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エルフの少女・4


 「さてと、洗い物も終わったし、ちょっと休憩するか」


 ルアンが食べ終わった食器を片付け、一息つく


 「うーん、やることが多いけど、いったん来週には全部整うか」


 客室については最低限のものはそろっている、あとは浴場を完成させれば店としては始められる


 といっても、最低限なので、まだまだ足りないものは多いが


 「そもそも、客によって必要なものが違うだろうから、何が必要かわかんないんだけどな」


 まだ亜人などについては細かいことはわからないので、生活に必要なものがあるのかどうかもわからない

 

 「ルアンに知ってることあれば聞いてみるか」


 ルアンなら亜人なのでもしかしたらほかの種族のことについて知っているかもしれない


 「あと、どうやって宣伝するかだな・・・」

 

 今回はたまたまルアンのことを見つけれたからいいとして、看板を亜人語で書いたとしてどこに置くか悩む


 そもそも国内なら亜人たちが入ってこれるかどうかがわからない


 そんなところに看板をおいても仕方がない

 

 だが、だれでも見られるところ、例えば国外に配置したとしてもすぐに撤去されるか、焚火の燃料として燃やされるかしかないだろう


 「だめだ、まったく思いつかない」


 数分考えたが、まったくいいアイデアが出てこない

 

 「なんかいい案がないか聞いてみるか」


 一人で考えていても埒が明かないので、ある人に手紙を出す


 「まあ、たぶん返信は帰ってこないだろうけど」


 そのある人とは自分に魔法の基礎を教えてくれた人でいわゆる師匠という人である


 この国に住んではいないがいる場所はわかるので手紙は出すことはできるが性格を考えて手紙を返信するとは思えない


 「でも、もし興味を持ってくれたら・・・」


 師匠は興味がないことには一切かかわろうとしないし知識を持っていることでも教えてくれもしない


 なのでもしこの手紙に対して一切の反応をしなければこのことに対しては今後手を貸してはくれない


 「内容も慎重にしないと」


 少しでも興味を持ちそうな内容を考えそれを手紙に書きこんでいく


 そして時間をかけて手紙を書け終え、魔法を使って手紙を送る


 この魔法も師匠に教わった魔法であり、特定の場所にものを送る魔法である


 「多分、この魔法も自分で作ったやるだよな」


 師匠に魔法を学ぶ合間に自分でも調べて勉強はしていたので、それなりに魔法についての知識はついている、なのでこのような物を人の手を使わないで送るなんて魔法は公には存在しないことを知っている


 となれば師匠が自分で作った魔法だろうと予想する


 「早ければ三日後くらいかな」


 距離も距離なので向こうに届くのも一日程かかるので、もし返信が来るのならこのくらいになるだろう


 「さてと、いったん寝るか」


 ルアンもおそらくもう寝ているだろうので音のする作業はできない


 だったら明日に備えてもう休むことにする


 


 そして数時間が経ち、まだ日が昇っていない時間だったが目を覚ます


 「・・・ん?」


 時間を確認してまだ早かったので二度寝をしようとしたが、物音がしていることに気が付く


 「あ、おはようございます」


 「おはよう、こんな朝早くにどうした?」


 物音の正体はルアンだったようで何をしているのか確認する


 「えっと、目が覚めたので、何かすることはないかなと」


 「・・・」


 おそらくここにおいてもらう以上何かしないといけないと思ったのだろう


 だが


 「まっすぐ立って」


 「は、はい」


 確認したいことがあり、一旦ルアンにまっすぐに立つように指示をする


 「いいかいルアン、まずはしっかり休んでほしい、少なくとも昼間では休んで」


 明らかにルアンはまっすぐ立つように指示してもふらふらしているし、まだ寝不足なのだろう


 「今は特にお客がいるわけでもない、だからそんなに急いで何かをする必要はない」


 「で、でも、何かしないと、不安っていうか・・・」


 ここにおいてもらう以上、何かしないという使命感から朝早くに起きて動こうとしているのだろう


 (それも寝不足の影響かな)


 「とりあえず、休んで、昼からはいろいろと教えるから、疲れた状態ではちょっと辛いと思うんだ」


 今のところルアンにお願いしようと思っているのは受付


 実年齢でいえば違うのかもしれないが見た目ではまだ子供


 なので力仕事などはさせるつもりはないのでこの仕事にしたが、結構覚えることも多いので寝不足の状況では頭に入らないだろう


 「・・・目が覚めた」


 一回起きてしまったことで眠気も飛んでしまい何をして時間をつぶそうか悩む


 こんな朝早い時間ではどの店も開いてはいないしルアンを寝かせるために極力音を出すわけにはいかない


 「そうだ、まだ完成していないところの設計図でも書くか」


 一応どこの部屋を何にするかは決めているが詳しくはまだ決めていない


 なのでそれを考えることにして、紙とペンを取り出す


 「まずは風呂場、おそらくここに来る客はろくに体とかは洗えていないだろうから・・・」


 風呂場はあまり広い場所ではないので浴槽のほうは体が伸ばせる程度にして洗い場のほうを大きくしておく

 

 「・・・風呂場はこれくらいか」

 

 一通り設計が終わり、必要な素材を洗い出していく


 「壁とかは今はただの石材だけど、どうなんだろ」


 元が何に使われていたのかわからないが風呂場するにはちょうど良かったので有効活用しようと思うが、風呂場がどんなもので作るべきなのかわからない


 「明日にでも聞きに行くか」


 どこで聞けるかわからないが、買い物に行くときにでも聞き込みに行くつもりだ

 

 「さて、次は庭だな」 


 庭では主に洗った服などを干すために使おうと思っているので、プライバシーの観点から周りからは見えないように塀を立てる必要がある


 「あ、あそこの井戸、使えるかな」


 庭には一応井戸があるが使えるかどうかは確認していないのでそれもしないといけない


 「塀は木でいいか、あとは物干しざおも買ってっと・・・」


 そこからどれくらい時間を使ったかわからないが、一旦足りていないものを書き出して、それをどうするのかも書いていった


 「おはようございます」


 「おはよう、今度こそよく眠れた?」


 「はい、もう元気です」


 ルアンがまっすぐ立ち、ふらふらしていないのを見せてくる


 「うん、顔色も大丈夫そうだね」


 顔色も確認し、問題がないことを確認してからルアンを席に座らせる


 「とりあえずご飯にしよう、そのあと、ルアンの仕事を教えるね」


 「はい!」


 どうやら寝不足が解消したようで感じていた不安感もましになっている


 「といっても、昨日と同じなんだけど、大丈夫?」


 「全然大丈夫です」


 ルアンにとって、何か食べれるものがあるだけでありがたいのに、二日連続で同じものであるだけなんて不満など出るわけがない


 「さてと、始めようか」


 ご飯を食べ終わり、少し間をおいてから早速ルアンに仕事を教えていく


 「といっても、ルアンの仕事は受付で、お客の対応だから今はほとんどやることはないよ」


 「? じゃあ今はほかの仕事をするんですか?」


 「そうだね、ただ、何がしたい? 掃除以外で」


 正直大概のことは自分でできるので、ルアンには自分がしたいことをしてもらいたい、ただ、掃除はルアンにとっては重労働になるのでそれはさせるきはない


 「うーん、あ、料理、したいです」


 「料理? できる?」


 「はい、基本的に野宿だったので、料理は上手になりました」


 ルアンが少し苦笑いをしながらそう言う


 「そうか、それなら任せようかな」


 こっちとしてはあまり以前のことを思い出すようなことはさせたくはなかったがルアンがしたいというなら断るつもりはない


 「それなら、ついでにお客に出すメニューも考えてくれる?」


 「はい! 頑張ってみます」

 

 さすがにお客に今日のような適当なものを出すわけにはいかない

 

 それ用にしっかりとメニューを考える気だったので、ついでにルアンにも考えてもらう


 「もし何か欲しい食材とかあったら遠慮なく言って」 

  

 「わかりました」


 ルアンはエルフなので、自分では買い物に行くことができない


 だが、いずれは変装用の魔道具か魔法を使って自分でも買い物にいてもらいたい


 (いろいろなことに慣れておかないと、もしやりたいことができたときに苦労するからね)


 この宿はあくまで未来のためにサポートをすること、いずれはここを出ていくことになり、その時のことも考えておかないといけない


 (別にずっとここにいてくれてもいいけど、僕が死んだらここを出ないといけなくなるからね)


 エイルが死んでも、この宿の持ち主を引き継がせれば宿として続けられるが、引き継がせられる人がいるとはあまり思わないし、ルアンやもし今後従業員が増え、その子たちに継がせようとしてもおそらく亜人などになるだろう


 絶対に亜人など差別されている子たちに引き継ぎができるとは思っていない


 「うーんと・・・」


 どうやらルアンは早速言われた通りメニューの考案に取り掛かった


 「さてと、まずはほかのお客を入れるところからだな」

 

 一応師匠には手紙を出したが、返信が返ってくるかはわからないので自分で考えないといけない


 「まあ、一旦思いつくまでは足で探すか」


 とりあえず何も思いつかないので、とりあえず外を出歩くことにする


 「ちょっと出てくるけど、もし誰か入ってきたら奥に隠れてこれを鳴らして」


 そういい、鈴を一つルアンに渡す


 渡したのは[共鳴の鈴]と言って二つで一組のもので、片方を鳴らせばもう片方も音が鳴るというものである


 「わかりました」


 「・・・絶対に隠れるんだよ?」


 ルアンはメニューを考えながら返事をしていたので、念のため本当にわかっているのか確認を行い店を出る


 「さて、まずは・・・」


 基本的にこの国の中には亜人などの差別の対象になっている人達はいない、だがまれに荷物に紛れて入ってくる人もいるが、一度入ってしまったら簡単に出ることはできないし、ろくに食べ物を得ることもできない


 なので、そういった人たちが行き着く先は大体ゴミ捨て場


 大体は腐ったものだが、食べ物に違いはないので、それをあさりに来るのだ


 だから、まずはそこに足を運ぶ


 「・・・・いないか」


 ゴミ捨て場に到着し、ある程度あたりを確認し痕跡がないか確認したが、それらしいものは見当たらなかった


 「ほかの場所探すか」


 そのあと、日が沈むまで様々なところを探し回るが、誰一人として見つかることはなかった

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