予定不調和(義妹視点)
第一王子に見初められようとカレンは人混みの中をズンズンと歩く。
ここに来ている義姉や義弟も気にはなるが、まずは王子を射止めなければ。
カレンは筋肉に興味ない、むしろ気持ち悪いと感じてしまう。なので第二王子はガン無視だ。
物語に出てくる王子然としたエリックがカレンの好みなのだ。
場にそぐわない派手なドレスとメイクは周りにヒソヒソされている。
今まで金目当ての取り巻きのお茶会にしか参加していないので、カレン自身は違和感に気づけない。
むしろ注目されているのだと自信たっぷりだ。
流行を取り入れすぎでちぐはぐな見た目と過剰に肌を出したドレスは上位貴族には見えない。
ミューズが思っていたとおり恥を晒してしまっていた。
「なかなか近づけないわね」
さすが第一王子、周囲の人だかりが絶えない。しかし遠目から見る笑顔も素敵で、時折目が合う気もする。
(王子も私が気になるのね)
自意識過剰も甚だしいが、エリックの視線はその後ろの弟にある。
想い人がいると告げられ、ようやくそれが実を結びそうだ。兄として喜ばしい。
自分の後方にて恋愛ドラマさながらの展開が起きているとは夢にも思わないカレンであった。
その後王家の者でないカレンは王子につまみ出されてしまい、夢は潰えるのだった。