飯屋 オーモリーノ
徹夜明けって無性にお腹空きますよね?
今回はそんなにお話です。
ここは、帝都チョウエード、第九警備隊詰所である。
ゴーン!!
とお昼を表す鐘が、街に響きわたった。
ある一人の男が、
「ふー、夜勤明けは、疲れるっす。
さてと、ご飯でも食べて帰りますか。
ピカさん、今日昼飯どうしますか?」
と、書類を枕に寝ているピカさんに声をかけたが、
返事はなかった。
「あらら、昨日はピカさんは、
隊長とペアだったから、きっといつもの様に
サボれなかったんですね。
お先に失礼するっす」
と言い、そっと疲労回復ポーションを
寝ているピカさんの横に置いて隊を後にした。
オーボンが、一人下町の食堂街を歩きながら、
「やっぱり夜勤明けは、
ガッツリ
食べたいっすよね」
と思い、目的地である
飯屋 オーモリーノ
に、到着した。
するといつもは、キレイに整列した行列が目にはいるのに、
今日に限っては、凄い人だかりで
「おい、あのねーちゃんスゲーぞ!!」
「何処にあんな量が入るんだよ?」
「あと少しだ頑張れ!!」
と大騒ぎであった。
オーボンが、何だろうと思い、
「ちょっくらゴメンよ」
と人をかき分け、見てみると
年齢20歳くらい、腰までの金髪、
出るところが出て引っ込むところが引っ込んだ
背の低い女性
が、この店の
チャレンジメニュー!!
小オークの姿焼
(全長0.8メートル・重さ約30キロ)
を九割ほど食べ尽くしているところであった。
そして、その女は、大きく口あけ、フォークに突き刺した
最後の一片
を食べると、大きく息を吸い込み
「ごちそうさまでした」
と笑顔で、店主に言ったのであった。
店主は、頭を書きながら、女性の前に残された
小オークの骨だけ
が、残された皿を見て、
「あ、あ。
これだけキレイに食べられちゃ仕方がない!!
持ってけドロボー!!」
といい、
賞金 金貨一枚
を手渡した。
女性は、それを受け取り、入口に向かって
歩き出したところ、店の外に立っていた
オーボンの姿を、見つけて
「オーボンさんじゃないですか?
貴男が、美味しいと言ってたとおりの味でしたわ。」
と、喋りかけた。
オーボンは、
「お疲れ様ッス!! ミーカ隊長!!
っていうか?
アンタなにやってんですか?」
と言うと、ミーカ隊長と呼ばれた女性
帝都第九警備隊隊長 ニージ・ミーカ
は、
「何って、お食事ですわ!!
やっぱり夜勤明けは、これくらい、
しっかり食べないといけませんわね!!
昨日はあのピートさんと一緒でしたから
ストレスが溜まりまして!!」
とお腹をさすりながら答えた。
オーボンは、
「どんだけー!!
いくら、ピカさんと一緒で、ストレスが溜まっても
普通の人じゃ、あれは無理ですよ。」
と、言うと、ミーカは、
「失礼な!! 私は至って普通です!!
だって、店に入るといい匂いがして、
周りの人が食べてる物の美味そうなこと!!
それで、更にお腹が空いて……
お店の方に、一番の量の多いメニューを、
教えてもらって、頼んだのよ」
と、ほっぺたを膨らませながら言い、更に
「でね、出てきたあれ
小オークの姿焼
あれって最高ね!!
周りの皮は、パリッと油とタレで仕上げてあり、
切ると中はから、ジュワーと肉汁が溢れでる!!
更に丁寧に下処理された内臓部分に、臭みはなく、
内臓の代わりに詰められた
ハーブと野菜と肉汁
が、奏でるハーモニー!!
まるで、味のタイフーンよ!!
私の価値観も破壊されたわ!!
しかも、付け合せの、
小麦を薄く焼いたシート
に、お肉を挟むと更に美味しい!!
今思い出しただけでもヨダレが……
オマケに、食べてお金まで貰えるなんて最高ね!!
さてと、ナーマリームのチョコパフェでも、
口直しに食べてから帰ろうかな?
オーボン、じゃあまた明日ね!!」
と口をハンカチで、拭きながら言い、
呆然と立ちつくすオーボンを後にし、
立ち去るのであった。
オーボンは、
「……まだ食べるだと!! 化け物目!!
さてと、ハプニングはありましたが、
ガッツリ飯といきますか」
と気を取り直して店に入り、店主に
「おっちゃん、
名物オークの油揚げ定食
を大盛りで頂戴」
と言うと、店主は、
「ないよ。
今日は、チャレンジメニューがでたから、
オークは品切れだよ」
と言ったそうな。
最近つくづく運がないオーボンであった。
オーボンレポート(ミーカ隊長談)
飯屋 オーモリーノ
味 ★★★★☆
量 ★★★★★
店の雰囲気 ★★☆☆☆
オークの油揚げ(とんかつ)定食か有名。
過去に、チャレンジメニューを制した猛者は1人だけとか
いう話である。
作者は、
トンカツは、塩で食べるのがすきです。