round 4-4
本当に申し訳ございませんでした。
負けた、負けたんだ。
『カント選手の勝利で終わりましたこの試合。ニーマさん的にはこの試合、どうでしたか?』
『JAM選手の気持ち負けだと思います。
一試合目のラウンドで嫌な負け方をしてしまったせいでしょうね。気持ちに焦りが出ているのでしょう。バズヴのナイフ投擲を入れてからのタイミングでワンテンポ遅らせてからコンボをつなげていかなければいけないのですが気持ちもあせっているんでしょうね。コマンドを入れ始めています。』
『焦りがなければ勝てたと?』
『はい、そうだと思います。この後の試合に彼がメンタルを引っ張られてしまえば負けることにもなりますし、ここから復帰することが出来るなら彼は強い選手だと言い切れるでしょう。』
『なるほど、それでは次の試合もまた注目の一戦です。Solt選手対ジンネマン選手です。』
実感がわかない
会場端に設置されているベンチに座りアケコンのUSBコードを巻く
端末を見ながらルーザーズの相手、場所が確定するまで一息入れる。
背中に背負っていたバッグから飲み物を取り出し、口に一口。
口に含んだスポドリの味がしない
あぁ、負けたんだな。悔しいなと言うよりは懐かしい感覚を思い出す
ゲーセンで負けては家での研究に没頭する日々。
悔しいというよりは勝ちたい
会場端に設置されている野試合台に向かおうとバッグを持ち上げる。
ふとバッグの中を見ると何冊かノートが入っていた。
中身は今までの対策を自分で書きまとめた努力の証.
努力の成果が一瞬の差でついてしまうこの世界。
負けたくない
いや、勝ちてぇ。
端末に対戦相手と場所が決まる。
首から下げていたヘッドフォンに触れる。
深呼吸。
それでは行こうか。
スイッチを切り替える。
行ける、戦える。
さぁ、ここから取り戻すぞ。