むのではという予想もあった。


こちらとしては待つ理由も特段ない。

というわけでネフィリムの居場所を突き止めて一気に終わらせる。



***



Witheryの面々をショッピングモールに招待した。


新たに領土に組み込んだANKH領東部まで迎えにいく。


魔道装甲車はいくつもないようなので、こちらから車を出していくとイーヴィーとルーシーが装甲車に乗って、ルネーは箒で飛んできていた。フクロウと熊もいる。


熊をピックアップトラックの荷台に乗せ、フクロウとルネーを助手席に乗せてショッピングモールへ。アスファルトはもうすでに状態が悪くなってきていて、所々陥没しているがまだ問題なく走れる。




50分ほどでショッピングモールに到着。


ルネーと出会った場所。

ルネーは懐かしがっていた。マザーの寝床だった倉庫と搬入口側の入り口から施設に入る、途中でイーヴィーがショッピングモール横にいた巨大樹人インフェクシャスをルネーやルーシーに見せていた。


「これがANKH名物の巨大盆栽ツリーマンです!」


などといっていた。


階段を上がっていき3階映画館前のロビーを改装してWitcheryno面々をもてなす。


そのまま正式に同盟も結ぶことに同意。互いに書類を用意してサイン。ルネーの身体から十字架をモチーフにしたような短剣が出現。自分もANKHが出現させる。


互いの手にそれぞれの勢力のシンボルを持ってグラスを交わす時のように軽くぶつけ合った。キーンという音が響き渡り空間に波紋があったような感覚。余韻が長く続き消え去る前に互いの目が合った。心臓がとんと脈打つ。


霊的な繋がりが構築されたことを理解した。

互いに抱擁した。


同盟も組んだことだし、今後について話し合う。


巨人討伐に関してあちらから満月の夜に作戦決行したいという提案があった。満月の日はルネーの使い魔が強化されるらしく、次の満月までにネフィリムの居場所を割り出せるとのこと。


こちらも夜は蜘蛛たちが強化されるしネフィリムの居場所特定も今すぐには出来ない。異論もなにもなく了承した。


話し合いが終わって寛いでもらおうとすると、魔女の使い魔である魔熊があちらから鞄を持ってきてくれた。それをルネーが開けると…… 酒だ。


「同盟祝い、やるでしょ!?」

魔女が言った。


「ああ、やる!」



祝い事は好きだ。

祝ってくれる人や、ともに祝える人がいるだけでマシな気分になるし、報われた気にもなる。彼女たちはチームでこういう事もやって来たのだろう。


……俺はやってなかった。


周りを見るとマザーもハクも他の仲間たちも心なしか嬉しそうに見えた。みんな祝いたいか、そりゃそうだよな。俺ももっとちゃんと祝うようにしようかな。


そして____


同盟祝いは、ショッピングモールを改装から始めるほど

大々的に行われ夜明けまで続いた。






***




……


満月まであと1週間。


巨人の隠れ家探しを開始した。


共同で適地を偵察し幻視や彼女の使い魔や自身の傀儡の感知を駆使して行われた。意外にあっさりと巨人の居場所は絞れて肩透かしを食らう。


ネフィリムの隠れ家は新しく奴らが入手した領土の内ANKHとの戦線からもっとも離れた街。そこは風に砂が混じっているような、寂れた小さな街であった。


隠れ家探しが終わり、それぞれが一度領土に帰還するとなった時。ルネーからこれからについて話し合っておきたいことがあると言われた。


ネフィリム討伐後に再度彼女の領土に招待するので、勢力として今後のことや。生き残りの人類について等話し合おうということだった。


他にも霧のこともある、配下の傀儡や魔物と人間が上手く共存できるのかどうかも。考えるべきことは山のようにあった。





@@@






作戦決行の日。


東部戦線司令部付近の緑地。


夕日が落ちる前にWitcheryが量産した特殊なアイテム狂気の首輪をANKHの鳥系魔獣部隊が足に引っ掛けて飛び立っていく。


やがて夜空に満月が浮かび上がる…


暗闇の中でゾンビたちを襲撃。ここ数日間の偵察によって、すでに特定していた扇動個体は鳥系魔獣たちによってことごとく首輪をはめられていった。


敵軍の7割以上のゾンビたちが闇夜の中終わらない同士討ちを始める。樹人部隊も各地の混乱に突入していきゾンビ部隊はなすすべもなく壊滅。


夜の田舎町に魔物たちの呻き声。

胞子も撒いておく、感染したゾンビたちは樹人衆へと編入する。


もっとも強いあの陸竜もインフェクシャスが倒した。ヒト型ゾンビ異星獣たちも多くが同士討ち。残りはマザーにハクが駆逐。


あとはこの東の街に隠れている巨人を討伐すればいい。意外とあっけなかったな。拍子抜けしているわけではないが。手応えがさしてないままここまでやって来たことに一抹の不安を覚える。


しかしここまで相性が悪ければこうなるのは自明か。あのアイテムや扇動個体の情報などがあったのも大きい。


空をとぶ鳥型ゾンビたちも大した数ではない。多くのゾンビ鳥は飛べない。


動物の鳥と同様、羽に問題があると上手く飛べないのか。ゾンビなどは風切り羽どころか肉体レベルで損傷がある個体が多い上にそもそも怪我などを恐れないのがゾンビの強みでもある。感染に成功したところですぐに飛行不可能な怪我を負う個体が殆どなようで。制空権を楽に取れたのも頷けた。


マザーと子蜘蛛の共同技。

「スカイネット」で糸を網のようにして上空から落としていく。


巨人は調査した際に発見した地下にいるようで散弾吐きが奴の存在を感知。


ルネーはもうわかっていたようでネフィリムの潜んでいるポイント。街のボーイスカウトが使っていたであろう施設。そこに歩いて行き建物の壁を破壊。俺はオルトロスの炎の息吹で付近に灯りを少し付けておく。


施設にルネーが入っていく、中も当然真っ暗だ。


彼女は何か目のスキルを会得していそうだった。彼女のスキルの全ては知らないが、明るくとも暗くともまるで意に介さないで行動する。自分も夜目は霊気を込めれば効くのだが、彼女はそれというよりはスキルを持っていそうに思えた。


そんな魔女が板張りの床をバリバリと引っぺがす。中には噂の化け物が潜んでいそうな地下へと続く穴と階段。下へ降りると地下室の扉が見えた。


ルネーが杖を両手で持って胸の前に持つ。


集中状態に。杖の先端に霊気がびちびちと振動しながら溜まっていく、霊気の塊から雫が落ち始めた。集まった霊気そのものがグニャグニャと不規則に素早く動く歪な水の球になっていった。


杖を扉へ向け水球にトリガーを引くように発射の信号を送ったのが分かった。奥にある重そうな扉を杖の先端で浮かんでいた水球が吹き飛ばす。


部屋の中に不気味な巨人。顔にいくつもの傷が走っている。


こいつがネフィリム……

なんというか。


なるほど、全く確かにこれは不気味な奴だった。頭の配線が全く違う奴と相対してるような印象。


そんなことを考えている間に____


奴の体勢が僅かに低くなった。

動いた! こちらに突進してくる!


飛びのいて回避。


ルネーは慣れた様子で箒に乗り、宙から強力な炎を発生させるアイテムを投擲。あれか、魔女のモロトフ。巨人ごと周囲が炎に包まれる。さらに間を与えず杖から雷を放つ。


続くように、道に控えていたゾウよりも巨大な熊の怪獣が口を開いた瞬間。一瞬周囲が真昼のように明るくなった。

口の中から光の奔流のような大威力の霊気の砲撃。


ネフィリムは無表情のままその光線をまともに被弾。胴体が貫通した。背中から迸るビームが突き抜けそして爆発するように霧散。


忍者の如く動くヒト型エイリアンが陰から飛び出し大剣を召喚。ネフィリムの首を神速で落としにかかる。ネフィリムは腕で首を守り、その腕が血飛沫と共に宙を舞った。


魔女は長大な霊気を宿す光の矢をヤツに向けている。


「これで終わりだから、ちゃんと成仏してよね!」


怪獣の光線にも劣らないほどの大威力の光が巨人めがけて放たれた。


矢がネフィリムの頭部に突き刺さるがそれをやつは残った左手で掴んでいる。掴んだ手が焼け落ちるが、矢も消失した。


ちょっと浅いか? 


巨人が膝をつく。


俺も助太刀したほうがいいかもしれない。そう思った時だった。


背後から異様な気配。心臓が大きく鳴っている気がした。


緊張しながらばっと振り返ると大きな人間の影が遠くに見えた。暗くて良く見えないと言っても、あれらが何かは分かった。


巨大な人影が4つ……


すぐそこで膝をついている巨人と瓜二つの不気味な巨人が4体。ずっと向こう、寂れた街の車道に立っていた。距離は数百mあるが先ほど俺がオルトロスで作った街灯代わりの炎でよく見える。不釣り合いなほど大きな黒目でやつらは俺を見ていた。


右耳だけ少しざわっとしたような鳥肌が立った。


嫌な予感…


今日までの自分の快進撃と気が緩んだ数日が走馬灯のように脳裏を駆け回る… 目の前のこの巨人一体だけ速く始末して逃げたほうがいい!


ネフィリムにマザーが榴弾を放つ、俺も霊気崩壊の槍でヤツに止めを刺しにいく。


一瞬でさっきまで向こう側にいた増援の巨人が俺の槍の前に割り込んできた。自分の腕を犠牲にしながら手負いの巨人を守った。


しかもこの巨人コイツ俺の槍をつかんで離さない!



傀儡達を襲い掛からせる、背後でルネーとその使い魔たちが他の三体と戦闘に入った気配が伝わってきた。


槍を無理やり引き戻そうとしたときに槍が壊れた。


(……そうだ、槍の修理も適当にしかやっていなかった。)


平和ボケしていたか? 


仕方なく腰に差していたショートソードを抜く、本来よりも傀儡操作に専念するような戦闘スタイルに切り替える。

呼吸を一つ置くように溜息を吐く、意識を研ぎ澄ませる。


全くこれはヤバいことになった。


嫌な直感が働く、別に戦力差は決定的じゃない。逃げられるどころか、勝機すらあるとは思う…


だが、何か嫌な予感がする。



もしかして…


俺、負けるんじゃないか?




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