第3話 経営計画の必要性
ある日のゼミ終了後…
「せんぱ~い!!」
「美琴!もうプレゼンの片づけ終わったんだな」
「はい!………先輩は、何を書いているんですか?」
先輩が座っている前の机上には、『ゼミ運営計画書』と書かれた書類が置かれている。
「あぁ。高井教授から、ゼミの運営について、副幹事として計画書を作成してくれって言われたんだよ」
「運営計画書?」
「『教師のライフヒストリー』を研究している俺たちのゼミを、今後どうやってレベルアップさせていくか、って話さ」
「何だか、この前の経営学の授業でやった、『経営計画』に似てますね!」
「その通り!経営学で出てきた経営計画でも、 長期経営計画 中期経営計画 短期経営計画 に別れるって話だっただろ?ゼミの運営計画にも、経営学の経営計画が当てはめられると、俺は思うんだ」
「長期経営計画っていうのは、経営方針や長期的なビジョン、主に10年単位で策定されるものでしたよね」
「ああ。教授は『今はお世話になった顔見知りの先生をターゲットにしているけど、将来的にはテレビに出るような有名講師のライフヒストリーを研究できるレベルに達したい』っておっしゃっていたから、長期的なビジョンはこれになるだろうな」
”カリカリカリカリカリカリカリカリ…”
「で、中期経営計画には、会社の将来の理想像を描いて、達成すべき具体的な目標を明らかにするんですよね!」
「会社の中期経営計画だったら、CVP(損益分岐点)分析や人件費・固定費・借入金などの計画を立てることになるけど…うちのゼミの場合は、どういった段階を経て研究対象者のレベルを上げていくか、ってことだろうな」
「顔見知りの先生 → 出身校にいる関わりのない先生 → 出身校の偉い先生 → 友達の出身校の先生 みたいな手順で研究対象をレベルアップさせていく、ってこと?」
「そうだな!美琴、それ頂くぞ!」
「はい!」
”カリカリカリカリカリカリカリカリ…”
「で、最後の短期経営計画では、中期経営計画で定めた目標を達成するために、1年毎に何をするのかを明確にするんでしたよね!」
「ああ。会社の場合は利益計画や目標貸借対照表、資金計画書を作成することになるが、毎年入り替わりが発生するゼミの場合は………グループを作って取っつきやすい顔見知りの先生を担当した人がいたら、次の人は関わりのなかった先生をターゲットにする。このやり方でレベルを上げていき、年度毎に最初の研究対象者のレベルを少しずつ上げていく、といった感じだろうか…」
「まぁ、計画って立てる段階ではうまくいくことを前提にしますから、これしかないっ!って感じで立てられますけど…」
「高井教授も言ってたよ。『計画がその通りにいくことが重要なのではなく、計画にズレが生じた時にその原因を追究して、対策を実行することが大切なんだ』ってね」
「私たちが作った計画案を、来年度以降も継承していってもらって、検討・改善していくことが大切なんですね!」
「ああ。会社の経営だってそうなんだから、俺たちはここまでやって、あとは後輩たちに託すことにするよ」
「そうですね!!」
第4話 に続く
☆検定問題にチャレンジ!!☆
次の1~4のうち、『中期経営計画』のことを説明しているものを1つ選びなさい(剣世炸作成 オリジナル問題)
1.経営方針や長期的なビジョン、10年後の目指す姿などをまとめたもの
2.目標を明確にして将来に向けて今から何をなすべきかを明らかにするもの
3.単年度ごとの実行計画として数値計画などを詳細に立てるもの
4.一般的に利益計画・目標貸借対照表・資金計画書からなるもの
中期経営計画のことを説明している選択肢は…
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2.目標を明確にして将来に向けて今から何をなすべきかを明らかにするもの
☆ 解 説 ☆
1は長期経営計画を、3と4は短期経営計画について説明したものとなり、中期経営計画についての説明は2ということになります。