14話 空からの贈り物 大樹人討伐
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KATO こと JOHN・SMITH
仙人 傀儡師
勢力:ANKH ‐当主 【傀儡師】【傀儡卿】【魔狼の主】
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ーー領主レベル上昇3→4
ーー技能取得可能。以下の中から2つ。
・生命の水
・死体保全
・警報装置
・自爆人形
「自爆人形」と「生命の水」を取得。
自爆人形は文字通り。作った傀儡を自爆人形に変えられる。
ただし敵陣で傀儡化してそのまま爆弾に変える等は出来ない。
領内で多少の時間と霊気、LMPを消費して自爆人形に作り替える必要がある。
自走傀儡以外の傀儡は俺のスロットから外して放置し続けると劣化していく。
メンテナンスをやっていればマシにはなるけれどLMPも必要だ。
だからこういうオプションがあるのは素直に嬉しい。
生命の水は栄養満点の謎水。
栄養満点のほかに腹持ちも良くて回復効果(小)も有り。
人間も魔物もエイリアンも食べ物がなければ生きていけない。
LMPで多少まかなえると言っても完全にではない。
ここら辺の問題も仲間が増えれば向き合わなくてはいけなくなる。
そのうち牧場とか作らないといけなくなるかもしれない。
白狼は名前がないので何かつけよう。
ハクロウ…
でもメスのようだし。
ハクでいいか。
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ハク
狼魔獣 【群狼の頭目】 レベル6→7
相性 A
技能:「連合形成」「リーダー」「瞬発強化」
「魔獣の咆哮」「雷撃」
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連合形成は他の魔獣と群れを組んだりするのに+補正。
このアビリティであの黒い狼やカラスやらと群れを形成してたんだろう。
魔獣の咆哮は格下の相手を怯ませたり、恐慌状態にできる。格下になるほど複数を対象に効く。
ーー新技能取得可能。
以下の中から選んでください。
・速度強化
・サンダーファング
・ライトニングー雷落とし
サンダーファングは噛みつきながら相手に電撃を流し込む技
ライトニングは雷のような雷撃を上空から相手に落とす。
天候次第で自然の雷を誘導でき大ダメージを相手に与えられる。
前者が省エネで後者が大技ぽい感じだった。
ライトニングで。
ーーライトニングを取得。
その後はハクを傀儡化しようか迷っていたら
全力で拒否するような反応が返って来たので止めた。
そりゃそうかも知れない。マザーは昆虫だからなのか特に嫌がらなかったけど。
嫌なのが普通か。
狼系や鳥系の配下ができたことで見回りが恐ろしく楽になった。
領土もかなり拡大出来たので果樹園をもっと作る。
殆どの仙桃は今回のwolfpacsの治療で使ってしまっていた。
もう数か月もすれば収穫量は倍になるはずだが、仙桃の成長には
土地からの霊気の供給が必要不可欠。
場合によっては他の物を優先させなければいけないけれど。
仙桃の優先順位はかなり高い。
新しく編入した旧群狼領土。
ゴルフ場周辺を一通り見て回った。
その後はハク達と共にベジタリアンの領土へ偵察に。
樹人領を外から偵察しようとするが霧が邪魔をして上手くいかない。
領土内は胞子が充満していて気軽に侵入できない。
長居するなんてもってのほかだ。外は霧、中は胞子。
やみくもに入ることは出来ず。安全に外から観察するのもやりずらい…
頼みの隠形で好き勝手に偵察や侵入することは出来ない。
逆にこちらの領土に樹人たちが来た場合は遠距離からできるだけ
慎重に対処していく方針を固めている。
その甲斐あってか胞子の被害はほとんどない。
偵察らしき行動もあちらからは来ない。
ANKHとしては鳥獣軍団の加入によって
版図拡大に待ったを掛けていた問題。見回りと防衛要員不足が解決された。
そうなるともっと領土が欲しい。端的に言えばLMPが欲しい。
___翌日
ベジタリアン、樹人衆に動き。
樹人衆が旧wolfpacs領「ゴルフ場方面」に出現。侵攻。
しかしそれだけでは無かった。
樹人達はショッピングモール方面にも攻勢を仕掛けてきたのだ。
二正面作戦… 何でだ?
ANKHに漁夫の利されないように?
恐らく奴らはウルフパックスがANKHに併合されたことに気付いてない。
あれからまだ3日しか経ってないのだ。そうだ。
偵察能力に関してはこの3勢力の中でも樹人衆は一番
低いんだ。偵察する術自体を持っているのすら疑わしい。
**奴らは群狼の縄張りだと思い込んでいるゴルフ場に30体以上の樹人を投入。
今までとは比較にならない規模での攻勢。ANKH領への攻勢は数体の小規模なものだった。
ゴルフ場方面はANKHの面々で迎え撃つ。
迎撃していて思うのはやはり相性が悪い。
ウルフパックスよりはましだが。
爆弾卵などのアイテムを相当数使わざる終えなかった。
苦労してなんとか撃退。
マザーの粘着榴弾や二頭狼の火炎ブレス、SGの強化対物ライフル弾。
あとはハクの雷撃と俺の霊気の性質変化で霊気崩壊性質の霊気を槍に込めダメージを与えていく。
ていうのが今のところ奴らには有効な攻撃。
逆にそれ以外であまり有効な攻撃はない。
樹人を傀儡化しても、守りは強いが仲間に致命傷を与えるような攻撃方法を持っていない。
正直時間がかかるだけで意味がなかった。
今の所まともに戦えてるのは俺とマザー。
次にオルトロスとハク。
マザーは属性卵生産で、爆弾卵を産める。
ただし時間コストが子蜘蛛と同じなので、
卵一個につき子蜘蛛一匹と交換になってしまう。
マザーは季節ごとに卵を産めるが…かなり貴重だ。
産んだ卵は途中から俺が改造でアイテム化できる。
今回の防衛戦で爆弾卵を15個も使ってしまった。
仙桃の数が心許ない今は樹人の胞子に侵されたくない。
この卵だって産むたびにLMPを使っている。
飲食に、傀儡に、卵に、桃となんでもコストがのしかかる。
桃は次の収穫までまだ1月以上。
ベジタリアンは次なる大攻勢の準備を整えようとしているだろう。
今回で行けると思っていただろうし、撃退されて驚いただろう。
占領出来ると確信して送って来たのか、少なくとも狼たちの土地は出来ると踏んでいたはず。
驚くという感情を奴らが持っていればの話。
_____6日後
夜。風が強い日。
漸くこちらの準備が整った…
マザー 宇宙蜘蛛師団司令から全子蜘蛛兵に号令。
SAS開始。
夜襲が始まる。
「VEGETALIEN領 本拠 RLFK自然保護区」
午後11:07分
皮肉にも人類文明が滅びてから
入れ替わるように美しくなった空。昔では写真かPCの壁紙でしか見ることのなかったような
透き通る空が夜には宇宙の壁紙のような星空を見せてくれる。
その星空から何かが降ってくる。
無論それは星ではなく。以前の地球では存在していなかったエイリアン蜘蛛達。
それらが蜘蛛の糸で作られた凧のようなもので飛行している。
落下傘部隊のように子蜘蛛兵たちが蜘蛛のウェブを器用に使って空から降下。
子蜘蛛兵は皆何かを抱えていてそれを地上に落としていく。
!!!!
耳をつんざくような轟音と大爆発。
大気が、大地が揺れた。
巨大な樹人の周りにいた樹人たちが一斉に吹き飛んだ。
大樹人のボスも次々と爆発物が降り注ぎたちまち燃え上がり
ダメージを負う。
混乱の最中。巨大な樹人のボスは空を見上げた。
大きな人間位のサイズの爆弾だった。蜘蛛のエイリアンたちが空から落としているものは…
それはよくよく見れば
自らの配下の樹人達であった。
より正確に言えば樹人の亡骸。
空から贈られてきている爆弾は
全て自分たちが送り込んでいた配下が爆弾に変えられたもの。
----John・Smith
俺は遠目で敵のボスの様子を見ていた。
大樹のヒト型エイリアン。顔の部分がハッキリとしていないから表情は分からないが
呆然としている様な気がした。
偵察能力がほぼ無かったのなら、前回襲った時も狼達でなくてANKHが撃退したことすら
分かっていないのかも。
基本的に樹人衆の戦争スタイルは全兵士が
敵領内で胞子を撒き続ける。という帰還しないことを前提としている捨てゴマ戦術なのだ。
今回だって仲間になった群狼の面々はあまり連れてきていない。胞子に侵されてほしくないから。
今も敵は俺たちが連携していることすら気づいていないのかも知れなかった。
最初は相性が悪いと思ったが…
自爆人形傀儡で相性が逆転した。
送り込まれた樹人たちは俺が傀儡化して全て自爆人形に変えた。
お前らが月に10-18体の配下を送り込んでくるなら俺はその数の分だけ爆弾を得る。
樹人の軍団はどうやってたか最初はわからなかったが、
かなりのスピードで配下が補充されていた。
胞子に浸食された野良のヒト型エイリアンの浸食進行度が末期になると樹人化した。
途中からカラクリがだんだんわかって来ていた。
胞子を撒く狙いは弱体化だけではなかった。
胞子に浸食され末期になると半月ほどで見た目は樹人と同じになるが
実は防御力が完全な樹人の半分以下しかない個体になる。
苗木とでも呼ぼうか、それとも半樹人。
そんな実は防御が薄い個体が奴らの中に混ざり始めていたことに最近気づいた。
その後偵察の結果量産ペースも把握。
ベジタリアンは月に20ほどしか仲間を増やせてない。
そのうちのほとんどをankhとwolfpacsに送り込んでいたようだ。
最近は30体からもっと増えていたので
北のほうの領土が結構拡大しているんじゃないかと思って偵察したかったが。
こちらに送り込んできてた樹人たちの多くは半樹人ではなかった。
まぁバレたくないし、早々に倒されてたら胞子を撒けないし。
苗木人を送るのは選択肢の中には無かっただろう。
ということは今こいつらの領土内にいる構成員の多くが
実は防御力が半分ほどの半樹人になっているはずで…
もしそうならばいま奴らは思った以上に守りが薄いのだ。
そして実際にその読みは当たっていた。
まぁ、能書きはいい。
そのまま樹人のボスに散々送られてきた爆弾を返す。
ーお前ら、今まで散々我慢して来ただろ。借りを思い切り返してやれ。
配下と傀儡達に号令をかける。
ボスを助けに入ろうとする樹人たちはオルトロスの強化衝撃波ブレスで
吹き飛ばしていく。倒せなくとも転がしてやれば十分。
またSGの散弾連射でそれをサポートしていく。
子蜘蛛たちは爆弾を投下次第さっさとまた飛ばせて領内に帰還させる。
胞子が充満している環境にいないでいい。
選抜した面子でボスを囲む。
大樹の体をした大型エイリアンはすでに体躯の半分が
爆弾で焼かれ、赤く明滅していた。
マザーが粘着榴弾を。ハクが雷を呼び、頭上から雷撃を。
二頭狼が強化炎の息吹を。
入念に霊気崩壊性質霊気を込めた魔槍を
巨大な樹人の化け物に投げ。撃ち込む。
鈍く乾いた衝撃音と共に巨躯に大きなヒビが入った。
大きな洞穴で風がうなっているような絶叫。
最後の咆哮とともに
凶悪な戦略でANKHと群狼2つの勢力を苦しめた樹人達のボスが
地面に膝を着いた。
ーー敵対勢力リーダー降伏
降伏を受け入れますか?
「受け入れる。」
ーー「ANKH」が「VEGETALIEN」に勝利。戦争終結。




