表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塔の姫は隣国の王子と恋をする  作者: しろねこ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/38

騎士訓練③

鎧や小手をつけ、それぞれ武器を手にする。

実践に近い形と聞いたが、鎧も武器もお互いだいぶ違う。


ティタンはフルプレートのようだが、右手はやや軽めで関節部分は動かしやすく装備が少ない。

使う武器は大剣と小剣。小剣は腰に差し、メインは大剣のようだ。


対するキールは槍。左腕には盾がついており、鎧もティタンにくらべてやや小ぶりである。


実戦の際の二人の姿はこのようなものなのだろう。


「始め!」

合図と共にキールが仕掛ける。しなやかな槍はティタンの動きをかい潜り右腕の関節を狙う。


フルプレートの場合弾かれる場所が多いため、少ない露出箇所を狙うようになる。

腕を引き、鎧の部分で弾いてからティタンも大剣を振るう。


当たれば鎧共々骨が折れてしまいそうな重厚感で、そして思ったよりも素早い動きだ。


しかしキールは素早く槍を引き後ろに跳ぶ。着地と同時に身を屈め下から突き上げるように槍を動かした。狙いは顎のようだが顔を引き足で蹴りを繰り出す。


それを左手の盾で受け、ティタンの力を利用して反動で後ろにくるりと避ける。

流れるような動作は一流の殺陣のようだ。


ティタンの動きもキールの動きも凄い。


こんないいものが見れるなんてと、神に祈りながら瞬きもせずに見つめていた。



愛する人に見られながらする訓練は緊張に満ち溢れていた。


もしこれが実戦ならば、自分が負けてしまえば彼女が危なくなるのだ。


絶対に負けるわけにはいかない。


「ハァー!」

鋭い突きが連発される。さすがにガードするしかなく、押され気味になる。


一度槍を引き、体をひねると今までと違った突きが放たれた。

体をひねることでパワーを乗せ、鎧をも貫く一撃になる。


「っ!」


大剣ではガードが間に合わないと腰の小剣を抜く。左手に持った小剣で槍を受け流す。


刃と刃があたる場所が火花を散らしているが、そこを起点にぐるりとティタンは身体をひねって大剣をキールのボディに叩き込んだ。


「かはっ!」

鎧の上からでも物凄い衝撃を受け、ついにキールが膝をついた。


「勝者、ティタン!」


二人の素晴らしい攻防に拍手が湧き上がる。


「まだ駄目か」

「いや、危なかった。魔法ありだったら負けていたな」


膝をついたキールに手を貸し立たせるが、体を痛めたか脇腹を抑え呻く。


さすがにティタンも手が抜けなく、加減できなかったのであろう。


「馬鹿力め」

「済まなかった」


そそっと近寄りミューズが手を翳す。


「失礼しますね」

柔らかな光で照らされる。見る見るうちに痛みもとれ、すっかり良くなった。


「治癒魔法も使えるのか」

「一応魔術学校に通っていましたので」


ティタンの方へ向き直り、胸の前で両手を握り熱い戦いだったと興奮気味に話す。


「本当に凄かったです!」


そんなミューズの頭をポンポンと撫で、鎧を外していく。


「あとは頼んだぞ、キール。俺はミューズを送ってくる」

「わかった。勝利の報酬は?」

ミューズは顔を赤くする。

こんな、大勢の前でなんてさすがに恥ずかしい。


「屋敷に帰ってからゆっくり堪能するさ、お前らに見せるのは勿体ない」


ニカっと笑い武器や鎧を部下に渡す。汗を拭くタオルを1枚もらうとミューズの手を引いて鍛錬場を後にする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ