俺の後輩
2か月間待たせてしまい、大変申し訳ありませんでした。言い訳をさせてください。受験のため、小説を書くことが難しかったです。これからしっかりと書いていきますので、よろしくお願いします。
これは第5話です。
さてと。
回避策を見つけるっつっても、なかなか無い。
どうしたものか…。
そんな中、俺に話しかけてくる声がした。
「せーんぱいっ♡」
彼女は冬海音葉。部活も委員会も違うけれど、帰り道がおなじ方向ということで仲良くなった。髪が肩くらいまで下がっていて、少しパーマがかっている。いつもテンション高めで、まるで広乃みたいだ。ただ、中2のくせに中3女子よりも胸が大きいから、3年女子からはいい目で見られていない。
現実、私は中学3年の男子だが、クラスでも胸についての話題が飛び交うことは少なくない。
なんというか、女子って怖いよな。
まー、とにかく、彼女はそういう人だ。
「冬海、どうした?」
「もーせんぱいってばー! 音葉って呼んでっていつも言ってるじゃないですかぁ~」
「無理に決まってんだろ! 下の名前で呼べるかっつーの」
こいつのこういう馴れ馴れしい性格のせいで、後輩たちからは、「涼人先輩って、冬海と付き合ってんじゃね?」的な噂まで流れてしまった。3年フロアに流れてこなくてよかったと心の底から思っている。
なにせ、恋愛系の話題に関してしつこい、陽向がいるからな。
ほらみろ。今ですら回りの人から「リア充死ね」って顔で見られている。
このままだと、3年にまで噂が…。
なんとしてでもこの場を乗り切らなければ!
「と、ところで、なんの用だ?」
上手い! 上手いかわし方だ、俺!
一瞬にして、皆の視線が元にもどった。
よかったぁ〜!
「そうそう、一緒に帰ろって言いに来たんですよ!」
再びグサッと俺に視線が刺さった。
まずい。非常にまずい!
また振り出しに戻ったじゃねーかよ!
こうなったら逃げるか!
俺は冬海の手を引いて教室から逃げた。
「ちょ、せんぱい!強引ですぅ~♡」
「うっせー!後で話があるから覚えとけ!」
くそっ! 絶対教室で噂になるやつじゃん!
どうせ、恋愛脳どもが今頃騒いでんだろ。
とにかく、冬海に馴れ馴れしくすんなって話さないと、大変なことになる。
俺は冬海を連れて、学校近くの公園に行った。
冬海の野郎は相変わらずハイテンションだ。
「もぉ〜せんぱいったら、強引なんですよぉ~! もしかして、これから愛の告白があって、そのまませんぱいの家に連れ込まれて、あーんなことや、こーんなことしちゃうんじゃないですかぁ〜?」
「変な想像すんな! いいか、今お前のせいで俺は窮地に立たされているんだ!」
「どうしてです? も、もしかして私、なんかヤバいことしちゃいました…?」
こいつ、自分がどんなんか分かってねぇー。
え?ちょっとまって…。
泣いてね?
「ぐすん…ぐすん…」
「お、おい、泣くなよ」
「だって、だって、しぇんぱいに嫌われたからぁ~」
「嫌ってないから、な?だから泣くなよ」
こうやって慰めている時に俺に話しかけてくけ声がした。振り返るとそこには。
「佐久間くーん!」
席が隣にして、超絶美少女の筒魁さんだった。
転校してきてからアニメを通して仲良くなった人だ。
ちょっと待てよ。傍から見ると、俺が後輩の女子泣かせてるみたいじゃね?
俺は急いで冬海を背後に隠した。
「お、おー筒魁さん。どうしたの?」
「学校帰りだよ。佐久間くんこそ何してんの?」
ま、まずい。完全に、誤解される!
背後を見られたらおしまいだ。
なんとか誤魔化そうとした。けど、冬海はそんなことお構い無しのようで、容赦なく俺をデンジャラスな状況へ落としていく。
「しぇんぱ〜い!私、私、なにかしましたかぁ〜(ぐすん…ぐすん…)」
「お、おいお前」
「佐久間くんが後輩ちゃんを泣かせたぁ~」
想像してた展開と全く同じだな!
「ち、違うんだよ筒魁さん! これは誤解で…」
「うぇ~んしぇんぱ~い! ごめんなさぁ~い」
「さ、佐久間くん、鬼畜すぎ…」
「違うんだって! これは誤解で、俺はただ、冬海に話があってここに来ただけなんだ。俺は泣かせることは何もしてない!」
まったく冬海のやつ、中2にもなって外で大泣きかよ…。たまにこいつのことを小学生って思うときがあるんだけど、俺だけ?
泣き顔可愛いなちくしょう!
「あなた、冬海さんっていうのね。私はこのゲス男の同級生の筒魁日葵。よろしくね」
「ぐすん…はい、よろしくお願いします」
なんだ?筒魁さん、結構大人っぽいな。あれ?俺いま罵られた?
「ところでさ、冬海さん。ちゃんと佐久間くんに聞いた?『私のこと嫌いなの』って」
「してません」
「じゃあしてみたら? きっと佐久間くん、何も怒ってないと思うよ?」
「そ、そうですか?」
「うん! だって佐久間くんだもん」
因果関係になってねぇ~
なんだよ佐久間くんだもんって。なんか照れんじゃん。
そんなことを思っていると、冬海が近づいてきた。まるでこれから告白されるかのように。
ワンちゃんあるかも、みたいなことを思うと顔が赤くなるのが自分でもわかる。
だって、冬海可愛いし、明るいし。
え?好きなのかって?恋人になるのだとしたら答えはNOだな。
てか、いまそんなこと関係ない!
冬海はいたって真面目だろう。
「せ、せんぱい。わ、私のこと嫌いですか?」
「嫌いじゃないよ! ごめんな、勘違いさせるようなことして」
「ううん、大丈夫です! 逆にせんぱいが起こってないことが分かって安心してます」
「ね? 冬海さん。佐久間くんなら大丈夫だったでしょ?」
「はい! やっぱりせんぱいはやさしいです!」
なんだろう。無性にうれしい! おそらく今の俺の顔はにやにやしているだろう。
「ねえ、冬海さん、一緒に帰りましょ」
「はいっ! せんぱいも一緒に帰りましょうよぉ~」
「いや、俺はコンビニ寄って帰るから」
「じゃ、また明日ね」
「バイバイせんぱーいっ」
全ての誤解が解けて一件落着!
帰って飯でも食おっかなぁ~………。
あれ?馴れ馴れしいこと注意してなくね?
冬海のテンションはまだまだ続きそうだ。