今夜もまた
今夜もまた、冷え込むよ。
寒気が流れ込んで来てるんだ。
とにかく、また寒くなるから。
どこからともなく聞こえた冬の声。
懐かしい声になっている。
水溜まりには、氷が張っていた。
カチコチの氷の上で、
スケートの真似をして遊んだ。
何でも遊び道具にできたから、
それはそれで、愉快な頃だった。
冬は間近にあった。
あの、あかぎれだらけの手が、
この手になったのか。
今夜もまた、冷え込むよ。
冬の声がまた聞こえる。
同じ冬の声なのかどうか。
スケートの真似をした冬は、
同じ冬なのかどうか。
わからないままに、混沌がある。
冬の声が聞こえたら、
ここにいるよと伝えたい。
ここにいるよと伝えたら、
もちろん、覚えていると、
言ってくれたらいいな。