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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
3章 異界衝突 新世界戦争
18/53

5話




ANKH(アンク)を包んでいた霊気が振動を始めた。

空気が揺れる、耳鳴りがする。


雲がゴロゴロと鳴る音。

部屋が暗くなり窓の外を見ると暗雲に濃霧。

少し先も見えなくなっていた。


銀色のANKHが振動しながら変化。

形は残したままだんだんと霊気のエネルギー体のように。

振動が一層強まった時ひとりでに胸の中に入って来た。

自身の身体にエネルギー体が吸い込まれてしまった…

驚いて一瞬体が固まる。


おぉ… 大丈夫なのか? 胃袋に異常は無い。

異物が体内にある感じは無く。熱を帯びた霊気の塊が有る感覚。

例えるなら数秒ほどホッカイロを体内に入れられたようだった。

しかし、それよりも全身が振動の余韻でフラフラする。


呆けた後、自然と壁に寄りかかると再び窓に目がいった。

ふと意識が霧の向こうへ向く。

「何だ?」 


窓際まで行き目を凝らす。

アパートの周りの霊気がざわついている。

視界が悪い…… かろうじて何かが霧の中から出てきたのが見えた。

蜘蛛。良く見知った姿のモンスターだった。


霧の中から数体の蜘蛛が現れた。アイツだ、アイツに似ている。

あの立体駐車場にいた巨大蜘蛛を小さくしたような魔物。

奴の子供か?


何故かすでに死にかけという具合の子蜘蛛も…

何かと戦っていたのかも知れない。

子蜘蛛といっても、それでもサイズは犬程度はある。

それらがアパート前に待機させておいた傀儡達に襲い掛かり始めた。

即回避させる。


家に帰ってきても。

結局直ぐ戦闘か。


気持ちを切り替えて、新しい戦闘服姿でベランダから飛び降りる。

隠形で姿を消し、傀儡達と一定の距離を保ちながら

子蜘蛛の中から隙がとれた個体と瀕死に近い個体から

致命の一撃を与えていく。

途中、子蜘蛛が溶解糸を吐きだし始めて散弾吐きが少し損傷。

盾持ちに受けさせてカバーに回らせる。


数分で子蜘蛛6匹を始末。

何かを探しているようなそぶりだったが。


丁度最後の一匹を倒した所で

イメージが浮かんできた。


==幻視

ANKH 土地領有可能。


アンクで?

熱い! 右の手の平から前腕にかけて

またホッカイロが体内にあるような熱さ。

右手を見ると発光しながらANKHがすっと出てきた。


手に握ると視界に変化。

土地、アパート周辺に線が浮かび上がる。

国境線、いや領土線? 何となくそう思った。


ここ領有したら簡単に動かせないとか動けなくなるとか無いだろうな。

不安に思いそのまま霧の中を進んでいき線がどうなるか観察。


霧の中の土地は領有できないようだった。

もっと進んでみると霧が晴れたところがあってそこは可能。

……これは場所を選んだほうが良い。


考えなしに領土を選ぶのはやめておく。

保留にして他を探そう。

念じるとANKHが体の中に戻る。

良かったよ、戻ってくれて。


とりあえずアパートに戻ろうとした時、何か冷たいものが

体を走ったような感じがした。


目の前の霧の中に妙な霊気の動きを感じた。

前から感じていた違和感…

この気配初めてじゃない。前から霧の中感じていた。

なんか碌でもないものだってことはわかる。


胃が痛くなってきた。

霧の中に何かいる…


霧の中を見ようとすると悪寒が走る。

そのとき目の前を何かが横切った。

黒い影、ヒトくらいの背丈。


家に戻ろうとするとそっちの方向の霧がさらに濃くなっている。

そのナニカは複数いるかもしれなかった。

この霧の中のナニカに気づかれてはならない。

近づいてはならない。


なんとなくそんな気がした。

脳裏にイメージが浮かんできた。


==幻視

黒く塗りつぶされたヒトのような形のもの。

真っ黒な人のシルエットが霧の中を不自然なリズムで歩いていた。



傀儡達をできる限り音を立てさせずに動かしていく。

ゆっくりだ。

前に初めてヒト型と遭遇した時のことを思いだす。

あの時もこんな感じだった…


あ、シルエットが違うんだ、姿勢も違う。ヒト型エイリアンは猫背。

あの時霧の中で最初に見たのはヒト型じゃない。

傷ついた人型、陸竜、さっきの瀕死の子蜘蛛…

点と点が繋がった。奴ら皆、この霧の中の者に襲われたんだ…


ゆっくり霧から出れそうなほうへ自分の直観を頼りに進んでいく。

アパートに戻れなくとも別にいい。兎に角霧の薄い場所へ…


どのくらい時間が経ったのか。

5分かも知れないし20分かも知れなかった。

時間間隔が麻痺している気がする。

アパートから大分離れたはず。

少しだが霧がマシになってきている。


散弾吐きが俺の左を見た。

そしてエイリアンは指を俺の左前に向けた。

多少ラグがあってから、そこから嫌な気配を感じ始めた。


感知能力か、あのペンデュラムの…

信頼していいだろう。


散弾吐きの指差した方から離れる。

そこからは傀儡の持つ感知するクリスタルを頼りに霧の中を進んでいった。

何も考えていなかった、ただ安全なルートを選んで霧の檻から抜け出そうと足を進め続けた。


すると漸く(ようやく)霧が大きく晴れている開けた場所に出た。

汗を拭い、今自身が何処にいるか確認すると。

何の因果か、目の前には……

あのショッピングモールがあった。



何かと縁がある場所だな。本当に。

施設の外周はちらほらと霧に包まれているが施設自体はだいぶましだ。

ただ、ここにはあの巨大蜘蛛がいる可能性。多少入るのに躊躇するな…

それでも行くしかない。


ショッピングモール立体駐車場入り口近づいた時、

ショットガンが立ち止まり強く反応を示した。何だ? 何を感知した?

俺の近くの霧にSGを操り散弾をぶっ放す。瞬間。

危険を察知してその場を飛びのく。


飛びのいた場所に霧。

やばい、霧の中に入ってしまった。

 

黒い人間のシルエットがいた…

俺に襲い掛かろうとする。

後方に飛びのきタンクに体を割り込ませて

黒い何かの攻撃を受けさせる。


もう一発SGが黒い人に散弾を放つ。たったの1秒にも満たない時間。

その間に槍に霊気をこれでもかと込める。


黒い存在は散弾を喰らいながらも、そのままSGに手を伸ばそうとした。

黒いやつの胴体に風穴を開けるつもりで槍を繰り出す。

妙な感触! ぐりゅんとした意味不明な感触だった。

恐ろしくなって即座にヤツの体内から槍を引く。


黒い霊気がやつの体から多少霧散するが、

効いてないのかそのままショットガンに掴みかかろうとする。

タンクが抑え込もうとするが体をうまく掴めない。

こいつは多分臓器や骨がない。人間のシルエットではあるが。

負の霊気の塊? 勘弁してくれ、何だよコイツは。


多分こいつの黒い霊気自体を霧散させ続けないと死なない。

さっきの一撃であれしか霧散しないのならこいつのタフさは尋常じゃない。

多分俺達では勝てない。


傀儡2体と一緒に何とか化け物をいなしながら霧の薄いほうへ。

そのまま施設の入り口近くに戻ると、ヤツの体が薄くなり始めた。

そのまま霧の濃いほうへ消えるように帰っていった。

霧の薄いところではあの体を維持できないのか……

もはや何もわからない、保留にしとておこう。

新しい世界は俺の理解の範疇を以前以上に超えてる。


立体駐車場中にも少し霧が漂っている箇所。

霧の中、さっきのモノと同じような気配を感じた。


さっきの存在がフラッシュバックし、思わず唾を飲み込む。

あんな化け物一体で一杯一杯だ……

タンクは掴まれたりしてたが。幸いに致命傷はなかった。


アレは膂力も凄まじかった。

盾持ちの掴まれた部位が結構損傷している。

霊的なダメージを特に与えられているようだ。

触られるのも避けたほうが良い感じか。


濃い霧が近くにないのを確認して

タンクの回復の呼吸を発動する。

盾持ち傀儡が回復モードに入る。

しばらく電池を充電するかのように休ませよう。

少しずつ損傷が治っていく。


もっと安全に休める場所を探そうと

施設内であの立体駐車場2階に入っていくと子蜘蛛たちが10体以上。

巨大蜘蛛は幸いと言うべきか居なかった。

駐車場の子蜘蛛をすべて倒す。


外を見れば霧が施設の外を囲むようにして覆っていた。

これ以上安全な場所もあるにはあるかもしれないけれど……

えり好みしすぎてても仕方ない。


駐車場エリアを領有することを決める。


領有宣言。

---小エリア ショッピングモール デパート方面西側立体駐車場平定確認。

---領有。


ANKHが右手から出現。白金色のANKHから霊気が溢れ輝きだす。


---開拓小領主の称号獲得


領主になったのと同時に成長の感覚。

傀儡達も。



種族 超人

仙人 レベル5 

開拓小領主 レベル1

固有技能 「8つの世界」

 技能:仙人の呼吸 傀儡師の左手 幻視 隠形 

    宝具作成 傀儡改造


取得可能 技能***************************


・傀儡スロット拡張

・純粋強化

・傀儡師の戦術


直観的に傀儡師の戦術が気になった。

迷わずとる。


---【傀儡師の戦術】取得


---固有アビリティ「8つの世界」が発動


---1の世界、5の世界、6の世界と8の世界が祝福



---特殊技能【三略】を取得


三略  ・ 30秒間キャパシティを超えた量の傀儡を使える「傀儡の群れ」UNLOCK

    ・ 傀儡の操作性上昇、傀儡同士の連携向上(領土内)。傀儡化コスト低下。「人形主」UNLOCK

    ・ 傀儡個体を使うほどその傀儡との相性が深化。「傀儡師習熟度」UNLOCK


言葉が出ない…

このスキル【三略】を取った瞬間から何かが自分の中で変わったのが分かった。

まだ少々困惑しているけれど後からその凄さを実感する感じの力な気がしている。

いやまぁ、すでに凄そうだけど。



==ヒト型エイリアン傀儡 散弾吐き、SG

習熟度 B  レベル4

技能: ・散弾 ・リーダー ・対物ライフル弾


---取得可能技


・射撃威力強化

・散弾連射

・小隊長


小隊長が気になる、というかこれ全部欲しいな。


---技能「小隊長」取得


小隊長は部下との連携がスムーズになるのと

俺のタンクに対しての傀儡化コストがさらに少なくなる。

リーダーのスキルを取った時と似ている効果。

因みに散弾吐きは部下を3体まで持てるみたいだ。


そうだ名前もつけよう。

散弾吐きやショットガンじゃちょっと適当過ぎるものな。

よしSGにしよう。今日からお前の名はSGだ。


傀儡名づけ完了。

傀儡SGに。


==ヒト型エイリアン傀儡 「SG(散弾吐き)」

習熟 B → B+ レベル4

技能: ・散弾 ・リーダー ・対物ライフル弾 ・小隊長(新!)



習熟がBからB+になると操作のしやすさが明確に感じ取れた。

何かを習熟して上達し始めたときに

道具をプロ御用達のものに買い替えた時のようなあの感じ。


続いて盾持ち。 


==ヒト型エイリアン傀儡 タンク

相性及び習熟度 C

技能: ・シールド強化 ・回復の呼吸


---取得可能技能


・シールドバッシュ

・ディフェンス強化

・アーマードタックル


どれも良さそうだ。どうしよう。

シールドバッシュで。基本を大事に。

シールド強化との相性もいいかもしれない。


---シールドバッシュ取得。


あと盾持ちも名前つけるか。

TMってなんか嫌だな。

フォートにするか。


==ヒト型エイリアン傀儡 「フォート(盾持ち)」

相性及び習熟度 C→C+

技 ・シールド強化 ・回復の呼吸 ・シールドバッシュ





さて領地は得たものの、これからどうするか。

もう日が落ちる。

あの巨大蜘蛛が来たらどうする?

俺もずいぶん強くなっているし、あの溶解糸にだけ気を付けていれば大丈夫だとは思うが。

それでも警戒するべきだろう。


陽が落ちた後はモール内には入りたくない。

やる事もないし、傀儡改造だけやっておこう。


散弾吐き、もといSGは特に改良点も無く終わった。

フォートは持ってるシールドを子蜘蛛の死骸を使って

蜘蛛の牙着きシールドに改造。

シールドバッシュがさらに強化された。

今更だが散弾吐きって呼び名に愛着が湧いて来てるな、と自分で気が付いた。

SGと両方併用していこう。あ、盾持ちも。



夜。北東エリアショッピングモール、デパート横の立体駐車場。

少し風が強い夜だった。駐車場内には容赦なく風の通り道になっており

強風ではないが怨念のような風の声が始終響いていた。


放置されていた車の中を漁り毛布などをいくつか調達。

夜の暗闇の中くるまって車内から辺りを見ていた時。


懸念は現実に変わりあの巨大蜘蛛が姿を見せた。


巨大蜘蛛型エイリアン。見た目が記憶と違う。

あの時よりさらに巨体に、体のデザインにも変化。

それに今回は死体が体についてない。

夜だから必要ないのだろうが。新鮮に感じた。


こいつも強くなってるのは間違いない。

成長したのだろうか、俺や傀儡達のように…

蜘蛛型、おそらくあの子蜘蛛たちの親。


マザーとでも呼ぼうか。


マザーはこちらの傀儡に気づくなり溶解糸を吐きだした。

即座に回避させる。

取り巻きのように子蜘蛛たちが6匹ほど周りにいたのが

フォートとSGのほうに向かっていく。車内からじゃ操りにくい。

仕方ない隠形を使用、出ていく。


SGが子蜘蛛をひきつけて散弾をお見舞いしていく。

数匹に命中。1匹が動かなくなり、2匹にダメージ。

フォートが近くの子蜘蛛を霊気を込めた盾で強烈に殴りつける。

新スキルだ。初使用だが感触は悪くない。むしろいい。

SGがもう一度散弾を放ったあたりで二匹が絶命。


その間に死んだ一匹と殴られて意識が半分飛んだ子蜘蛛に傀儡糸を飛ばす。

ーーー傀儡化。

子蜘蛛の大きさは中型犬から大型犬ほどで、

戦闘力はヒト型エイリアンと比べれば明らかに劣る。

イヌ型よりも更に少し弱いだろう。ただし溶解糸攻撃には注意しておく。


三略を手に入れた上に領土内だからなのか、

傀儡がまるで自分の手足のように動く。この立体駐車場も俺の傀儡も。

そして相対している敵さえもが、手中にあるような感覚。


溶解糸が飛んできたものの完全に見切っていた。頭だけ動かして避ける。

子蜘蛛がどれだけいても負ける気がしない。一匹をフォートの陰から槍で始末。

残りの傀儡化した2匹の子蜘蛛がマザーの方へ飛びのいた。母蜘蛛は気付いていない。

その2匹を追うようにフォートが盾を構えながら前進。

巨大な母蜘蛛は盾持ち傀儡に向け溶解糸を吐きだそうとするが

その瞬間に2匹の子蜘蛛傀儡をマザーの口内に突っ込む。


2匹はマザーの口内に噛みつかせておく。

SGで対物ライフル弾をマザーの頭に照準を絞り撃ち抜く。


マザーは何が起こったのか理解できなかったのか

大きく動揺。霊気の乱れ方でもわかる。

ダメージも致命的なものが入った。

俺は背後に回っていて槍を下からマザーの腹を掻っ捌くように斬りつける。


巨大蜘蛛はダメージお構いなしに

飛び跳ねて駐車場からショッピングモール内に一気に逃げ出す。

警戒は解かずにそのまま傀儡達と追いかける。


が、ショッピングモールは溶解糸の蜘蛛の巣だらけ。

これではとても追撃戦とはいかない。無理しないほうがいい。

追撃を切り上げて、領土に戻る。

施設内は完全にマザーのホーム。後もう少しだったが。


領土の駐車場に戻ると、ここで倒したモンスターの霊気が領土に吸収されていた。

フォートに回復の呼吸をさせるとやはり領内のほうがより効果があった。

マザー、あの巨大蜘蛛は戦闘力も強いが…

でも、どっちかというとやっぱり罠を張ったり

身動きをとれなくさせてやるスタイルかも知れない。

まぁ蜘蛛だし。そりゃそうか。


少し仮眠をとり駐車場周辺近くにいる子蜘蛛を傀儡達と狩って

傀儡化してみた。

やはり子蜘蛛たちも簡単に霧には近づかないようにしていたことも

改めて確認。



そうして初の領土領有と領土での戦闘を終えて

……また夜が明けた。



『ジョン・スミス』

 仙人 5 

 領主 1

技能:「8つの世界」「三略」 「傀儡子の左手」「幻視」

 「隠形」「仙人の呼吸」「宝具作成」 「傀儡改造」


ヒト型エイリアン傀儡 『散弾吐き=SG=ショットガン』

習熟 B+      

レベル4

技能:  「散弾」 「リーダー」 「対物ライフル弾」 「小隊長」



ヒト型エイリアン傀儡 『盾持ち=フォート=タンク』

相性及び習熟度 C+

技能: 「シールド強化」「回復の呼吸」「シールドバッシュ」



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