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ダブルサイココライド ーSaga of Puppeteer ー   作者: KJK
2章 新たなる隣人達 魔女とスーパーマーケット
13/53

5話

X大陸 Y州都 東部地方

 

---RENEE SIDE


別荘から焦って帰ろうとして迷子になってしまった。

経験したことのない様な濃霧にも囲まれて方向感覚さえも失う。

通常の霧と入ってはいけない感じがする霧。2の霧がある。

前者は近づけば視界は開ける。後者は霧がその場に漂う続けて視界が開けない。

視界が20m以内は確保できるもの、1m先すら見えず漂うもの。

後者には近づかないようにした。


森の中で迷っている最中に一匹の梟を発見。

可愛らしい生き物と思わぬ遭遇。

梟は興味深そうに私のことを見ていた。

梟は大体そういう風に物を見るのはわかっているけど!

それでも少し心細さがマシになった。


触れようとすると、触れさせてくれた!

「嬉しかった。ありがとう。」

感謝して歩き出す、と

何故か梟は私の後をつけてくる。


再度手を伸ばすと近づいてきた。


「おいで…」


梟が手に飛び乗る。

「私、心細いんだ… 私の使い魔になってくれない?」


梟は了承するように私の手に頭をこすりつけた。


幻視==

使い魔 獲得 霊的経路構築  

==


森の中でネズミ型などの小型魔物を見つけては

マナの吸い方を見せてあげると梟は自然とそれを覚えた。


マナによる餌付けをしつつ

歩いているうちに森の外に出れた。

嬉しさと同時に疲れがどっと押し寄せてきた。

霧も落ち着いてきた。それに何となく今いる居場所も分かってきた。


全然スーパー方面じゃない!

北のほうの町に出てきてしまった…

別にいい! さっさと帰ろう。仕方ない。切り替えればいいんだ。

ここからまたスーパーに向かえばいいのだから。

この街には物資もあるだろう。

意識的にポジティブな面にも意識を向ける。


あ、そうだ!

生き残ってる人たちが街にいるかもしれない!



森のそばに畑があり、その横のひたすら長く続く砂利の一本道

を抜ける。少し凹凸がある2車線の道を横断して町に入る。

町は、特に観光客が多くいたであろう繁華街は酷い有様だった。

人や魔物の死体がそこら中にある。

匂いとハエが酷い。


マナがそこかしこに漂っていた。

吸収できるだろうか。

意外と吸収できる。マナ酔いに気を付けながら

町を探索。荒廃した町には人影一つ見当たらない。


規則はわからないけどマナをとれる死体と取れないのがある。

特に人間の死体からは殆ど吸収できない。

咳き込むような異物を無理やり吸い込もうとしているような感覚になるのだ。

火事場で煙を吸うような感じだろうか。


エイリアンの死体、もしくは死体から離れて漂うマナの方が吸収できた。

町の有様はあの時のショッピングモールよりもひどい。

それに、酷い匂いだ……


目を逸らしたくなるような破壊の爪痕。


梟にも漂うマナを与えていく。

様子がおかしくなった。

体内のマナの流れに異変が起きている。



幻視===

固有アビリティ「???」起動

梟→魔梟

===



梟の身体からマナが溢れ出す、それが私のマナと混ざり合う。

身体全体が明滅し、最後に眩しいほどの輝きを放った。


==

梟 → 魔梟 ミネルヴァ

==


脳裏にイメージが浮かぶ。

と同時にこの梟が正式に私の使い魔として生まれ変わったことが理解できた。

私との何か霊的に繋がったことも。

名は勝手に浮かんできていた。ミネルヴァ。


ミネルヴァは黒と藍色やうっすらと紫が混じったような

綺麗なフクロウで眼は黄色。

神秘的な雰囲気のある魔鳥。


魔眼でミネルヴァを観察すると



----

魔梟ミネルヴァ ♀

技 見通しの魔眼



取得可能技能


・猛禽の爪

・夜の狩人

・チャネル

----


チャネルを取る。もしかしたらやり取りできる?



早速使ってみる。会話などは出来ないが

魔眼を共有できた。意思疎通も何となく出来ているようだ。

ミネルヴァを空に飛ばす、彼女の視界を共有。


今自身が見ている視界が少しずれて見える、裏に2ページ目の視界があるようだった。

意識するともう一つの視界に切り替わる。また2つのページを見開きにも出来た!

凄い! 見たことのない景色! 

彼女の魔眼も共有されているんだ!



夜空の星から、眼下の生物まで魔眼が捉えている。

マナの動きまで完璧に捉えている!


そのまま上空からミネルヴァに街を見てもらう。

索敵もしつつモンスターが多そうな場所を避け

生き残っている人間を探す。


この街で吸収できそうなマナをもらっていくのも忘れない。





そして…



------魔女 LV4

取得可能技能


・雷魔術

・契約魔術

・使い魔スロット追加

------


使い魔が欲しい。

上2つが良さそうな気がするけど使い魔がいい。

使い魔を取得。


ふと横にいる

ミネルヴァを見ると驚いた様子でこちらを見ているように見えた。

え? こいつ正気か? みたいな。

まぁ、梟は大体そんな顔してるから気のせいだろう。


二度見するようにミネルヴァがこちらを見た。

「何?」 

こちらも二度見すると目を逸らされた。


ともかく地図も手に入ったしスーパーに向かおう。

ミネルヴァに空から索敵しながら行けば安心して走っていける。

もう迷わない! そうだ! あとスーパーマーケットの皆が外に出たいなら

ミネルヴァに外を見てもらえば

安全に長距離を誘導しながら進めるかも!

引っ越し先に良さそうなところが見つかれば尚のこと良い。


なんだ、最悪なことばかりじゃないじゃないか!

ちょっと約束の時間には遅れてしまったけど、

良いニュースを持って帰れている!


いや、町はあんな有様だった。

やはり世界規模でおかしくなっているんじゃないか。

酷く悪いニュースもある……


でも、前に進んでいる。

私も成長して車のようなスピードで疾走できるし。

時計を見るともう10時を回っていた。

皆心配しているだろう。早く帰らなきゃ。

更にペースを上げる。


……


スーパーが見えた。

煙…?

店は火事の後のような有様だった。

多くのものが燃えて炭化している。

まだチラチラと燃えているものもあって、それが煙を出していた。


ここで何が起きたの? 

火事? 何で? ゴブリンの軍団?

誰もいない…


皆は?


相当燃えたみたいだった。

アイテム箱は空…

そして人間の死体……


店内に生き物の気配。

何か音がする。見通しの魔眼発動。

小鬼がスーパーの中に数体。

直ぐに始末した。


魔眼の暗視能力で暗い中でも見えるけれど。

店内に転がっている死体のうち知った顔があった。

そして知らない顔も…

さっきの店前の死体! 男の死体が複数。

あんな服の仲間いなかった気がする。


他の人は?

何があったの?

この人間たちは誰? 彼らを保護しようとか

なにか交渉してるときに運悪くゴブリンたちが来てしまった?

他の人間達と合流していた?

その最中に火矢を使う小鬼などに襲われたのだろうか。


屋上にいたミネルヴァから思念が送られてきた。

何かに囲まれつつある。


ミネルヴァが飛翔。地上からぐんと離れて上空から確認。


小鬼の軍団だった。百以上いる。

私も強くなってるとはいえ、この数はきつい。

数が薄そうなところから突破して逃げよう。


裏手のほうに飛び出して行ってミネルヴァの目と連携しながら

小鬼を始末していく。

何処に敵がいるのか手に取るように解る。


まるでフィールド全てが私の掌の上にあるかのように。


杖で頭部を小突いていくだけでゴブリンは死んでしまう。

コツはだいぶ掴んだ。こいつらは敵じゃない。

乱戦のなかでの立ち回りのコツも掴んできてる。

ゴブリンを13体ほど倒してその後わざともう10体ほどいるところに

飛び込みさらにデータを取っておく。

私の経験の餌になってもらう。


そろそろいいか。火矢などを使う小鬼が居ないか確認したかったが…

見つからなかった。

もういいよ、逃げよう。


スーパーの生き残りの人たちはどこへいったか分からない。

再会できること、無事であることを祈る。

もう正直精神的にそんなに他者を気にかけている余裕が

今の自分にあるのかもわからなかったけれど。


また一人になった。


どう生き延びていけばいいんだろう。

考える余裕はこの時の私にはなかった。




魔梟 ミネルヴァ LV1 

見通しの魔眼、チャネル


チャネル:交信、情報伝達、共有


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