プロローグ 伊藤削岩機
ふと真夜中に目が覚めるとあまりの暗さに俺は生来目が見えぬとかいう設定があったのではないかと思うことよくあると思う。
目の前の文字通りの真っ暗闇に徐々に目がなれてまわりが見えだす度に安堵したものだ。
俺の名前は伊藤削岩機。普通の高校生だった。
今は遠洋漁業で漁師をやっている。ちなみに握力は500キロある。
なんでこうなったのかと言うと長くなる。ちなみに突然握力を紹介した事でとっちらかっているがここから話すのは遠洋漁業を何故やっているのかということだ。
俺はどこにでもある両親と俺と妹のごく一般的な家庭で育った。
だが3年前、家の近くがたまたま昔の炭鉱ということに気付いた両親が世界的エネルギー危機ということもあり石炭を採掘して炭鉱都市復活を目指そうとしたところ地下水脈をぶち当てて溺死したのだ。
さらに沸き出す地下水は止まらず近所一帯は水没してしまった。
そして俺は亡くなった両親に代わり責任を取るために遠洋漁業の船に乗り賠償金の返済に勤しんでいるという訳だった。
…だった。
そう、さっきまではそうだったのだ。
今はもう、俺の目には闇しか見えない。
ああ、こうなると気がかりなのは遠い親戚に引き取られていった妹の事だ。元気にやっているだろうか。
大人しいやつだからいじめられてないといいが。