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塔の姫は隣国の王子と恋をする  作者: しろねこ。


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平和奪還(ティタン視点)

「キール、無事か!」


魔物を倒しながら突き進んでいたティタンの目にキールの姿が映る。


今日は槍ではなく、双剣を用いていた。


個人で多体を相手する際はキールはこの武器を使用することが多い。


「無事に見えるか?」

「うむ!」


ようやく傍をまで着くが、キールの体に怪我はない。

若干疲弊しているものの返り血くらいしかついてなかった。


「随分遅かったな。ミューズ様は無事か?」

「ああ、マオに任せてある。あいつはああ見えて強いし大丈夫だ」

「マオか…強いが性格に難ありだな。まぁあいつがいれば大丈夫か」


そう言いながらまた剣を振るい始める。

両手の剣を操る様子は踊りのように優雅だ。

くるくると舞う様子はさながら剣舞ようだ


対してティタンの大剣は力任せだ。

敵をなぎ倒し、骨や肉を断ち切りながら、時には地面ごと抉りつつ敵を倒していく。


硬いゴーレムすらもまるで豆腐を切るかのようにティタンの大剣で粉砕されていった。


「第二騎士団が結界石を置いて回っているが、切りが無い。連れてきた魔術師部隊も結界石作りに回った。圧倒的に人が足らん」


ティタンに背中を預け、状況説明をしていく。


「そうか。途中避難所にも回ったが、たくさんの人を助けてくれたな。ありがとう!俺とお前がいれば魔物は倒していける、頑張るぞ!」

「当たり前の事をしただけだ、しかしこの魔物の群れをどうする?このまま続けば体力が保たんぞ!」


双剣に魔法をかけると燃え盛る炎が纏わりつく。

キールの付与魔法だ。

斧をもった力自慢のオーガを焼きながら切断していく。


「今ミューズがこの国の守護神に、護りの結界を張るよう王宮の塔で祈りを捧げているところだ!ここまで魔物が侵攻したのは、今まで祈っていたミューズが居なくなりこの国に張った結界が弱まったからだそうだ!」

硬い体のゴーレムが大剣で真っ二つになった。


「何だその話は。本当か?!」

風魔法で体を浮かせ、空にいるハーピィを刃で貫く。


「本当だ!先程目を覚ましたディエス国王陛下に聞いた、あの塔は守護神に呼びかける大事な場所だったらしい!」

鋭い爪のリザードマンを、切り裂こうとした爪ごと断ち切った。


「じゃあこの侵攻はお前のせいということか!お前がミューズ様を連れ出したから起こったのではないか!」

騎士を呑み込もうとするスライム達をキールの炎が包み込む。


「違う、と思う!」

魔法を唱えようとしたラミアの口に小剣を投げつけ、大剣で袈裟斬りにした。


「この国自体が守護神への祈りを忘れたからだ!断じて俺のせいではない!」

向かってくるデュラハンを二体同時に切り裂いて必死に言い訳をした。


「そういう事にしといてやるよ!」

無数に飛び込んでくる吸血コウモリを風魔法で切り刻んでいく。


「総員聞け!これは持久戦だ!ミューズが結界を張るのが先か俺たちが倒れるかのな!隊を二編制に分け、体力を、温存しながら戦え!怪我したものは速やかに下がるんだ!キールと俺が最前列を務める、けして死ぬんじゃない!」


「「おおー!!!」」

ティタンの鼓舞に士気が高まっていった。


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