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告白に失敗した件について

 僕は大してかっこよくもない帰宅部で、成績は学年最下位だった。


 だから僕は自分に自信なんて本当になく、クラスの美少女のことが好きになっても、あのときはは告白しようなんて思わなかった。


 そう、あのときはは告白しないと決めた。


 その代わり、付き合いたいと思われるような人になってから告白しようと思った。


 僕は努力でなんとか上位になれそうな勉強を頑張った。十分休みに弁当を詰め込んで、昼休みになれば誰よりも早く自習室に行った。放課後は走って家に帰って勉強した。


 そうして僕はついに、学年2位までたどり着いた。校内偏差値75。


「ふふ、ふわぁ……」


 僕は成績表を大切に撫でた。


 どこにでもある厚紙の感触。しかし、僕はもふもふのぬいぐるみのような触り心地に感じていた。


 きたよそろそろいいんじゃないか?

  

 僕の通う高校は、まあまあ偏差値が高いところだ。そこで2位、校内偏差値75だったら、頭がいいと言っても特に問題はないだろう。


 そして、僕はクラスの美少女に告白する。


 僕はここ最近勉強ばかりしていたので、もともと話す人が少なかったのがほぼ全くいなくなった。


 それゆえ、僕の行動を見ている人なんていないので、クラスの美少女……珠坂美桜夏たまさかみおかの下駄箱に手紙を入れるなんて楽勝だった。


 


 放課後。僕は裏門の横の倉庫のところで成績表を眺めてにやにやして待っていた。


 やれることはやったというすっきりした気持ちが全身を包んでいる。校舎の裏門側の出口から、珠坂さんが出て来るのが見えた。


 僕は、頭の中でこれまでしてきた努力のハイライトを流す。


「どうしたの? えーと、本野知也もとのともやくんだよね」


 珠坂さんが僕の前に来ていた。


「そう。ちょっと、言いたいことがあって」


「うん」


「付き合ってください」


「……!」


 驚くほど余裕で言えた。さすが、学年2位で得た自信はすごい。人間自信に溢れるとすごいな、はい完璧……なはずだったが。


「ごめんね。私彼氏いるから」


「あ……」


 はい。そうでしたか。知られざる事実。


「ていうか本野くん、知らなかったの?」


「え、知らなかったけど……」


「私この間の昼休み、みんなの前で友晴ともはるに告白されたの。それでうんって言って……」


「あ、そうだったんですねえ……」


 そのとき僕多分自習室いたわ。誰も話す人がいなかったから知らなかったわ。


 ショックで倉庫に突っ込みそうだった。


 それは振られたからというよりも、友晴が確か学年一位だったからだ。


 そう。僕の切り札は無能になった。


 僕が振られるとしたら、別に勉強ができることに対して魅力は感じないって言われるだろうと思っていた。


 世の中勉強以外に大事なことは無限にあるのでその覚悟はもちろんしていた。


 だから


「友晴くん。頭良くて……すごい努力しててだから好きなの……ごめんね」


 こう最後に言われたことは辛すぎた。


 僕は放心状態でポケットの中で成績表をひたすらぐちゃぐちゃにしていた。


お読みいただきありがとうございます。本作は現時点では短めの話の予定です。これからもお読みいただけたらうれしいです。

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