13話
_____州都 北東エリア ANKH領 西方
見回りをしている最中。
領土外の魔物たちの動きが騒がしくなったのを感知。
様子を見に向かう。何かが起こっている。
騒ぎの原因はすぐに見つかった。
「ベジタリアン」と「WolfPacs」が西側ゴルフ場で衝突。
どうやら狼たちはゴルフ場周辺に縄張りを移していた様だった。
予想以上に群狼の支配地域が大きくなっていた。構成員の狼やイヌ型の魔物の数も増えている。
同数以上のイヌ型エイリアンに更には魔獣ではなく
オオカミ型エイリアンまでも従えていた。
イヌ型エイリアンではなくてオオカミ型エイリアンの増加。
そしてこのスピードでの領土拡大。敵ながらやる。
群狼の変化はそれだけにとどまらず、百を超える数の鳥系魔獣が
ウルフパックスに加わっている。特にカラスが多い。
互いに連携を取りつつ樹人たちを撃退していた。
隠形で近づき観察。
(狼魔獣少なくとも22。
イヌ型30、オオカミ型エイリアン18。)
対する樹人たちは10もいない。
相変わらず胞子を撒くための小規模攻勢。
やられても構わないから、領土の中心地でできるだけ胞子を蔓延させる気だ。
そして目論見通りにカラス達の一部が胞子に侵された。
10体くらい、わずかに動きがオカシイ。
狼やイヌも数体怪しいのがいる。
ウルフパックスにとってもベジタリアンは
相性が悪い相手なのは間違い無かった。
実際に見て理解した。ANKHよりもずっと相性が悪い。
いずれ拙いことになるだろう。
狼たちが樹人の襲撃を撃退している間。
群狼の新領土を偵察。
狼を見なくなってまだ3週間も経っていなかったが驚くほど
領土を拡大していた。
ANKHの2倍近くある。守り切れるのだろうか?
いや、元々ああいう狼などの生き物の縄張りの広さからすれば
むしろ狭すぎるくらいなのかも。
結局時間はかかったが狼達も樹人を撃退した。
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wolfpacs 領土面積 4・92㎢ LP 3800
vegetarian 領土面積 2・15㎢ 2500
ankh 領土面積 2・64㎢ 2100
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今回観察していて判明したのは
群狼のリーダーは他の個体より目立って大きい。
黒い狼と白い狼の2体だった事。
どちらか一方の可能性もあるが直観的に2頭ともが当主なのだと悟った。
ウルフパックスもベジタリアンも領土の周りには濃霧が立ち込めており
樹人も狼たちも霧の危険性を認識しているようで近づかない事も
確認できた。敵もこの悩みは同じらしい。
___数日後。
樹人の軍団が動いた。
ベジタリアンは湖の本拠地から北上。
一気に攻勢をかけて北東方面の住宅街と北の自然保護区の大部分を領土化。
その方面はたいした勢力はいなかった。得られるランドパワーは多ければ多いほど良い。
これで領土面積は凡そ
vegetarian 領土面積 6・3㎢ LP 5300
wolfpacs 領土面積 4・92㎢ LP 4100
ankh 領土面積 2.91㎢ LP 2600
ここにきてベジタリアンたちが落ち着くかと思いきや一気に活発に。
やつらの兵士数が増している。おそらく樹人130体以上。
こちらは俺とSGたちと傀儡20体ほどとマザーに子蜘蛛が30体ほど。
総勢50数体。
あちらが数で優っている上に相性も悪い……
それから数日は目立った動きはどこもなかった。
2つの勢力も領土を拡大したばかり。
大きな戦いはしばらく無いかと思われた時だった。
___日没の少し前
wolfpacsが動いた。
これ以上ベジタリアンたちの進行を許したくないのか
もう受け手に回りたくないWolfpacsがついに一大攻勢を仕掛けたのだった。
狼や獣系エイリアンにカラスの大群が
樹人の縄張りである湖になだれ込む。
wolfpacsは俺たちの方面にも偵察をかけてきていたが
あちらへの攻勢を優先したみたいだ。
最初は群狼が敵領土を蹂躙しているかのように見えた。
しかし狼たちが樹人のボスらしき個体を相手にしだしてから
形勢が変わり始める…
大樹とヒト型エイリアンが融合したような生物。
体躯は規格外。
巨大な広葉樹がヒトの形をとって悠然と敵を迎え撃っていた。
大きさは優に20Mを超えている。恐らくVEGETALIENのリーダー。
狼たちの攻撃を全く意に介していない。この大樹人に物理攻撃はそうそう通らないだろう。
狼には火のブレスを吐く個体もいたがまるで効いていない。
その上樹人たちの縄張りにある木々や草花から胞子が大量に撒かれだした。
胞子は今までの比ではないほど充満している。
だが速く決着をつけたくとも大樹人の守りはあまりに堅い。
……あれを相手にするのは骨が折れそうだ。
しばらく狼やカラス、犬たちが懸命に攻撃するものの。
20体以上の仲間を失った時点で
wolfpacsが戦意喪失。
まず勝てないと踏んで撤退を始める。
ベジタリアンたちがそのままの勢いで押し返して
この戦いは幕引きとなった。
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その後。
撃退された上wolfpacsは構成員が
胞子に侵される事態に陥りつつも
さらに領土拡大を続けた。
しかしベジタリアンがwolfpacsに対し
小規模な襲撃を毎日のように仕掛け始めた。
wolfpacsは襲撃への対応に困り領土拡大を停止。
胞子の浸食が進行し、構成員大量弱体化によって勢力としては完全に勢いを失う。
一方ANKH。
人員不足が深刻でこれ以上の領土拡大が出来ないでいた。
こちらも積極的に動くのは得策じゃない。
そんな折
wolfpacsのリーダー格らしき白い狼が何匹かの狼と烏をつれて
ankh領土ショッピングモール付近に現れた。
少数でじっと交差点の辺りで休んでいる。
こちらが出てくるのを待っているようだった。
俺は多数の配下と共に出向き白い狼と相対した。
白い狼は俺を見て体勢を頻繁に変える。何かを訴えているようだった。
戦いに来たわけじゃないことを示したいのかもしれないがそれ以外に
何が言いたいのか分からない。
困っていると
白い鳩が前にでてきて礼をとる。
なんだ? この鳩。体の動かし方が気取っている。
鳩胸を張りながらジャスチャーをし始める。
何かの許可を取ろうとしているようだ…
「よくわからんがOKだ。」
と言葉にして言ってみる。
すると白い鳩が声を出し始める。
KRRUUKURRUKU
音と共に思念のようなものが構築され俺の頭に送られてきた。
映像、思念。
いろんなイメージが伝わって来る… この鳩は通訳か。
wolfpacsはかなり詰んでいるようだった。
そうか、黒い狼と2匹でやって来て。
黒いほうは胞子に侵されて弱体化していると。
このままでは敗北は必至…
絶体絶命な状況。
それで俺たちと組みたいと思っていたがどうかという話か。
組む理由がこちらとしてはあまりないと伝える。
あちらは深刻な雰囲気になる。
白い狼が聞きたいことがあるみたいだ。鳩が再度仲介して思念を構築。
『……なぜあの胞子に殆どやられてないのか。』
いい質問だった。
答えは仙桃だった。
新スキルで開発した果樹園で栽培している仙桃は胞子の病を回復できた。
この情報を伝えるべきかどうか。
いや、その前に。
こちらから質問する。
もしも胞子の病を克服するスキルをこちらが持っているなら
wolfpacsはこちらに恭順するのか否か。
あちらは固まっていた…
考える時間が欲しいらしい。
「どうぞ」
と言葉にする。一度狼達は帰っていった。
その日の夜。ちょうど満月の夜。
白い狼が数十の仲間と病に侵された黒い狼を連れてもう一度きた。
俺、もしくはこちらの幹部と白い狼で決闘して欲しいらしい。
もし俺が勝てば恭順して忠誠を約束する。
もし白いのが勝てば回復を施してほしいと。ANKHはウルフパックスに恭順はしなくてもいい。
なるほどな。
了解をだした。
白い狼は俺が相手をする。
戦いはすぐには決着はつかなかったが内容はこちらが優勢だった。
相手もすぐに勝ち目がないと理解していたようだ。
白い狼が降参する。
決闘はANKHの勝利。
WOLFPACSがANKHに併合された日となった。
Wolfpacsの面々を仙桃で回復させてやる。一つの仙桃を分けて与えていく。
仙桃の数には限りがあり、全て気前よく放出するなんて出来ることではない。
黒い狼は礼を伝えてきたがやり切れないような雰囲気だった。
次の日黒いのが謝罪の思念を伝えてきた。
どうしても恭順出来ないらしい。
白いのと残りの連中は恭順を選ぶといった。
黒いほうは気まずそうにしている。
思い詰めているようだ。殺されると思っているのかもしれない。
俺はこの獣を処刑したくない。
悩む…
一度だけチャンスをやるといった。
「ここから遠く離れたところに行け
そして俺たちと未来において敵対しないこと。さらにお前の霊気の大部分を吸い取らせろ
それを条件に開放してもいい。何かやりたいことがあるんだろ?」
「あと出来れば恩を感じて、いつか未来において協力してくれ。」
黒いのは条件を飲んで次の日に出ていった。
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Wolfpacs総勢
狼魔獣15匹
オオカミ型エイリアン 13匹
イヌ型エイリアン 23匹
鳥系魔獣 62匹
がankh勢力に組み込まれました。
ANKH 領土面積 9・87㎢ LP 4500
VEGETALIEN 領土面積 8・75㎢ LP 6520
領主レベルが上がりました。
卿の称号を取得しました。
「傀儡卿」
称号「魔狼の主」取得しました。
vegetalien 領土面積 6・3㎢ LP 5300
wolfpacs 領土面積 4・92㎢ LP 4100
ankh 領土面積 2.91㎢ LP 2600
→
ANKH 領土面積 9・87㎢ LP 4500
VEGETALIEN 領土面積 8・75㎢ LP 6520




