表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
4章 Witchery  魔女と湖畔の街と革命の鐘
33/53

4話


校庭でゾンビを掃討した後は校舎に戻って

学校の応接室を寝床にした。


早めに就寝して太陽が顔を出す前には活動を開始する。

夜明けを待って街の偵察に。

イーヴィーとルーシーの生き残りの二人は校舎で休ませておく。


夜に街を偵察していたミネルヴァから送られてきた情報と

これまでの観察結果から分かって来たことは…

ゾンビは夜は活発では無いという事。

昼間も活発と言うほどではないが、

どちらかと言うと夜の方が大人しい。

基本的にはゾンビ化していない獲物を

見つける等しない限りは日陰や涼しい場所を好んでただ大人しくして居る。


ゾンビが夜行性なのかとか感挙げた事も無かったけれど。

頭に入れておいていい情報かも。


後はゾンビの基本的なこの街での徘徊ルートと

どの障害物がゾンビの徘徊ルートに影響を与えているか。

ここらへんの事が知りたいし、ミネルヴァと共に情報収集に徹する。


まずはミネルヴァを上空へ飛ばし、朝の街の様子とゾンビの群れの位置の把握。

続いてミネルヴァに囮になってもらいゾンビの反応の確認。


ゾンビは乗り越えなければいけない物や、

梯子などは避ける場合が多いことが分かった。

ゾンビ化していない梟に反応しても人間などに比べると強く反応しない。

私が囮になっても梯子や塀などを登ることには消極的だった。

扇動個体に命令されなければそこまで必死にならない?


他にもいくつか。例えば水辺にはあまり近づかないとか。

水が弱点というわけでもなさそうだけど

湖に入っていく個体はいない。理由は不明。


あとは人間や動物だけではなく、エイリアンもゾンビがいる。

エイリアンのゾンビは明らかに人のそれよりも強い。

あのエイリアンドッグと何か近い感じのヒト型エイリアンがいるのを見た。


ゾンビ同士は争わない事。

距離が近いゾンビ以外の生物には

基本的に襲い掛かろうとするが仲間割れはしないようだ。


噛まれると一定の確率でゾンビ化すること。

ゾンビが食べている死体は動き出さないし、ゾンビ化もしない。


ゾンビ自体はは死んでいるように見えるけど生きてる間に

噛まないとゾンビにはならないようだった。

あとは脳が破壊されると死ぬこと。

心臓を破壊してみても動き続けた個体がいたので、

頭を狙ったほうが良さそうだ。


扇動個体がいること。校舎を襲いに来た群れの中にも2体これがいた。

今この街にいる百体くらいの群れの中に1体紛れているのを発見。

扇動個体は目をキョロキョロとよく使って周りを他のゾンビより見て

群れにうめき声で指示をだす。


感知能力は高くない。

ただし増援を呼ぶ声には敏感に反応する扇動個体もいた。

扇動個体じゃなくても耳がいい個体が何かを扇動個体に伝えているような場面もあった。


扇動個体の耳が腐ってたり、損壊している時もあるから?

号令が出されると遠くからでも増援に来ようとするようだった。


街の学校付近はわりとゾンビが普段から徘徊していないエリアだったはず。

乗り越えなければいけない障害物の位置でわかる。


しかし今はゾンビが多い。

昨日から学校付近にゾンビが行動範囲を広げているのだ。

扇動ゾンビが指示しているのかもしれない。


この扇動個体のボスがきっといる。ゾンビリーダーのような奴が…

扇動個体の受け持ちは百体ほど。


こいつら扇動個体のボスは何処にいるのか知りたい。

それを倒してどうなるのかは分からないけど。

少なくとも連携は取らなくなるんじゃないかと思ったからだ。


この学校も、既に安全じゃなくなって来ている。

あの二人のこともあるし移動したほうがいいかも知れない。


ゾンビがいないエリアというのはある。

街のはずれから一キロもないくらいの所を見つけた。

農場の家があった。そこがいいかもしれない。フェンスだってあるし。

ゾンビが徘徊してるところからは大分離れている。

近づいてきた個体だけ始末していけば

今よりは…


校舎に戻りぼうっとしながら屋上から街を見下ろす。


どんよりとした曇り空で、陽は出ているのに空き家と蠢く死体の街は暗く見える。

まるで自分の心の中を現しているように陰鬱な景色だった。


思念が送られて来た。

ミネルヴァがなにか感知。

魔鳥が一気に高度を上げてから再度地上を映す。


視界が2つ重なって見える、自分の肉眼で見ている

視界の裏にある鳥の視界を前に持ってくるように入れ替える。


そして鳥の視点から見えた景色は……

ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。

おびただしい数の人間やエイリアンドッグや動物の死体の群れ。


それを形容するなら亡者の海だった。

学校方面の牧場近くの大通りから街に入ってきている。




数は……


1万以上?



使い魔と共有している目に映っている現実にめまいを覚えた。

意識が一瞬遠のきそうになるが、強めに息を吐きだして姿勢を正す。


「最悪だ、どうしよう……」


「え、何? どうしたの?」


呟いた時、屋上にいたルーシーとイーヴィーが話しかけてきた。


「この街から急いで出たほうがいいかもしれない。」


どうする。いい考えが浮かばない。

亡者の海は学校に近づいて来ている。


やはりゾンビを操ってるやつがいるんだ、

ゾンビマザーとか言うのがいたりするんじゃないの。


いや、馬鹿なこと言ってないでどうすべきか考えないと。 

思わず心中で悪態をつく。


昨日大きな被害があったことを理解して違う街から増援を呼んだ?

もしくは送り付けてきた?


この亡者の群れはどこからきた? 

この街じゃない。外から来ている。


ペアマウントシティの…

湖を囲むようにある街、ペアマウント自身は山に囲まれている。

湖北、もしくは東の区画かもしれない。


ゾンビ軍はあれで全てだろうか?

増援って違う街からでも呼べたの? そんなに遠くからでも。


私一人なら、空を飛んででも、何なら走ってでも逃げられる…

2人のほうを見る。役立たずの二人だ。別に嫌いではないけど。


この二人は逃げられるのかっていうと…

無理だ。足が遅すぎる。私が抱えて走ったら? いけるかもしれない。

多分2人抱えて走ってもゾンビより速く走れる。

どのくらい出せるだろう、二人抱えて時速4、50キロくらい?


ただゾンビ犬はまだしも

イヌ型エイリアンからは逃げ切れる気がしない。


オスカーは?

遅いわけではないけど私より足が遅い。

ミネルヴァは問題ない。


今のうちに気づかれないように二人を担いで逃げ出せば。

あのゾンビの軍団にこれから占拠されるであろうこの街

から無事に脱出できるかも。


少なくとも学校内にいて追い詰められるより良い。

あんな数相手に籠城なんて出来ない。想像しただけでお腹が痛くなる。


速く出よう、簡単に事情を説明して二人を肩に担ぐ。

隠密モードを起動しても気配を殺せない人間二人を担いでる時点であまり意味がない。

それでも一応やっておく。


校内にあったモップで箒乗りの練習を今朝のうちにしていたけど。

二人を乗せて飛ぶのは魔力消費が担いで走るより多くなる。

敵と遭遇しないよう、細心の注意を払い

街のはずれに向かうと。


____霧


いつの間にか濃霧に囲まれている。

最悪だ、こんな時に!


町周辺はもともと霧が無かったから入ったのに、

出たいときには霧が邪魔で出られない! 

霧から離れるために来たのに逆に霧が街から離れさせてくれないなんて。

苛立ちが最高潮に達しようとしていた。


ミネルヴァを飛ばし少しでもマシなルートを探す。

少数のゾンビでも見つかって増援を呼ばれだしたらまずい。


針の穴に糸を通すような気分で細い道を行ったり来たり。

まだ午後1時を過ぎたばかり。

そして道で死体のように寝ころがっていたゾンビを見落としてしまう。



増援を呼ばれる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ